オノマトペピアノ【毎週ショートショートnote】
オノマトペピアノが存亡の危機を迎えていた。
このピアノの鍵盤には乗物や、動物、生活、料理などのアイコンが表示されている。
試しに体調を押すと「げっそり」とか、恋愛を押すと「ツンデレ」とか、借金を押すと「かつかつ」といった、アイコンの表記にまつわる音声をランダムに発するのだ。
それはプログラム可能だったため主に詩の朗読会や本の読み聞かせなど、ここぞというところで鍵盤を押して効果を高めるのに重宝していた。
だがサンプリングマシーンの登場によりその座を奪われてしまった。
それでもこのピアノは廃れなかった。
物書きが類語辞典やシソーラスのような使い方をしていたからである。
筆が止まったときに物書きは試しにオノマトペピアノを叩いてみる。
そうしてランダムに発せられた音声に触発され、イメージが喚起されたり膨らんだりで筆が進むのだ。
だが最近話題のヤツの登場でとうとうこれが衰退しそうだった。
何だっけ?
私は『感心しない振る舞い』の鍵盤を叩いた。
ちゃっかり!
ああそうだった。
〝ちゃっかりGPT〟とかいわれてる人工知能のせいだった。
(453文字)
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それにしても見出し画像が無駄にあざとすぎて...本文とは何の関係もありません!