半分ろうそく【毎週ショートショートnote】
60歳の定年を迎え私は第二の人生を送ることにした。
合格率ではなかなかの難関であるデスノート協会主催の民間資格〝ろうそくソムリエ〟だった。
難易度が高いのには訳がある。人の寿命にコミットするからだ。
こうして晴れて合格したわけだが今期の合格者は私1人。当然オリエンテーションも私一人だった。
私はろうそくを一元管理している集中管理センターで指導役を待った。ここにはおよそ80億本ものろうそくがあるはずなのだが、目の前にあるのは一本のろうそくだ。
新人は自分のろうそくを例にいろいろなことを教えて貰う手はずだった。
私は自分のろうそくを観察した。
太い!そしてまだまだ長さも充分だ。目盛りを見るとまだ半分ほど。
〝えっ、では私は120ぐらいまで生きられるのか!〟
ちょっと嬉しくなった。
〝ひょっとしたらギネスも夢ではないな!まだまだ健康そのものだし、これまで病気一つしたことがない〟
〝強いていえば花粉症ぐらいかな。今日もくしゃみだけはヒドかったが…〟
(ここで勘の良い読者の皆様はくしゃみオチを想定したかもしれない。だがこの筆者がそんな古典落語のオチを素直に流用するわけがないのだ)
そうこうするうちに早速鼻がむずむずしてきた。
やばい!特大のくしゃみがきそうだ!
ハッ!…ハッ!…ハァーック…
私は慌てて口を押さえて180°向きを変え、体を二つに折ってくしゃみに耐えた。
その瞬間、
ぶっ!
と音がして目の前が真っ暗になった。
(595文字、注釈をのぞいても531文字)
たらはかに様の「毎週ショートショートnote」に参加いたしました!
何オチっていうんでしょうか?いやこれもくしゃみオチの一種ですよね~。
せっかく思いついたオチをWikiで発見してしまい、勢いはそのままで書き続けたら自分でも予想外のこんな展開になってしまいました😭