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【the pillowsギター機材まとめ】真鍋吉明の使用エフェクターについて(後編)

前編、中編の続きになります。
今回は真鍋さんの現在・過去に使用するエフェクターのうち、その他のエフェクターについて解説していきます。
前回まではサウンドの中心となる歪みや空間系について解説しましたが、今回はイコライザーやブースターといった縁の下の力持ち的な役割を持つものや、ワウ等の飛び道具についての解説になります。
今回は今までで一番ボリューミーですが、最後までどうかお付き合いください(笑)



⑤ラインセレクター・ジャンクションボックス編

⑴Sobbat SW-1 A/Bブレイカー(?〜2017年)

https://www.sobbat.com/sw1.html

国内メーカー、ソバットのラインセレクター。
2000〜2010年代に販売され、現在は生産終了。
バッファー機能も内蔵していることが特徴。

以前の記事(前編の⓪章)にて述べたように、長らく真鍋さんは本機を使用しオーバードライブorディストーション↔️ファズの切り替えをしていた。
導入時期は不明だが、本機も2001年のDVDの時点で使用が確認できる。
2018年に中編で解説したMS-3スイッチャーを導入してからは使用していない。


⑵custom audio japan INアンドOUT(2017〜2019年?)

https://www.okada-web.com/discontinued/in-and-out

国内メーカー・カスタムオーディオジャパンのジャンクションボックス。
2010年代に販売しており、現在は生産終了。

2017年アルバム「Nook in the brain」から2019年公演の30周年ライブまで使用を確認。
以降は不明だが、2023年のファンクラブブログの画像内にあるエフェクターボードからは次のJB-21に置き換わっていた。


⑶free the tone JB-21?(2023年?〜現在)

https://www.freethetone.com/products/detail13/

国内メーカー・フリーザトーンのジャンクションボックス。
現在も発売中。

上で述べたとおり2023年のファンクラブブログの画像内にあるエフェクターボードから確認できたため、正確な導入時期は不明。
また、似た見た目をした本機の発展版「JB-42S」「JB-82S」もあるため、ブログ画像からは本機であるとは断定できない。



⑥イコライザー・ブースター・バッファー編

⑴BOSS GE-7 イコライザー(2001年前後 及び2013年〜現在)

出典: https://www.boss.info/jp/products/ge-7/

以前の山中さわお使用エフェクター記事でも解説しているため、そちらも参照してほしい。

導入時期は不明だが、2001年DVD時点ではボード内にあるのを確認。
その後は10年以上ボード内には無かったが、2013年のピロウズ活動再開時から現在まで再び使用されている。

真鍋さんは歪みの後に接続し、不要な周波数帯をカットする使い方。
2017年のギターマガジンの特集では、以下のように当時のセッティングが公開された(以下画像)。

出典: https://www.digimart.net/magazine/article/2017010202460.html

また、真鍋さんは本特集で以下のように語っている。
さわおさんと同様、真鍋さんにとってもGE-7はピロウズサウンドにおいて地味ながらも重要なエフェクターであると言える。

 僕はいろんなメーカーのイコライザーを試してきたんですけど、GE-7はEQポイントが独特なんですよ。僕が一番動かしたいのは3.2kなんですけど、ほかのメーカーにはその帯域が付いているものがあまりなくて、重宝しています。普段は歪みエフェクターの直後につないで、ギターのムダな部分をカットしていますね。アンプの設定はフラットなので、きっちりとした調整はGE-7で行なうんです。それと、やっぱりイコライザーはブーストするんじゃなく、カットしたほうが良い。それはミックス作業のエンジニアリングから学びましたね。1回帯域を上げてイヤなところを探すんです。本当に良いギターの音を出したいなら、GE-7は良い相棒になりますよ。

出典: https://www.digimart.net/magazine/article/2017010202460.html


⑵MXR KFK-1(2004?〜2007年 及び2012〜2013年)

出典: https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/55586/?srsltid=AfmBOorrUM0uDTrWqUs_cM-spb6K3DYpOCCFad1ok6l9WTuaBpB8cW-K

MXRのケリーキングのシグネチャーモデルイコライザー。
現在は生産終了。

2004年アルバム「Good dreams」から2007年アルバム「wake up!wake up!wake up!」まで使用されているのを確認。
その後はしばらくイコライザー自体ボード内に入ってなかったが、2012〜2013年の真鍋吉明ソロの際に再び使用された。


⑶MXR M133 マイクロアンプ(2008〜2011年?)

出典: https://moridaira.co.jp/posts/mxr-m133

1970年代末から現在まで発売されているMXRの定番ブースター。

真鍋さんは、「ギターソロ時にON」というよくあるブースターの使用法ではなく、ボードの最前列に配置し所謂バッファー的に使用していたと思われる。

2008年アルバム「PIED PIRER」から2011年アルバム「HORN AGAIN」まで使用されていたのが確認できる。


⑷Xotic EPブースター(2014〜2017年)

出典: https://xotic.jp/effects/ep-booster/

アメリカはカリフォルニアのギターメーカー・エキゾチックのブースター。
現在も発売中で、所謂クリーンブースターの中では近年最も人気があると言っても過言ではない。

2014年公演の25周年ライブから2017年アルバム「Nook in the brain」まで使用を確認。
使用用途は上のマイクロアンプと同じと思われる。


⑸MXR MC406 CAEバッファー(2014〜2016年)

出典: https://moridaira.co.jp/posts/mxr-mc406

MXRのカスタムオーディオエレクトロニクスとコラボのバッファー。
現在も発売中。

2014年公演の25周年ライブから2016年アルバム「STROLL AND ROLL」まで使用されていた。


⑹Eleven guitars ミッドモジュレート(2016年のみ?)

出典: https://x.com/sd_editor/status/716959848219316225?s=61&t=apN8WzyA36M03atf3CzUhQ
本人使用エフェクターボードより

こちらのエフェクターは日本で流通していない機種のため、メーカー・機種の情報全て不明。

本機が入ったボードが紹介されている雑誌によると「ミッドブースト/カット」とあることから、ブースター的に使用されたのではないかと思われる。
→追記:雑誌インタビューによると、「アンプがクランチの状態の時に踏むと、艶のあるクリーンサウンドになる」とあるため、ブースターの逆バージョン的な使い方をしていた。

2016年アルバム「STROLL AND ROLL」の頃のみ使用された。


⑺MXR M294 シュガードライブ(2018年〜現在)

出典: https://moridaira.co.jp/posts/mxr-m294

MXRのオーバードライブ。
現在も発売中。
伝説のオーバードライブ「KLON ケンタウロス」の所謂クローン品。
さらにバッファーのオンオフも可能。

2018年アルバム「REBROADCAST」から現在まで使用されている。
こちらもマイクロアンプやEPブースターと同じ使用法かと思われる。



⑦コンプレッサー編

⑴MXR CSP202 カスタムコンプ(2010〜2011年?)

出典: https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/152587/?srsltid=AfmBOooIDOpjx8cUndBI7q4VpFM8LE-bvnLrcO8gdDQJHUnXGtjQqGA-

MXRのコンプレッサー。
現在は生産終了。
MXRの名コンプ「ダイナコンプ」の改良版。

2010年末シングル「movement」ツアーライブから2011年アルバム「HORN AGAIN」まで使用されているのを確認。


⑵Empress Effects コンプレッサー(2012〜2016年)

出典: https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/167816/

エンプレスはカナダのエフェクターメーカー。
本機はそのコンプレッサーで、現在は生産終了。

2012年のソロ活動から2016年アルバム「STROLL AND ROLL」まで使用を確認。


⑶CARL MARTIN アンディティモンズ シグネチャーコンプレッサー(2017年のみ)

出典: https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/207132/

カールマーティンはデンマークのエフェクターメーカー。
本機はギタリスト・アンディティモンズシグネチャーのコンプレッサー。

2017年アルバム「Nook in the brain」の頃のみ使用されていた。


⑷BOSS CP-1X コンプレッサー(2019年のみ?)

出典: https://www.boss.info/jp/products/cp-1x/

2016年発売のボスのコンプレッサー。
現在も発売中。

2019年公演30周年ライブにて使用されたのを確認。
以降は不明だが2023年時点のボードには外れていた。




⑧ワウペダル編

⑴MORLEY VAI-1 バッドホーシー1(?〜2007年)

出典: https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/55199/?srsltid=AfmBOooEbFm-dK1sHkWSLppCIu1ZyMXIrEXHJCNmwh_5pcPh7tcrxpd9
※画像の機種は本人使用のものと筐体デザインが異なる

モーリーはアメリカのペダルエフェクターメーカー。
本機はギタリスト・スティーヴヴァイとの共同開発によって生まれたシグネチャーモデルで、従来のワウと異なる光センサー構造を採用しスイッチ不要でオンオフが可能。
現在は生産終了。

導入時期は不明だが、こちらも2001年DVD時点では使用が確認できる。
2007年アルバム「wake up!wake up!wake up!」まで使用されたのを最後に、以降はワウ自体使用しない時期がしばらく続く(2008〜2011年頃)。


⑵MORLEY マーベリック(2019年のみ?)

出典: https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/164751/?srsltid=AfmBOoonYfenr7E9KP1p1mTfxr2YCy5uN2ihqYngT_tnyCoVqq1JhK7B

同じモーリーのワウペダル。
モーリーワウのウリである光センサーはそのままに小型化したモデル。
現在は生産終了。

2018年に、それまで空間系エフェクトを担ってたマルチエフェクターM13・M9からボスのMS-3スイッチャーに変わった後の2019年公演30周年ライブ前後に使用された。
その後は不明だが、マルチがMS-3からGT-1000に置き換わったと同時にボードから外れたと思われる。



⑨その他エフェクター

⑴TECH21 トライ-O.D.(?〜2004年)

出典: https://amzn.asia/d/fb3mWQP

テック21はアメリカ・マンハッタンのエフェクターメーカー。
アンプシミュレーター「サンズアンプ」が代表的なモデル。
本機は、その名は冠していないもののサンズアンプと同じアンシミュで、フェンダー系メサブギー系マーシャル系の歪みをシミュレートしている。

導入時期は不明だが2001年DVDの時点にはボード内には無く2004年アルバム「Good dreams」の頃のみ使用が確認できるので、2002〜2004年の間に導入されたと思われる。

真鍋さんはライブではほとんどアンシミュを使用しないため、例外的に導入された本機が3つのどのチャンネルを使用していたか不明。


⑵BOSS PS-5 スーパーシフター(?〜2004年)

出典: https://www.boss.info/jp/products/ps-5/

1999〜2010年発売のボスのピッチシフター。
現在は廃盤。

上のトライODと同時期の使用。
ピッチシフターについても真鍋さんはほとんど使用しないため、用途不明。
ただし、ピッチシフターはエフェクターボードの前側に接続するのが通例だが、真鍋さんはボード後側に接続してたのが筆者としては興味深い。


⑶DigiTech ジャムマンステレオ(2017年のみ)

出典: http://www.digitechjapan.jp/products/JamManSTEREO/JamManStereo.php

デジテックはアメリカのエフェクターメーカーで、代表機種に「ワーミー」が挙げられる。
本機はルーパーエフェクターで、現在は生産終了。

2017年アルバム「Nook in the brain」のインタビューにて使用が確認できるが、同アルバムのライブツアーレビュー内のボードには姿が無いため、レコーディングのみの使用かと思われる。



⑩パワーサプライについて

最後に、真鍋さんのパワーサプライ について紹介する。
真鍋さんはマルチ等も使用するため、⑴除きAC(コンセント)を装備した大容量タイプを使用しているのが特徴。

⑴Guyatone AC-102N?(2001年前後)

出典: https://store.shimamura.co.jp/ec/pro/disp/1/tp043-0388910

グヤトーンは国内のギターメーカーで、現在は倒産。

2001年DVDにて使用確認できるが、画質が荒いため正確に本機であるかどうか断定できない(本機種の前後世代の機種も非常に似た外観であるため)。


⑵VooDoo Lab ペダルパワー2(?〜2007年)

出典: https://brands.yamahamusicjapan.co.jp/products/voodoolab/category/powersupply/pp-ja
※画像は後継機種のもの

ブードゥーラボはアメリカ・カリフォルニアのエフェクターメーカー。
本機は、大容量パワーサプライの元祖的存在で、現在は後継の2plusが発売中。

こちらも導入時期は不明だが、2004年アルバム「Good dreams」の頃のボードより使用が確認できる。
2007年アルバム「wake up!wake up!wake up!」の頃まで使用された。


⑶Noah’sark AC/DC-1(2008〜2013年)

出典: https://www.ikebe-gakki.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=10044&bid=ec

ノアズアークは東京の池部楽器のプライベートブランド。
主にギターケース等アクセサリを中心に取り扱うが、本機は当時としては珍しくDCに加えてAC差込口を4つ備え、使用者が多かった。
2000年代〜2010年代に販売され、現在は生産終了。

2008年アルバム「PIED PIRER」から2013年ピロウズ活動再開時の頃まで使用された。


⑷free the tone PT-1D(2014年〜現在)

出典: https://www.freethetone.com/products/detail55/

フリーザトーンのパワーサプライ。
現在は生産終了し、後継の「PT-5D」が発売中。

2014年公演の25周年ライブの頃から現在まで使用。




以上で真鍋吉明エフェクター編は終わりです。

各エフェクターの移り変わりが多く、いかに真鍋さんがサウンドにこだわっているかがお分かりかと思います。
そんな中でもBD-2ブルースドライバーだけはずっと使われており、改めて真鍋さんのお気に入りなんだなと、調査・編集して実感しました。

次回はさわおさん・真鍋さん両者の使用アンプについて解説する予定です。

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