アナログ巌流島 デジタル混入島【毎週ショートショートnote】
「たのもうっ!」
俺は「スナック巌流島」のドアをあけた。
「あら~近藤さん。お久しぶり~!」
「おうっ!近藤ムサシの登場でいっ!」
「やだ~」
女の子の嬌声が上がった。いつものお約束だった。
俺はおしぼりで顔と脇を拭いた。店は混んでいた。
「おっ明菜ちゃん。今日もむっちりで。ボデコンさまさまだなっ!」
「水割りでいいです?ボトル、トリスだったかしら?」
「おうっテトリスあしとりすなんちって……いや、ク」
「知ってます?ドリフの荒井注って、トリスに似た男がいるって紹介されたんですって」
「ははは」
なんか機先を制されたがついウケてしまった。その瞬間なぜか女房の顔を思い出した。
〝いかん、今日は給料日だった。スキヤキで待ってるって言ってたな〟
「ちょっと電話してくる」
10円玉を確認してから俺はピンク電話に向かった。〝雨の巌流島〟がうるさい。レーザーカラオケか?ブースに入ると少しはマシになった。俺はダイヤルを回した。
「来て早々に悪いが帰るわ!女房にでかく怒られちまった!」
俺はドアを開けて帰ろうとした。
〝えっ!一体どうなっている!〟
ドアを開けるととそこも「スナック巌流島」だった。
俺は何度もドアの内と外を見返した。
どちらも「スナック巌流島」だった。
だが外のほうは微妙に何かが違う!
なんかこう一言でいえばエレキだ!
ドアのそばでキョロキョロしてたら新聞が目に入った。日付に見慣れない文字を発見した。「令和」?何だそれ?
その瞬間エレキなほうの店から声が掛かった。
「あら~。近藤係長!それともムサシ?遅かったじゃない~!」
「……」
「40年は待ったわよ!」
よく見たら「スナック巌流島」の前に小さく「熟女」と書き足してあった。
(695文字)
今週も皆様の投稿を確認せずに書いてしまいましたのでネタかぶりありましたら申し訳ありません。字数オーバーも申し訳ないです~😭でも今週も参加できてよかったです。