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着の身着のままゲーム機
「というわけでここにたどり着いたというわけだな?」
「◎△X◇」
ここはお寺の体裁をとったDVシェルター、いわゆる駆け込み寺だった。
このゲーム機は持ち主によりひどい虐待を受けていた。
持ち主というのも、小五、中二、高一の3兄弟だったが誰一人としてこのゲーム機に敬意を払うものはいなかった。
つまらないところでゲームオーバーになるとそれこそこのゲーム機に当たりまくる。叩きつける、投げつけるは当たり前だった。
「お前の兄や姉は救えなかった…兄は熱帯魚の水槽に、姉は薪ストーブに放り込まれたんだ。お前だけはぎりぎり救えて良かった…」
このぼろぼろのゲーム機は2階の窓から放り投げられたところを巡回中のレプリカントにキャッチされたのだ。
このレプリカントもたまたま通りかかったわけではない。事情を汲んでこのゲーム機を救い出そうと何とか介入の機会をうかがっていたところだった。
「とりあえずここで養生するが良い」
ゲーム機が辺りを見回すと、傷だらけのエレキギターや、壊れかけたキーボードやマウスが横たわっていた。
みんな持ち主の鬱憤晴らしに付き合わされてぼろぼろだった。
「このレプリカントだって寵愛を受けるためだけに作られた美しいラブドールだったんだ。持ち主が格闘技を始める前まではな。それからは従順なスパーリング相手として持ち主の攻撃練習をすべて受け止めていたんだ。我々は木人じゃないんだ。いや木人だって……」
「そんな私の過去には触れないで下さい。あなただって雇い主のパワハラ、訪問客のカスハラでこんな姿にされたんじゃないですか、違いますか?ペッパー大師」
「➗、◾️🔺◉!✖️◆❤︎♣︎🟰➖♠︎ ◾️🔺◉◀︎✖︎❌」
(えっ!この変わり果てた姿があのペッパー君?僕の方がよほどマシなんだな!)
(軽く410字越え~)
たらはかに様の毎週ショートショートnoteに参加致しました!
今週も駆け込み投稿です。参加できて良かったです。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。