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未来の断捨離.Ⅲ【毎週ショートショートnote】

第三話

そもそもの話、断捨離銀行の業務は不要品を預け入れたり、貸し出したりで不要品をあっちこっちに移動させているだけでなぜ存続が可能なのか?

膨大な不用品を保管するスペースにはその何倍ものコストが掛かっているはずである。また不要品の物流費用も馬鹿にならないはずである。

本来価値のないものにそれだけのコストをかけて一体その経費はどこから捻出しているのだろうか?

社員だって伊達や酔狂のボランティアではないはずである。いったいその給料はどこから来るのだろうか?

実は預け入れられた不要品や、貸し出した利息で取り立てた不要品の中からめぼしいものはすべてオークションサイトやフリマサイトで売りさばかれていたのだ。こうして莫大な収益をあげていたということになる。

断捨離を決意したすべてのものを最後まで断捨離に導くという危うい前提のもと、通帳の残高はすべてデーター上の操作だった。一方でユーザーに提供される不要品はフリマサイトでも値が付かないものだったためなんの問題もなかったのだ。

ひょんなことからその実態が世間に知られることになった。

ある断捨離財形のユーザーが、預け入れた不用品に未練があり銀行側に返還を要求したところ拒否されてしまった。

仕方が無いのでフリマサイトで同じものを調達しようとしたところ、まさに自分が預けた不要品そのものが出品されているのを見つけてしまった。

そして、そのユーザーがSNSでその事を晒すやいなや、その投稿をみた多くのユーザーが一斉に自分の預けた不要品の引き出しに走った。

銀行前には長蛇の列。取り付け騒ぎだった。

断捨離銀行はこの動きで一瞬で破綻してしまった。

文科省の監督下「断捨離銀行」という名の宗教団体は解散に追い込まれた。

いや解散じゃなくて断捨離か……

(728文字)

ほんっとに、どうでもいい話。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
あなたの人生に1mmの役にも立たないお話でした。

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