【書くガジェット】やはり紙とペンしか勝たんのか
大は小を兼ねない。
なぜか最近痛感することが多いのだけれど、そうなのである。
私は大して面白い文章を書ける人間ではないのだけれど、文章を書くということは好きだ。
それはこのようなよしなしごとであったり、メアリー・スーをキメすぎたどんちゃん系二次創作であったりする。
まあ中身はなんであれ、長短交々なテキストファイルを日々量産しているのだ。
短いときには二行で終わる。パッションさえ詰め込まれていれば十分なことはよくある。
さておいて、大は小を兼ねてくれないのは、入力デバイスである。
私は自分の字が好きではない。そしてすぐペンをなくし、手の内にあったとて1ページも埋めれば疲労に呻く。
文豪よろしく手ずから紙に思いの丈を刻みたいという気持ちに反して、あまりにも手書きに向いていないのであった。
ふとした時に、思いついたことを残したい。
たったそれだけのことを最適化すべく、長らくデバイス難民となっているのである。
紙とペンを除外した場合、たいていの人々が手に取るのはスマートフォンだろう。
現状、私もスマートフォンでメモアプリを起動し、右へ左へ指を滑らせている。
しかしながら。
私はスワイプ入力を長時間続けると、指先に名状しがたい嫌な感覚がし始めるため、スマートフォンでの長文入力が途轍もなく苦手なのだ。
同じような経験はないだろうか?
ないだろうか、と尋ねてはみるものの、今まで友人からああ~~わかる~~という回答を引き出したことが一度もないのでこちらの感覚バグなのだろう。
……ほんとにない??
とにもかくにも、物理キーが欲しいのだ。
まずは今あるものを活用すべく、スマートフォンと接続できるBluetoothキーボードを購入した。
折りたためてそれなりに省スペースだ。しかし時折接続が不安定になり、nyりょkがbg……となっては消して打ち直す羽目になる。決してミスタイプではない。そんなわけないじゃないですか。
そして充電の減り具合が分かりづらく、タイミング悪く電源が落ちる。
電源落ちた~~と項垂れながらかばんへしまい込み、そのまま充電を忘れる。
後半は完全に自業自得だが、自宅では有線キーボードを使っているせいか、キーボードに充電が必要という発想がすっ飛びがちなのだ。いやだからそれが自業自得なんだよなあ。
充電嫌いのくせに、次に目を付けたものも電子デバイスーー電子辞書である。
云十年付き合いのある、いまだモノクロパネルの電子辞書にはテキストメモ機能があった。
ふと言い回しに困ったときや諸々調べたくなったときにすぐ辞書に切り替えられるじゃないか。
はい優勝、と思ったのだが、そううまくはいかなかった。
お察しの通り、私はひと手間が苦手なのである。
辞書引くか~~となった場合、一度テキストを保存しなければいけないのだ。
そしてそのテキストは辞書引き中には見られない。
……ぷ、プチストレス~~!!!!! 私は天板を閉じた。
いやしかし画面とキーボードが一体化しているのはありがたすぎる。
めちゃくちゃ普通な、それでいて根源的な納得を得た私はエディオンへ走った。
物書き界隈で昔から名を馳せる、キングジム社謹製のデジタルメモ「ポメラ」を見に行ったのである。
しかしコーナーへ足を踏み入れた瞬間、脱力した。
昔よりでかくなってない!?!?
辞書と並べて置くにはでかい。持ち運ぶのにもでかい。
さらば友よ! 私はドトールへ逃げ込んだ。
席につき、テーブルを眺めながらポメラのサイズ感を思い返す。やっぱ育ってるわあいつ。
画面とキーボードが一体化しているデバイス……。
これはもうノートパソコンしかなくない? という当たり前の結論に至る。
10インチくらいなら持ち運んでも耐えられるだろう、そう思い購入したのがASUS社のChromebook Flip C101PA。
液晶が回転し、タブレットとしても使えるという一挙両得系デバイスだ。
割と頑張って持ち歩いてはみたが、やはりポメラより大きい時点でベッドでごろ寝アマプラ専用機となる未来しかなかった。
そして使い倒しているうちに起動数分で爆熱になり、電源を差していないと5分で落ちるようになった。
ところで電子辞書に似通った形状をしたスマートフォンをご存じだろうか。
SHARP社のLYNX SH-10Bである。まだ癖のある機種を出していてくれた時代の遺物だ。
AndroidOSのヴァージョンも二桁になろうかという時期に、メルカリで購入した。
起動する。Android 1.6。ネットに繋ごうものならウイルスの展覧会になるのでは……? 私は訝しんだ。
いやしかし私が使うのはメモ帳……!! オフラインでなにも困らない。文字さえ打てればよいのだ。
LYNXにはDocuments To GoなるOfficeの互換ソフトが入っていた。天才か?
なんなら辞書まで内蔵されていた。やはり天才か?
ただ、キーピッチが狭い。これ……QWERTYキーじゃなくて……いいな……。
ぎちぎちのキー配置で日本語を打たせるには、やはりテンキーの方が便利だ。
テンキー入力が出来るものといえば、もうあれしかあるまい。
そう、ガラケーである。
私は押し入れの奥から懐かしのSH-05Aを引っ張り出した。またSHARP社じゃん。お世話になってます。
メールボックスを開いたら青春の息吹に窒息させられる自信しかなかったので、そのアイコンだけは必死に避けながら機能を確認する。
ぽちぽちたのし~~と打鍵感をエンジョイしつつテキストメモを開く。
目に飛び込む「0/128」の表記。
……128文字!? 正気か!? Twitter以下じゃん。私は画面を折りたたんだ。
待てよ、私はガラケー時代からのEvernoteユーザー(無課金)のはず……。
そんな記憶を引っ張り出し、iアプリとかいうこれまた前時代の遺物へアクセスする。
「FOMAカード(UIM)を挿入してください」
そんなもんはない。私は再び画面を折りたたんだ。
だが何かしら長文は打てるはずだ。リレー小説やってたもん。読み返したら大変なことになるけど。
バトンはメール越しに渡していた。つまり、メールであればさすがにもうちょっと長文が残せるはず……。
絶対に受信/送信ボックスは開かんぞ、と強い気持ちを持ちながら新規メール作成を選択。
「残10000」。大勝利~~!!
そして私は好き勝手に書き散らした。充電がなくなるまで。
出先で充電が切れ、思い出す。
FOMA端子の充電器、令和の世に売ってるか……!?
結論を言えば探せば売っているのだが、優先順位を考えれば買うほどでもあるまいとなり、買わないまま帰宅した。
そして、テキストデータを他デバイスに移行するためにSDデータを入れ替える手間を惜しみだした。いつものやつ~~。
やっぱり紙とペンしか勝たんのかーー。
それでもほかの選択肢を探し続けている。
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