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【the pillowsギター機材まとめ】山中さわおの使用エフェクターについて

ここでは、the pillows山中さわおさんの現在・過去に使用するエフェクターを紹介していきます。
なお、筆者が確認できた最も古い情報は2001年のものなので、こちらでは2001年以降の音作りについての解説になります。



⓪基本的な音作りの考え方

さわおさんは基本的にアンプではほぼクリーンサウンドを作り、エフェクター中心で歪み等の音作りをしている。
基本的な構成として

①オーバードライブ(1〜2台)

②ディストーション

③ブースター(1〜2台)

④モジュレーション・空間系(1〜2台)

⑤イコライザー

といった順になっている。

使用ギターがサイクロンという前提で
①はフロントピックアップ(シングルコイル)用のクランチサウンド
②はリアピックアップ(ハムバッカー)用のディストーションサウンド
③はサビやギターソロ等音量や歪みを強調したい時に使用
④はトレモロ、フェイザー、ディレイ等一部の楽曲やフレーズのみに使用する所謂飛び道具。
⑤は最終的な音色調整として終始ONの状態
という使い方がされている。

次からはそれぞれのセクションのエフェクター紹介をしていく。




①オーバードライブ編

⑴LINE6 DM-4 ディストーションモデラー(2001〜2021年)

出典:【国内正規品】LINE6 ディストーションモデラー Stompbox Modeler DM4 https://amzn.asia/d/fcoDTbs

本機はLINE6が「ストンプボックスモデラーズ」シリーズとして展開していたうちの1製品。
ギタリストの中では、緑の筐体のディレイモデラーDL-4の方が使用者も多く馴染み深いだろう。
本機はそのシリーズの中で歪みに特化したモデルであり、16種類の内蔵された歪みエフェクターから4つまでプリセットとして保存呼び出しができる。
正確な発売年は不明だが、2000年頃〜2010年代半ば頃まで販売され、現在はディスコン。

以前のギター紹介編の記事(以下リンク)で紹介したように、2001年頃さわおさんがギター・アンプ・エフェクターを一新したタイミングで導入。
ギターの真鍋さんに相談した上、複数の歪みエフェクターが切り替えられる本機をチョイスした。
恐らく真鍋さんはそれ以前にLINE6のアンプシミュレーター「POD」を使用しており(LINE6のインタビュー記事にて)、以来LINE6に対して高く評価していたから本機を勧めたのではないかと思われる。

使用期間はかなり長く、2001年から後述する自身のシグネチャーペダルが完成する2021年までと実に20年間使用された。

さわおさんはオーバードライブとして「tube driver」(Chandler tube driverのモデリング)を選択し使用していた。
過去のさわおさんのpodcastにて以下のようにセッティングが公開された。

drive:3.5
bass:5
middle:5.5
treble:7
level:8

出典:山中さわおのfool on the planet

ただし、USA製サイクロンを使用していた2008〜2011年は「boost comp」を使用していた(過去のギターマガジン記事より)。
その時期のライブ音源を聴くとそれまでとは明らかに歪み量の減ったクリーンめなサウンドであることがわかる。



⑵funk ojisan MY FOOT(2021年〜現在)

出典:https://funkojisan.shop/items/646f72126e3db50031ce98ab

東京都国分寺市に店舗を構えるギターショップ「funk ojisan」の一従業員の方がピロウズファンであることをきっかけにさわおさんと交流が始まり、2020年頃山中さわおシグネチャーモデルエフェクター製作のプロジェクトがスタート。2021年にプロトタイプ(試作品)が完成、2023年には製品版が完成し一般販売もされた。
2024年10月現在も予約注文ではあるが販売しているようなので、気になる方はチェックしてみると良い。


さわおさんは同じ本機を2台使用し、それぞれ弱めのオーバードライブ・強めのオーバードライブに設定し楽曲によって使い分けている。
当初は2台ともプロトタイプ、製品版が完成した2023年からは2台とも製品版を使用。

筆者も所有しておりサウンドの感想としては、BOSS BD-2のドンシャリ具合をマイルドにしたようなナチュラルな歪みで、歪み量の可変域も広い印象を持った。




②ディストーション編

⑴LINE6 DM-4 ディストーションモデラー(2001〜2021年)

前述のDM-4はディストーションとしても使用された。
ディストーションでは「Classic distortion」(proco RATのモデリング)を選択し、以下の設定で使用していた。

drive:3.2
bass:5
middle:5.5
treble:4.5
level:5

出典:山中さわおのfool on the planet

ただしこちらも、2008〜2011年は「boost comp」を選択していた。



⑵BOSS MD-2 メガディストーション(2005年〜?)

出典:https://www.boss.info/jp/products/md-2/

2001年発売のディストーション。
先立ってギターの真鍋さんが当時使用しており、それに影響を受けて導入したかと思われる。

2005年のアメリカ公演の画像とバンドスコア内での本人解説から使用を確認。
当時の海外公演時には上記のLINE6 DM-4は使用しておらず、
BOSS BD-2+BOSS MD-2
というシンプルな構成だった。
その後の海外公演で使用したかは不明だが、2011年以降のアメリカ公演ではBD-2×2台となっていた。

また、その頃の平行して活動していたTHE PREDATORSではブースターとして使用されたよう。



⑶EarthQuakerDevices Zoar(2023年〜現在)

出典:https://www.earthquakerdevices.jp/zoar

アースクエイカーデバイセスはアメリカの新興エフェクターメーカー。
近年、田渕ひさ子を始めとする著名人の使用が多く注目のメーカーである。

Zoar(ゾア)は2023年登場のディストーションペダルで、さわおさんは発売直後に入手し、すぐにライブで使用されたのが確認できる(ファンクラブブログ及びライブ会場現地にて)。

こちらも筆者所有しており、サウンドの感想としてはRATのような「ファズ要素のあるディストーション」といった感じである。
weightツマミでファズみの増減を調整でき、タイトな音から飽和感のある音まで再現できる。






③ブースター編

⑴BOSS BD-2 ブルースドライバー(2004年?〜現在)

出典:https://www.boss.info/jp/products/bd-2/

1995年発売開始以降、現在までロングセラーを誇る言わずと知れた名機。

正確な導入時期は不明だが、2004年アルバム「Good dreams」の雑誌レポート記事から確認でき、以降現在まで使用されている。
また、正確なセッティングも不明だが、さわおさんはブースターとしてサビやギターソロ等で歪み量と音量が共に少しずつ持ち上がるように設定していると思われる。
時期によってはBD-2を2台使用し、それぞれブースト量が異なるセッティングにしていた。

また、上記のBOSS MD-2の欄で述べたように、海外公演時には本機を①相当のメインのオーバードライブとしても使用していた。



⑵BOSS GE-7 グラフィックイコライザー(2004?〜2007年)

出典:https://www.boss.info/jp/products/ge-7/

1981年発売開始以降、現在まで販売されているロングセラー製品。

後述するが現在ではエフェクターの最後部の細かなイコライジングとして使用しているが、過去にはブースター用途として使用していた。

こちらも正確な使用開始の時期は不明だが、上記のBD-2と同じ時期で使用が確認できる。
以降2006〜2007年の機材紹介の足元画像では確認でき、2008年に次の⑶に代わってからは見かけない。



⑶MXR M133 マイクロアンプ(2008〜2011年)

出典:https://moridaira.co.jp/posts/mxr-m133

MXRを代表するクリーンブースター。
ブースターだけでなく、プリアンプやバッファ用途としての使用者も多い。

2008年アルバム「PIED PIPER」〜2011年アルバム「HORN AGAIN」のバンドスコア機材紹介で確認できるが、以降は登場せず。
時期的にUSA製サイクロンを使用していた時期と重なり、ライブによってはBD-2と入れ替えたり併用して使用していた。

用途は基本的に上記のBD-2と同じかと思われる。



⑷BOSS FB-2 フィードバッカー/ブースター(2013〜2014年?)

出典:https://www.boss.info/jp/products/fb-2/

こちらについては正確な記録が残っていないため筆者の記憶違いかもしれないが、念のため紹介する。

2011年発売開始、2015年頃に生産終了となった短命モデル。
特徴としては、ブースター機能だけでなく、ペダルを踏み続けることにより擬似的にフィードバック音を発生させることも可能なペダル。
2024年現在では3〜4万円程度で取引されているプレミア品。

筆者はピロウズが活動再開した2013年頃のライブ会場の画像で確認した記憶がある。
2014年公演のライブ「Do You Remember The 1st Movement?」のうち演奏された一曲「雨に唄えば」のイントロのフィードバックは本機のものではないかと推察する。




④モジュレーション・空間系編

⑴BOSS TR-2 トレモロ(2006年〜現在)

出典:https://www.boss.info/jp/products/tr-2/

1996年発売以降現在まで販売されているトレモロエフェクター。

2006年アルバム「my foot」バンドスコアの機材紹介から確認でき、以降も毎回ではないが度々使用されている。

楽曲「Last holiday」「Envy」「どこにもない世界」等で使用される。



⑵MAXON AD9pro アナログディレイ(2008〜2010年)

出典:http://www.maxon.co.jp/effects_n/ad9pro_n.html

国内メーカー・マクソンのアナログディレイ。
現在は生産終了品。

2008年アルバム「PIED PIPER」及び2009年アルバム「OOPARTS」のバンドスコア機材紹介(2010年発行)から使用を確認できる。以降は登場せず。

楽曲「Tokyo Zombi」「Beyond the moon」等で使用と思われる。



⑶LINE6 M5(2012年のみ)

出典: https://line6.jp/effects-pedals/m5/

2011年発売のLINE6のマルチエフェクター。
あらゆる種類のエフェクトを1つのみ選択して使用できる。現在も販売中。

先立って真鍋さんが本製品の発展版「M13」を使用していたことに影響され、導入したと思われる。
2012年アルバム「トライアル」の頃、ライブや当時の雑誌インタビューで使用が確認できるが、その後は見られない。

恐らくトレモロやディレイ等空間系エフェクトを使用していたと思われる。


⑷MXR phase90(2016年〜現在)

出典:https://moridaira.co.jp/posts/mxr-m101

MXRの70年代から現在まで続く定番フェイザー。
年代によってバージョンが異なるが、さわおさんが使用するのは現行品かと思われる。

2016年のアルバム「STROLL AND ROLL」ツアーライブの現地画像にて使用を確認。
以降は滅多に登場しないが、ソロ活動のライブ時に使用している様子がファンクラブブログで確認できる。

楽曲「Wake up!do do」のギターソロで使用。





⑤イコライザー編

⑴BOSS GE-7 グラフィックイコライザー(2013年?〜現在)

前述のGE-7は、2011年にSquier sawao サイクロンを使用開始してからは、エフェクター最後部に繋ぎ、常にONのためアンプ上に置いて使用している。

正確な使用開始時期は不明だが、ギターマガジン2013年4月号のインタビュー記事の時点では使用が確認できる。

こちらも過去のpodcastでセッティングが公開されていた(以下画像)。

出典:https://yamanakasawao.com/y/

さわおさんは上記のギターマガジンのインタビューで以下のように述べていた。
彼の音作りにおいていかにイコライザーが重要かがこの発言から伺える。

世の中のギタリストはみんなボスのEQを使ってほしいね(笑)。なんかね・・・・・右からふたつ目と、左から3つ目をちょっと削ってくれればOKなんだよね。みんなそうしてくれれば、全部俺の好きな音になるんだけど(笑)。
(中略)
まだ高いギターに手が届かないキッズでも、EQには手が出ると思うんだよね。EQを使えば、イヤな成分が消えて、欲しい部分が持ち上がってくるから、トライしたらいいよ。うまく調節すればかなり歪ませても暴れない音になって、ボーカリストも歌いやすいだろうしね。

出典:ギターマガジン2013年4月号





⑥その他エフェクター

以上がメインで使用してきたエフェクター達だが、これ以外にもさわおさんが使用してきたエフェクターは存在する。
簡略とした紹介にはなるが筆者が認知している限りのエフェクターを挙げていく。


⑴BOSS OC-3

noodles yoko氏とのユニット「Casablanca 」にて使用。

出典: https://www.boss.info/jp/products/oc-3/


⑵BOSS DD-3

同上

出典: https://www.boss.info/jp/products/dd-3/


⑶KLON KTR

2023年頃より使用。プリアンプ的に使用と思われる。

出典: https://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/KLON-KTR/


<↓2024年11月追記>

⑷BOSS DD-3T

2024年ファンクラブブログ画像より確認。筐体デザインが異なるため上のDD-3とは別個体である。

出典: https://www.boss.info/jp/products/dd-3t/


⑸LUNASTONE RED FUZZ1

2024年ファンクラブブログ画像より確認。「LOSTMAN GO TO CITY 2024-25」ライブツアーより使用。ファズを使う曲数曲で使用とのこと。

出典: https://lunastonejp.com/red-fuzz-1/




⑦チューナーについて

次にサウンドに直接影響はしないが、エフェクターと同時に足元に置いているチューナーについても紹介する。
なお、チューナーについては真鍋さんがメンバーに配り、バンド内で統一するようにしているとのこと。
そのため、真鍋さんのチューナーについてもここでは触れる。

⑴BOSS TU-2 クロマチックチューナー(2001〜2008年)

出典:https://www.boss.info/jp/products/tu-2/

1998年発売のBOSS初のペダル型チューナー。
現在は後継のTU-3が発売中。

2001年リリースのDVD「Busters on the planet」内の1コーナー「1週間でマスター!ハイブリッドレインボウ講座」にて使用が確認できる。

後述のピッチブラックに代わる2008年頃まで使用された。

真鍋さんも同時期に使用。


⑵KORG PB-01 ピッチブラック(2008〜2019年)

出典:https://www.korg.com/jp/products/tuners/pitchblack/

2008年発売のコルグのペダルチューナー。
現在は後継のピッチブラックXがリリース。

2008年アルバム「PIED PIPER」バンドスコアの機材紹介から確認でき、以来10年以上使用されてきた。
2018年アルバム「REBROADCAST」のツアーライブ映像(2019年3月)まで使用が確認できる。

真鍋さんもほぼ同時期に使用しているが、真鍋さんのみ次のポリチューン3に代わる間のわずかな期間(2019年前半のみ)Providence STV-1JB(以下画像)を使用していた。
こちらについては、さわおさんは使用していないと思われる。

出典: https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/257444/


⑶tc electronic ポリチューン3(2019年〜現在)

出典:https://electori.co.jp/tcelectronic/POLYTUNE_3.htm

2017年発売開始、現在も発売中。
それまでのポリチューンと同様のすべての弦を一度にチューニングできるポリフォニックチューニング機能を持ち、新たにBonafide Bufferを搭載し音痩せを防ぐ。

2019年10月公演の30周年横浜アリーナライブの映像から使用を確認できる。
2024年現在も使用中。

こちらも真鍋さんも同じタイミングで本機に変えている。




⑧パワーサプライ について

最後に、各エフェクターに電源供給するパワーサプライ について紹介する。

⑴custom audio japan  AC DC Station Ver.2(2013?〜2018年 及び2023?〜現在)

出典: https://www.shimamura.co.jp/shop/kawaguchi/product/20160616/11

2000年代にカスタムオーディオジャパン(CAJ)よりリリースされていたパワーサプライ 。現在は廃盤。

それまでさわおさんはパワーサプライ の使用は見られず、各々のエフェクターはアダプターや電池で駆動させていたと思われるが、ピロウズ活動再開の2013年の足元より使用が確認できる。

次に紹介するVer.6に置き換わってからは足元からは姿を消したが、2023年頃よりアンプ上に置いて接続しているKLON KTRとBOSS GE-7の電源供給用として再び使用しているのを確認できる。



⑵custom audio japan  AC DC Station Ver.6(2019〜現在)

出典: https://www.okada-web.com/caj/ac-dc-station-vi

2019年リリースの上のACDCステーションの後継機種。現行品。

2019年のライブ画像から使用を確認。
以降現在まで使用中。





次回は真鍋さんのエフェクターに関して紹介していきます。
ギターと同様に使用してきたエフェクターも多岐に渡るので前編・後編に分けて紹介していく予定です。

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