アマチュアコーチは何をできるのかⅡ
自分がコーチをしているクラブにおいて、改めて自分と学生側の双方で需要と供給とがマッチしていないと強く感じている。
自分はクラブ員達の本当の需要を見抜くことはできず、彼らにとって適切なものを供給できていないし(反応が極めて局所的なので大部分に対してマッチしていない)、これ以上なにかできる気も全くしない。カリスマ性の欠如もあって、環境を変えようにも言葉がまるで響かないのだ。
もう一方で、自分自身も彼らからエネルギーをもらえているかというとそうでもない。ごくごく一部が彼らなりに頑張っているのは感じるが、それで全てをプラスに転じられるほどではないし、個人コーチをすれば足る。現状、暖簾に腕押し、ほっとけない部分のお世話をしているに過ぎず、当初の希望とはだいぶ異なる役割になっている。
お互いに1年間を試用期間で終わらせられるほど時間や気力が潤沢な訳でもない。自らコーチに名乗りをあげた故に情けない話であるが、要するに、さっさとコーチをクビにされて自分の代任を探されるべきなのだ。空気を入れ替えずしてチームが変わることもなかろう。現状、もっともマッチしていない自分が適任であろう。
なぜこのような事態に陥ったかという点においては、クラブの精神性の継承に失敗したといえるだろう。少なくとも、過去の自分は、自分が見てきた背中を後輩に見せることができなかったのだ。現役生だった自分は、唯一残したかったものを残すことができなかったのだ。自分が大学入学した年に見た4年生がクラブを完全に離れたとき、その精神はクラブから失われてしまった。目をかけて少しずつ継承していた後輩も去ってしまった。過去を悔やんでも何にもならないが、彼らのために今できることもない。時機を窺い去るのみだ。