ヘルプ商店街【毎週ショートショートnote】
今日も一回も事件を解決したことのない名探偵の小籠包蒸(ショーロン・ポームス)探偵の事務所を訪れた。ドアには貼り紙があった。
『ヘルプ商店街顧問』
一体どういう意味だ?今までも「バルサンしてます」や「冷やし中華はじめました」は見たことがあったがこの手のものは初めてだ。
「外の貼り紙は?」
「ああ、あれか!地元の商店街からの依頼だ。キーワードは謎解きによる集客だ。〝謎解き〟といえば?」
「なるほど~お前の出番だな。出題の監修か」
「そうだ。ところで小林君、商店街から名物の差し入れがあるのだが食べるかね?ここに準備してある」
ポームスが差し出した紙にはこんな一文が書いてあった。
『手が震える家具の上にある』
「えっ?」
一瞬混乱したが、テーブルを見ると再び紙があり何かが書かれている。
『〝Z〟が苦労しているところを見ろ』
クローゼットを開けるとまたメッセージだ。
こんなことを20分も繰り返していい加減うんざりしてきた。
『大きな動物が入っている電化製品を開けろ』
最後の謎だったようだ。
「最初から一言で言えって!」
僕はついにキレてしまった。
冷蔵庫を開けるとようやくスイーツにありつけた。
(481字)
たらはかに様の毎週ショートショートnoteの企画に参加しました!
今回は商店街=活性化の発想からから逃れることができずに大変苦しかったです。結局いつものキャラクターに頼ってしまいました。
実際の〝謎解き〟商店街活性化事例です。地元の学生さん達による着眼点が秀逸です。