突然破棄されたクラウドファンディングの内容全文

はじめに・ご挨拶


まず、このような企画を承認して下さったグッドモーニングスタッフの皆さんと、このページに来てくださった皆さんに感謝を申し上げます。

私は、これまで匿名で安楽死制度の法制化を目指す活動を行ってきました。
この分野には、目を背けたくなるような悲惨な状況や、残酷な現実が数多く存在します。
誰もが、事故等により、明日どのような姿になるかわかりません。
何故、このような重要な問題に対して、皆さんが真剣に向き合い、活動を起こすことが出来ないのでしょうか?
その答え。長くこの問題と向き合い活動を行ってきた私の方が、皆さんよりもよくわかるような気がしています。
活動の難しさ、法制化の難しさを伝えるための映画、もしくは映像作品を、プロの方の力を借りて作成したいと考えています。



プロジェクトまでの経緯


私が死の権利の法制化を目指すブログを作成したのが17年6月、その二年後に安楽死制度を考える会が選挙に出馬し話題になりました。

選挙をきっかけに活動を再開し、ネットを通して多くの方と出会う中でALS女性にツイートをしました。しかし、質問への返答はなく、今年7月に事件が公になりました。

ALS女性嘱託殺人事件。このニュースは大きな話題となりました。女性がどのような状況で殺人の依頼を行ったのか、その残酷な実態が明るみになったからです。

日本の医療の残酷な実態にスポットがあたる。その流れに抵抗するように、犯人を悪い医師とするニュースが連日報道され、「優生思想」という言葉がトレンド入りしました。

このニュースは、手足を動かすことが出来ず、視線入力装置を使ってしか意思表示出来なくなっていた女性が、その視線すら弱くなっていく中で殺人を依頼した事件であり、事件がなければ、多くのALS患者の恐れるTLS(完全閉じ込め状態)になっていた可能性が高い。これは、介護の不注意で激痛に襲われたとしても何も言えない、誰にも気付いてもらえない、意識が鮮明なのに、意思表示が出来ない状態のことです。このような状態で何年も生き続ける可能性がある。活発だった女性の身に起きた、誰にでも起こりうる悲劇。この残酷な実態こそが事件が注目を集めたきっかけであり、優生思想とは無縁の事件であるはずなのです。

安楽死制度を連想させる事件が起こる度に、過剰に偏った報道をするマスコミが現れ、ネット上が炎上、そして、障害者団体らが安楽死制度反対の声明を発表します。一時的に安楽死の話題で盛り上がり、ほとぼりが冷めた後に、安楽死に対するネガティブキャンペーンが始まります。このような流れは、過去何度も繰り返されてきました。

繰り返される反対運動と、ようやく表面化した当事者の声。当事者の声は守られるのか。

私は、今回この流れに大きな変化が生まれたと感じています。それは、圧倒的に障害当事者の声が増えたことです。安楽死制度に否定的な報道をするマスコミ、それに異を唱える障害当事者とその介護者。

この変化は、障害者数の増加では説明できないと思います。私は、おそらく視線入力装置の普及が大きいのではないかと考えています。

医療に依存せざる負えない。日々、医療スタッフに感謝しながら生きていかなければ良好な関係を築くことが出来ない。そんな環境で生きている方々が、生きたくないと意思表示することにどのような意味があるのか想像できるでしょうか。

生活の全てを医療に依存する彼らに、今後も自由な表現の場は確保されるのでしょうか。
私は、今、何かを始めなければならないと思いました。



このプロジェクトの背景


アンケートを取れば7割以上の国民が賛成と言われる安楽死制度、その必要性は当然だと思います。では、賛成できない方はどのような方でしょうか。

私は昭和56年生まれの39歳です。バブルの影響からか、小学生の頃には同級生の父親が相次いて自殺で亡くなりました。その後も日本経済は停滞が続き生きづらい社会になりました。安楽死制度に賛成できない方は、死を選択する人が増えると思っているのではないでしょうか。

私は自殺者が減らないのは、安楽死制度がないからだと思っています。自殺者のボリュームゾーンは男性の中高年です。私は同じ男として自殺を選択する男性に共感します。自殺には、ある程度の若さや勢いも必要だと思います。本当に不幸なのは、自殺する力もなくなった時です。安楽死制度に反対される方は、自殺する力も失った方を見て可愛いと感じる方ではないでしょうか。その感情は優しさの反面、見えない弱者を追い詰めることにもなると思います。

自殺は絶対にダメ。しかし、今の制度のままでは私も自殺を選びたくなる。反対派は無自覚な悪魔。

よく考えてみて下さい。身近な人が、安楽死の話をすることは怖いことでしょうか。
自殺は、ある日突然、人目のない所で亡くなります。本来、自殺は絶対にあってはならないものだと思います。安楽死には必ず手続きが必要です。見送ることも出来るかもしれません。引き止めることも出来るかもしれません。私は安楽死制度で、若い命、多くの命を救うことが出来ると考えています。

今年はコロナ禍で芸能人の自殺も相次ぎました。自殺の報道が出るたびに電話SNSでの相談先が案内されました。そこで、コロナ前の「令和元年版自殺対策白書(厚生労働省)」から記事を紹介させていただきます。



SNSの相談件数の割合です。一番上が年齢階級別の表で、下2つが男女比のグラフです。
圧倒的に女性の方が多いですが、感覚的に納得できる気がします。

芸能人の自殺報道が繰り返された後、若い女性の自殺者の増加が大きく報じられました。そのニュースの中で男性の自殺者の数に驚かれた方も多いと思います。もともと自殺者は男性の方が女性の倍以上多いのです。その女性の自殺者が1.5倍に増えても男性の自殺者の数に及ばないと感じた方もいると思います。ところが国際比較した場合に、その印象は大きく変わります。



国際比較した場合の男女比は3倍強、中には5,6倍になる国もあります。この表は7ヶ国に限られていますが、男女比が3倍に満たない国は、私が探した限りでは日本、韓国、ベルギーのみです。

安楽死制度の活動の一環として、事前にこのような記事に目を通していた私は、電話SNS相談の案内の効果に疑問でした。男性への効果が期待できないからです。ところが実際はターゲットとなるはずの若い女性の自殺者が増加したのです。我が国の若い女性の自殺率、生きづらさは深刻であり、これは国際的に見て恥ずべきことです。

私のように目的のために死を選ぶことにためらいのない男とは大きく異なり、女性は本来、自殺を選びにくい性質があるはずです。その女性の生きづらさについて紹介したいデータ、活動を通して感じたエピソードも多数ありますが、ここでは省略します。

今、行われている自殺対策は疑問。日本は、もっとこの問題と真剣に向き合うべき。

自殺は身近な問題です。30歳以上の人であれば、一度は身近な人を自殺でなくした経験があるのではないでしょうか。次に、もっと身近な終末期医療の話をしたいと思います。

40歳、50歳以上の方であれば、私よりももっと残酷な延命治療の現場を見てきた人も多いのではないでしょうか。病が進むにつれて抗癌剤治療が必要になる。毛が抜ける。トイレに行けなくなる。歩けなくなる。ペースメーカーが必要になる。人工呼吸器が必要になる。話が長くなりそうです。度重なる手術。「もうやめてくれ。」泣き叫ぶ家族。とにかく治療を止めることが出来ないのです。助かる可能性がある限り治療を止めることが出来ないのです。幼かった私の耳にトラウマのように残っています。地獄はこの世にもあると思いました。死ぬことの出来ない苦しみ続ける地獄が、この世にも存在することを知りました。何も悪いことをしていないのに。

ニュースでは、人工呼吸器を停めた医師が罪に問われていました。障害者団体の反対活動がありました。インターネットはありませんでしたが、多くの大人が疑問の声をあげていました。昔も今も変わらないです。

苦しみながら亡くなる親族の姿に、幼い頃から疑問。

しかし、医療のあり方は大きく変わりました。昔よりも患者が治療を選択できるようになりました。一度付けた人工呼吸器を止めることは出来なくても、人工呼吸器を付けない選択は出来るようになりました。多くの大人達が、疑問の声をあげ続けた結果だと思います。

話はALSの話題になりますが、その結果、人工呼吸器を付けるALS患者は約3割と言われています。付けない患者は完全に多数派になっています。では、なぜ3割の患者は付ける選択をしたのか。最も多い理由は生きる選択ではなく、苦しいから。目の前の苦痛を回避するための選択だと言われています。

それでは、マスコミによく登場した人工呼吸器を付けながら安楽死制度に反対している障害者はどのような存在なのでしょうか。

先に、安楽死制度を求める重度障害者の、生きたくないと意思表示する難しさについて書きました。彼らは、日々多くの医療スタッフに依存しながら、医療スタッフに感謝しながら生きています。その関係性が壊れることは恐ろしいことです。

多くの障害者は、このような環境で人工呼吸器を拒否し、苦しみながら亡くなっています。なぜ、人工呼吸器を前に、苦しみながら亡くなる必要があるのでしょうか。

安楽死制度があれば安心。生きる選択が可能になる。

安楽死制度に反対する障害者もまた、このような環境で反対活動を行っています。彼らは、無理やりやらされている訳ではないでしょう。生きることに積極的だから利害関係が一致する。障害者団体の活動にも積極的になる。マスコミにもよく登場する。それは彼らの生きがいにもなっているはずです。この構図が解れば、障害者団体が障害者達の気持ちを代弁するものでない事がよくわかるはずです。

ALS女性嘱託殺人事件。彼女は生きることに積極的なタイプの女性であったと思います。引越し、生活保護、ヘルパーの手配、様々な手続きをご自身で行われていました。しかし、そんな彼女もTLSの恐怖から死に方を考えるようになった。彼女は胃ろうによる食事量を少しづつ減らして餓死する方法を医師に提案していました。
なぜ、このような死に方をしなければいけないのでしょうか。このような理不尽がまだまだ続きます。
安楽死制度がない現在の制度では、この方法は最も苦痛の少ない方法として一般的に行われている方法です。しかし、医師には従う義務はなく、拒否しても罪に問われません。
そして、胃ろうの設置への同意が疑わしい。これも、明確な証拠がなければ、罪に問う事は難しい。

犯人ではなく、主治医との関係に注目して欲しい。

ツイッターからの情報では、彼女は、胃ろうの設置前から死に方を模索していました。そして、胃ろうの設置を明確に後悔していました。
主治医は、彼女の早く死にたい、苦しまずに死にたいと言う気持ちを利用して、胃ろう設置に上手く誘導していたのではないでしょうか。そして、後悔する彼女の主張をのらりくらりとかわしてTLSに追い込み、診療を続けようとしていたのではないでしょうか。この2つの疑惑を、マスコミは追求してくれるのでしょうか。

彼女は苦痛や死を恐れる一般的な女性であり、現在の制度は、そんな彼女に餓死を決断させるような残酷な制度です。日本でのALS患者数は年々増加し、現在では1万人程度、そのうち1割程度がTLSになると言われています。国内にTLS患者が1000人程度いるとすると、彼らはどのようにTLSになっていったのでしょうか。

このままでは、事件の真相は闇に消えてしまう。

彼女は、死にたいという願望を、最後まで父親にだけは言わなかったそうです。
事件が公になった後、連日のようにALS患者のニュースが流れてきました。その多くが、生きる選択をした患者達です。私はその記事から、彼らが安楽死制度に反対する背景、その周囲の人達、生きる選択をしなかった人達の苦しみ、今も苦しむ患者さん達、そのすべての構図が連想されて非常に辛かったです。しばらくALS関連の記事を見ることが出来ませんでした。

私が皆さんの力を借りてお伝えしたいこと

いかがでしょうか。私は、これが日本の最暗部。死の恐怖を超える、永遠に感じる苦痛と恐怖の問題であり、究極の問題だと思っています。しかし、お伝えしたいことは、まだあります。

先ほど私は、大人達が声をあげてくれたおかげで、日本の医療のあり方は大きく変わったと言いました。しかし、見方を変えれば何も変わってないとも言えます。患者の意思を尊重する医療は努力目標であり、医師の責任を問えるものではありません。だから地方の病院では、助かる見込みのない患者にも、お金にならないでしょと言って、平然と管から栄養を注入し延命をはかる。苦しみを長引かせるだけと分かっているはずなのに。
今でも命を救うのが正義、治療を続けるのが正義であることに変わりはないのです。

正義と正義の戦いをエンタメに利用して欲しい。みんなに知って欲しい。面白い作品になる。

厚生労働省の提唱する人生会議(ACP)、日本尊厳死協会の提唱するリビングウィル、公証役場で作成できる尊厳死宣言公正証書、さらには海外の安楽死制度など、この分野における様々な制度との関係性がこの分野を難しくしています。

安楽死制度成立を拒む要素、社会的構造、エピソードは山のようにあります。誰にとっても身近な問題でありながら、安楽死制度に関する映像作品は非常に少ないです。そして、安楽死制度を拒む複雑な社会構造にスポットを当てる作品は皆無ではないかと思います。この話は、絶対に面白いです。

このような話を、プロの力を借りて映像作品にまとめたいと考えています。



資金の使い道


初めてのクラウドファンディングですが、志を大きく高めの目標金額を設定しました。資金が十分に集まらなかった場合は、予算に合わせて作品制作に協力していただける方を探して、共同で作業を進めたいと考えています。その場合、自前でDVD−Rに焼くことも考えているので、DVDの枚数は20枚と少なめに設定しています。ご了承下さい。

資金が十分に集まった場合は、金額に見合った作品、理想の安楽死制度実現に向けて、効果的なプロモーション方法を模索したいと考えています。是非、ご期待下さい。

皆様からの支援に自費を加えて、精一杯良い作品を作りたいと考えています。



実施スケジュール


令和3年
2月 クラウドファンディング終了 金額に合わせて企画作成、協力者を募集開始

3月 ご支援へのリターン

5月 協力者との打ち合わせ後、作品作成開始。

令和4年
3月 DVD発送期限 ※準備でき次第の発送なので、予定より早くなる場合があります。



最後に


人生で成し遂げたい事はありますか?

私は、より良い安楽死制度の実現に向けて、少しでも貢献したいと考えています。

精一杯活動し、次の活動、もしくは次の人達に繋がるような活動にしたいです。

よろしくお願いいたします。




本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も予算に合わせて映像作品を作成し、リターンをお届けします。

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