植物状態の父が吸痰されると意識不明のままむせていた、生きていた。

父は広範囲に渡る脳梗塞で植物状態になっているといわれました。それはつまり、今後目を覚ますことはないと言うこと。

当時の私)それならば早く死なせるのが良いだろう。意識のないままいつまでもこの世にいるのも苦しいだろうし、お母さんに会いに行くほうが良いだろう。

そこで栄養の取り方は点滴を選択しました。植物状態のまま、父が少しずつ衰弱していく道を選んだのです。もし意識を取り戻すとわかっていれば、鼻から胃にチューブで栄養を入れる方を選んでいましたが、今後目覚めることはないと説明されていたので、静かに息を引き取れるように、点滴を選択しました。(あとからなら何とも言えるので、みんなそのときのベストを尽くしていたはずなので、私はこのときの選択を激しくは悔やんでいませんが、もしも鼻から胃に栄養を入れるほうを選んでいたら何か違っていたのかなと考えてしまいます)

入院2日目か3日目に面会に行った時、吸痰の様子を初めて見ました。
看護師さんが細い細い管を父の鼻の穴に入れていき、喉に溜まった痰を機械で吸い出すというものです。

その時びっくりしたのは、父が意識不明のままむせだしたことです。
看護師さんは「苦しいね〜ごめんね~あとちょっとだからね〜」と言いながら吸痰用の管を上下に動かします。
見ているだけで鼻の奥が痛くなるような光景。これで目覚めないとか、父は本当に植物状態なんだ、と思ったのですが、直後なんとむせ出しました。意識不明のまま、ごぇほっ、ごぇほっとむせているのです。

父の声を久しぶりに聞いたのは、それがむせてる音だとしても嬉しかったです。

父、生きてるじゃん!!!

ちなみに吸痰でむせることを看護師さんたちは「協力してくれてる」と表現していて面白かったです。げほげほするほうが痰がたくさん取れるそうです。



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