塩人(しおんちゅ)【毎週ショートショートnote】
塩人組合の理事選が1ヶ月後に迫っていた。
この組合は塩人組合でしかカバーできない〝塩をなりわいとするもの〟だけが加入できた。従って製塩業者や食品業者は他の組合で対応可能だったため対象外だった。
立候補したのは「なめくじ殲滅師」「除霊お祓い師」「盛り塩師」「酒類調合師」の中からそれぞれ4人が名乗りを上げた。
この中で説明が必要なのは「酒類調合師」だけかもしれない。このいかめしい呼び名だが平たくいえばバーテンダーである。カクテルのスノースタイル、桝酒のアテの塩を思い描けば納得していただけるだろう。
そして今期の選挙戦は波乱含みだった。
早々に脱落を余儀なくされたのは「なめくじ殲滅師」だった。「なめくじ駆除します!」の謳い文句のその裏で、なめくじを養殖していたことが発覚してしまったのだ。なめくじを大量に放っておいてその退治を請け負う。一部の悪徳シロアリ業者と同じ手口だった。今後5年間は理事戦に出馬できないだろう。
続いて資格剥奪されたものがいた。「除霊お祓い師」からの候補者、佐伯伽椰子だった。自らが悪霊のくせに「除霊お祓い師」を業とするのは完全に利益相反だ。過去に山村貞子も同じような疑いで資格剥奪を受けている。まったく人材難にもほどがある。たび重なる厳重注意では済まされないだろう。
残る「盛り塩師」と「酒類調合師」の一騎打ちだったがすでに勝負はついていた。実は「盛り塩師」は日本に3人しかいないのだ。数でいえば圧倒的に不利だった。
希少性でいえばあの「ふんどし締め師」と同数だった。余談だが「ふんどし締め師」は「はだか祭り」などが活躍の場らしいが、何十人ものふんどしを締めることによる「締め疲れ」は凄まじいらしい。という「ふんどし締め師」だが実はネタだったという噂もある。
ところが奇跡が起こった。
「酒類調合師」の中から我々が塩人組合に属するのはおかしいと疑問を投げかけるものがいたのだ。それもそうだ! その呼びかけに応じて「酒類調合師」の有志は「日本バーテンダー・日本酒ソムリエ組合」を立ち上げ、なんと全員がそちらに移ってしまった。
と言うわけである意味敵に塩をおくられる形となり、あっという間に今期の理事は「盛り塩師」からの立候補者に決まってしまった。とさ。
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初稿(塩稿じゃないです!)っていうんですかね!実は酔っ払ってノリノリで書いてアップロードしたんですが、シラフで確認したらなんか言い回しが難解で読みづらいのなんのって……スキして下さった方ありがとうございました。ご祝儀だと思ってありがたく頂戴いたします。
というわけで現在修正中ナウなんですが、実は今も酔っ払ってご機嫌です!
酔拳みたいに酔えば酔うほどキレッキレになるといいのですが、酔えば酔うほど壊れてくのがわかりますわ。
またしばらくしてシラフの時に見返して青ざめたいと思います~😭