【機材紹介】Seed CAOS
今回は友人から拝借しているギター、Seed CAOS(シードケイオス)について紹介します。
借り物とはいえど、忖度なくレビューしていきます笑
①概要
⑴スペック
⑵Seed(シード)とは?
以下の過去記事でも軽く触れましたが、SeedはSago(以下サゴ)が展開する廉価ブランドです。
「アーティスト本人と同じギターが欲しいけど、高くて手が出ない」というファンの声を受け、ピロウズの真鍋さんが発案したことでブランドが誕生しました。
Seedというブランド名は、楽器初心者に向けて「音楽業界に種(Seed)を蒔く」という願いが込められています。
Seedの各モデルは楽器初心者が手に取りやすい価格帯(軒並み10万円以下)を目指すために、海外(明確には謳われていないが中国か韓国)で生産し、検品をサゴで行い、コストダウンと品質を両立させています。
当然木材やピックアップ等のパーツ類は本家サゴのものに比べるとダウングレードしますが、見た目がアーティスト本人とほぼ同じものが手頃に手に入るのは嬉しいところですね。
本機は真鍋さん本人が使用するシグネチャーモデル(Sago CAOS)を元に、2010年にSeedブランドから第一弾として登場しました。
以降ピロウズだけでなく、鶴、UNISON SQUARE GARDEN、戸高賢史氏、ハンブレッダーズ等様々なアーティストのシグネチャーギター・ベースを展開しています。
Seedの各モデルは基本的に限定生産で売り切れても再生産は行わないため、欲しいモデルが発売しているうちにゲットすることをオススメします。
ちなみに某楽器店の情報によると、本機は限定わずか120本の生産だったようです。
そのため、発売当時筆者は試奏したく都内の複数の楽器店で探しましたが、在庫があったのは1店舗のみでした。
②特徴
次に本機の特徴について触れていきます。
タマ数が少ないギター故に中々ネットでレビューされている方が少ないため、参考になれば幸いです。
⑴本人使用と同じピックアップを搭載・コイルタップも可
他のSeedのモデル含め、この手の廉価版ギターはコストダウンのために名も無いピックアップや廉価版ピックアップを搭載しているのが通例ですが、本機はなんとSago SPH-4という真鍋さん本人が使用するCAOSと同じピックアップが搭載されています。
このピックアップはSago CAOSのために専用開発されたピックアップで、当時から単体販売はされていませんでした。
現在はサゴのピックアップのラインナップ形態は変わってしまいましたが、当時は他にSPH1〜3のハムバッカーがラインナップされており、1個2〜3万円程だったと筆者は記憶しております。
このピックアップもそのくらいの値段と考えると、本体代からいかに本機がお買い得だったかが伺えます。
また、本機はフロント・リアピックアップ共にコイルタップでき、それぞれのトーンノブを引っ張ることでコイルタップしたシングルコイルのサウンドが楽しめます。
筆者は過去に短期間だけ後継のシグネチャー「Seed Rutile」を所有していましたが、それと比べると明らかにコイルタップした際の音がしっかりしているという印象を受けました(Rutileの方は特に名のない廉価ピックアップが搭載)。
⑵ワイドなネック
上記の過去記事の通り、Sago CAOSはそれまで真鍋さんが使用していたレスポールDCをベースに設計されましたが、レスポールDCと大きく異なる点の1つに幅広なネックであることが挙げられます。
これは真鍋さんのギタープレイがビブラートを多用するスタイルであり、弦落ちしないように6弦側1弦側共に広く面積が取られているものと思われます。
そのため、レスポールDCとはネックの厚みは同等ですが、握り心地は大きく異なり好みが分かれるところでしょう。(ちなみに筆者はこれが苦手で当時購入を見送りました)
⑶実はメイプルネック!?
Sagoの方のCAOSはもとより、CAOSのベースとなるレスポールスペシャルやそのコピーモデルも含めこのタイプのギターはマホガニーネックであることが殆どで、本機もそうであると思っていました。
しかし、筆者のXアカウントのフォロワー様の情報によると実はメイプルネックである可能性が判りました(その方の所有するSeed CAOSはボディ・ネック裏の塗装が剥がされており、明らかにネックの杢目がメイプルだったため)。
現在では公式のスペックがネット上に残っていないため真偽を確認することが不明ですが、仮に本当にメイプルネックだったとしたらギブソン系ギターの弱点であるネック折れに対しては強いと思われます。
Seedブランド自体が初心者向けなのでビギナーに対する配慮のためなのか、それとも単純にコストカットの目的なのか、真相が気になるところです。
③レビュー
⑴良い点
音の良さや仕上げ、弾きやすさを総合的に考慮し、コスパの高いギターであると言えます。
音の良さに関しては前述のピックアップによる恩恵が大きいと思われますが、ボディやネックの作りがしっかりしていることや、ハードウェアパーツも名も無いものとはいえちゃんとしたものが搭載されているおかげもあると思います。
音色の特徴としては、ピックアップによるものかメイプルと思われるネックによるものか、レスポールタイプにしてはやや明るめな音といった印象です。
そのため、前述の通りコイルタップした際の音が使える音色で、よくあるコイルタップの「しょぼい音」にはならず実践で使えるサウンドです。
また、この価格帯のギターにありがちなフレットのバリもなく、フレット先端も綺麗に丸められているので非常にスムーズです。
重さについても意外と軽く、計測はしていませんが3キロ前半〜半ばくらいでストラップにかけて長時間弾いても疲れにくいのもgoodポイントです。
⑵悪い点
次に述べることはこの個体に限った話の可能性もあるので、全てのSeed CAOSが当てはまるとは限りません。
まず最も気になったのは、ナットの溝が浅いということです。
それ故にローフレット側の弦高が異様に高く、デフォルトでは弾きづらい状態でした。
前述のフレット処理が丁寧だった反面、ナットの溝切りは雑だったので検品が今ひとつだったのかなといった印象です。
また、軽いが故にややヘッド落ちしてしまいます。
この点については前述のメイプルと思われるネックが裏目に出た部分です。
(メイプルはマホガニーに比べて重いため)
それ以外には
塗装が黄ばみやすい(この個体はまだ程度が良い方で、他の中古品を見ると個体によっては汚らしく黄ばんでいるものも見かけます)
トラスロッドカバーが1点留めで心許ない
という点が挙げられます。
レビューは以上となります。
発売から15年も経っているので、製造数と相まって中古市場でも中々見かけませんが、フリマサイトやデジマートをしぶとく漁っているとたまに出てくるので、気になった方は探されてみてはどうでしょうか?
現時点ではフェンダーやギブソンのようなプレミアもついていないため、中古でもコスパ良くゲットできるかと思います。