宝くじ魔法学校【毎週ショートショートnote】
今年の夏の甲子園は初出場の魔法学校高等部が決勝戦進出を決めた。
昨年末の天皇杯のベスト4進出も世間を驚かせたが、『野球でも魔法学校か!宝くじ高額当選より確率の低い快挙!これはイリュージョンではない!と専門家』新聞にはこのような見出しが躍った。奇蹟というのは魔法学校の真骨頂かもしれない。
サッカー界や野球界に異変だった。そして世間は聞き慣れない魔法学校の偉業よりそのような専門校に普通にサッカー部や野球部があることにまず驚きを隠せなかった。
そして応援を担当するのは吹奏楽部と、チアガールはMJKと呼ばれる魔女養成科の女学生だった。ちなみに脂の乗りきった魔女の熟女はMJJと呼ばれているらしい。MJK達の応援は黒装束で黒いボンボンをもってなにやら呪文を唱和するというスタイルだった。これは味方を応援するというよりはその実、相手校の生気を奪っているように思えてならなかった。
こうしていつものように悪ノリをしているとさらに字数オーバーを助長してしまうので結果を急ぐこととする
対戦相手は大阪の常連である強豪校。魔法学校先行で迎えた9回裏1アウト満塁。スコアは1-0で魔法学校リード。魔法学校の先発投手は8回までノーヒットに抑えてきたが最後に来て少し崩れてしまっていた。彼は変幻自在の変化球を繰り出し特に星飛雄馬以来の消える魔球の使い手だった。
「アウト!」突然塁審が宣言した。ピッチャーが消える魔球でファーストに牽制したのだが、ランナーはじめ全員がボールの行方を見失ってしまっていた。呆気にとられたランナーがベースに足をつける前に、ファーストが高らかにボールを掲げてアウトをアピールをした。ある種の隠し球だ。これでツーアウト。あとアウト一つで魔法学校の優勝が決まる。
ピッチャーはキャッチャーの出すサインに首を振り続けた。結局ピッチャーは一回も首を縦に振らずにセットに入った。勝負する気だ。相手校の打者は4番。いずれにせよこの打者との勝負で試合が決まる。
ピッチャーはランナーがいるのにも関わらず振りかぶって全体重を乗せて長い腕を振り切った。外角低めのストレートだった。得意の変化球ではなかった。この三年間の野球生活をすべて賭けたような真っ向勝負の剛速球だった。
相手校の4番打者は、そのすべてを賭けたストレートをいとも簡単に捉えた。打球はライトスタンドにライナーで突き刺さった。魔法学校の守備は誰も一歩も1mmも動けなかった。サヨナラだった。
初出場のメンバーに悔いは無かった。再びここに帰ってくる!メンバーのおよそ半分を占める2年生にまた託せば良いのだ。だから甲子園の土は持ち帰らない!
それどころかメンバー全員がクディッチ用の箒を取り出してたった今使用したばかりのグランドを整備しはじめた。魔法学校の野球部が負けて誰もが初めて見る光景だった。
(取り消し線除いても950字(T-T)。そして思ってたのとちゃう展開で熱血スポ根ショートショートになってしまいました。この設定が面白いので何か思いついたら追加するかもです)
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