ルールを知らないオーナメント【毎週ショートショートnote】
昔々あるところにおじいさんとおばあさんが住んでおりました。おじいさんは竹を取って生業にしていたので「竹取の翁」と、当然そのお内儀であるおばあさんは「竹取の翁の媼」と呼ばれておりました。そんな翁と媼には子どもが無く、授けて欲しいといつも神様に祈りながら暮らしておりました。
ある日のこと翁がいつものように竹林にいくと一本の光る竹を見つけました。試しにその竹を切ってみると中に小さな女の子がいるではありませんか!
神様が授けてくれた!
翁はすぐさま女の子を連れ帰り媼と大切に育てることにしました。
ただ、その名前ですが「かぐや姫」ですんなり決まりそうだったものが媼の思いつきで「ちくわ姫」になってしまいました。媼の好物であること、竹にまつわる言葉をいれたいという思いがあったようです。
翁はたいそう反対しましたが我の強い媼は聞き入れません。「かぐや姫」もとい「ちくわ姫」も物心ついたころからこのダサい名前が嫌で嫌でしかたありませんでした。
そうです!「ちくわ姫」はそれはそれは美しい娘に成長しました。その噂は日本中にとどろきわたり、ここで5人の男が「かぐや姫」もとい「ちくわ姫」に求婚に現われ、成就した方と結婚するという条件で姫に無理難題を押しつけられるはずだったのですがそうはいきませんでした。
媼は娘に「お前はハリウッドをめざすのだ!そしてスターになれ!」と宣言し激しい活動を始めたからです。今で言うステージママです。
翁はこうした思てたんとちゃう展開にハラハラしておりました。娘も将来月に帰るのにスターだなんて……この先をたいそう案じて気が気ではありませんでした。
二人は媼がいないところではいつも声を合わせてボヤいておりました。
ルールを知らない媼は面倒!
(おおよそ700字越え😭)
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