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見たことがないスポーツ 高飛び込み(清水寺級)VS リバースやり投げ、勝者は?【毎週ショートショートnote】

新種目選定委員会は〝見たことがないスポーツ〟というくくりで検討を重ねてきたがここへ来てようやく2つに絞ることができた。

最有力候補は〝高飛び込み(清水寺級)〟だった。委員の多くは〝きよぶた級〟と言い換えていた。〝きよぶた〟というのは言うまでも無い。清水の舞台のことだ。若者には決して伝わらない死語である。

余談だがバブル期に若者だった選定委員の多くは年齢的にもだじゃれ気質というバイアスがかかっていた。これはあらかじめわかっていた事だ。

対する候補は〝リバースやり投げ〟だ。

高飛び込み(清水寺級)は日常と決断との高低差を競うものだ。高低差があればあるほど思い切りが良いとされる。対するリバースやり投げは〝投げやり〟の度合いを競うものだ。

そう、いまのところリバースやり投げが次点なのはその評価法にあった。

人が自暴自棄になると何かに溺れることになるが、その深さと期間をどのように定量化したらよいかというのが問題だった。投げやりの定義にも無理がある。

こうして考えると高飛び込みも投げやりも水泳の一種目なのだ。

そして、どう考えても高飛び込みに分があったが、投げやりを押すグループも決して投げやりになることなく粘りをみせていた。

そんな中突然決着がついてしまった。

新種目に決定したのは〝厚顔投げ〟だった。

図々しさを競う〝厚顔投げ〟は何の前触れもなく突然俎上に上げられたのだがその登場の仕方もかなり図々しいものだった。

(599文字)

たらはかに様の毎週ショートショートnoteに参加しました!

本当は〝正露丸投げ〟を正式種目にしたかったです😭






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