「月の石」の記事

ASIOS著『増補版 陰謀論はどこまで真実か』を批判する。第一回目の記事は、ASIOS会長本城達也による記事『アポロ計画で持ち帰った「月の石」は地球の石だった』を取り上げる。

本城会長の自己矛盾

 大槻教授は、東大物性研に研究用に持ち込まれた「月の石」は地球の石だったと考えている。一方、2019年にNASAは「アポロ14号が持ち帰った月の石が地球の石が含まれていた」というニュースを発表した。この記事はそれを否定していなく、以下のような記述がある。

「月に隕石として運ばれた地球の石は、月面を覆うレゴリスのうち、0.05~0.5%だと推定されている」(p233)

 つまり、東大物性研にはこういった石が持ち込まれ、大槻教授の主張が正しい可能性が十分にあるわけだ(月面着陸の真偽はともかく)。これは自明のはずだが。

東大物性研の研究結果

 前著(増補版でない方)で挙げられている東大物性研の研究結果が以下にある。わずか半ページほど、しかも講演要旨である。これだけだ。

『Apollo 11 号結晶質火成岩の溶融実験(日本火山学会 1970 年春季大会講演要旨)』秋本 俊一, 西川 正名, 桂 敬, 中村 保夫, 久城 育夫
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kazanc/15/1/15_KJ00003449761/_article/-char/ja/

 これは大槻教授の主張、彼の友人が学位に必要な研究結果をあげられなかったということを裏付けるものだ。そもそも、オカルト批判で有名な大槻教授が、そんな嘘を付く理由がない。本当にこういうことがあったのだろう。
 なお、前著であったこのリンク、増補版の参考文献にはない。

公式サイトには記載なし

 もう一つ。ASIOSの公式サイトにはアポロ疑惑をまとめたページがある。だが、そこに月の石に関する記述はない。

「アポロ陰謀論のFAQ」
https://asios.org/reports/apollo

 理由を推測するのは簡単だ。ワンクリックでショボい研究結果を確認できてしまうからだ。
 つまりは、本城会長は最初から自分の主張の程度を自覚していたのだ。

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