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クトゥルフ神話TRPGシナリオ「Murphy’s Ghost」

前回公開後、テストプレイを行ない、修正版を作成しました。
PDFファイルを無料ダウンロードできますので、下記からご利用ください。
https://8works.booth.pm/items/2062582

これ以後の文章については、#ムビシナの企画締切日までに2日間で作成したものなので、色々と粗があります。プレイをお考えの方は、前述のBOOTHのホームページでPDFファイルをお使い頂けますようお願いします。










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※ここから先の文章は、修正前のものです。
 プレイに支障があるため使用しないでください。
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#同じ映画から作る千差万別TRPGシナリオ
#ムビシナ
ゲームシステム:クトゥルフ神話TRPG
シナリオ名:「Murphy’s Ghost(マーフィーズ・ゴースト」
舞台:現代日本(若干のSF/オカルト)
プレイヤー数:3名
想定プレイ時間:2~3時間


◆はじめに
これは、矢鹿(やしか)@TRPG&ボドゲ勢 ボドゲ製作中(@rusty_keeper)さんの呼びかけた #同じ映画から作る千差万別TRPGシナリオ #ムビシナ の企画用のシナリオです。
今回テーマとなったのは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」です。

◆イントロダクション
 8年前に突如太平洋上に出現した巨大な黒い円形の物体。マイルフィックと呼ばれるそれに呑まれた者は姿を消した。しかし研究の末、特定の条件を満たす少年・少女はマイルフィックに呑まれないことが判明した。彼らは人類最後の希望として戦いに身を投じる。

◆シナリオコンセプト
 プレイヤーたちは、マイルフィックと戦う少年たちを戦場へと送り込む指揮官や技師としてプレイします。采配の失敗は少年たちの死亡、人類滅亡の危機を招きます。少年たちを鍛えつつ信頼関係を深め、任務を達成することが求められます。

◆ハンドアウト   
探索者①:現場指揮官(爆破テロを免れた旧委員会の構成員)
探索者②:訓練教官(テストパイロット)
探索者③:開発技術者(戦闘支援AIマーフィの開発者。特殊作戦用戦闘機ゴーストの開発にも関わる)

◆ストーリー(粗筋)
 「マイルフィック対策委員会」のメンバーであるPCたちは、選別された少年たちと出会う。信頼関係が育まれる一方で、彼らを死地に送り込まなくてはならない葛藤がPCたちを苦しませる。
 マイルフィックを撃退するためには、「フェイズ1の封じ込め」「フェイズ2の撃退」が必要になる。封じ込めには戦闘機“ゴースト“を用いてマイルフィックを水平・垂直双方からスモークで囲う必要がある。これにはバチカンから提供された特殊なスピンドル油を用いる。撃退ではCERNと理化学研究所で開発した反物質弾道弾を用いる。これは戦闘機にミサイルとして搭載される。少年たちはフェイズ1のアクロバット飛行とフェイズ2のミサイル攻撃、それとそれを補助する囮役を担わなくてはならない。この計画全体は「ムラマサ作戦」と呼称される。
 少年たちの操縦は戦闘機に搭載されたAI“マーフィ”によって支援される。マーフィは単独での使用も可能だが、地上との通信によりスーパーコンピュータ等の情報処理や演算のサポートを受けることでより高度な戦闘支援を行なうことができる。
 少年たちが任務を果たすことができれば、日本は救われる。その成否を決めるのはPCたちによる訓練の成果や信頼関係の構築、作戦開始日までの技術開発の進捗、作戦での指揮伝達や支援しだい。

◆マイルフィックとは 
(Maelific―命名者はミスカトニック大学の超物理学教授ロバート・ワードナー博士)
8年前に太平洋上高度約7000mに出現した直径2㎞ほどの黒い円形の物体。観測では厚さは0㎜またはマイナスとされ、物理的にあり得ない存在として世界を震撼させた。極めてゆっくりと東西に移動し、マイルフィックの20㎞圏内の島々の住民や船舶、観測のために近づいた航空機等の乗員は姿を消した。世間ではこれを、「マイルフィックに呑まれた」と呼んでいる。一部に呑まれなかった子供たちが存在し、彼らはすぐさま研究の対象とされた。研究結果は極秘とされてるが、特定の条件を満たした者がマイルフィックに呑まれないことが判明している。移動は周期的に起こり、その移動距離は回を重ねる毎に大きくなっている。各国の研究機関の観測により、日本の関東地区に到達することが5年前に予測され、政府はすぐにマイルフィック対策委員会を立ち上げ、条件を満たす少年たちを選別すると共に対抗手段の立案を開始した。これまで米国を筆頭に、核攻撃も含めた物理的な攻撃を行なったが、有効性は認められていない。既存の兵器では歯が立たないことが判明したため、バチカンから提供された資材を活用した上で反物質弾頭を用いるムラマサ作戦が立案された。しかし、マイルフィック到達6か月前の作戦実施直前に委員会本部が爆破され、委員会の主要なメンバーや少年たちが死傷したことにより作戦計画は出直しを迫られることになった。テロ行為とされるこの爆破は、マイルフィックを「神罰」として崇める一部カルト教団の犯行との推測がされているが、捜査よりも作戦が優先され真偽は定かではない。作戦は新たなメンバーにより実施されることになる。
 なおシナリオクリア後も、マイルフィックの正体についての謎が明かされることはない。

◆戦闘機ゴースト   
 防衛省が秘密裡に開発を継続していた先進技術実証機を対マイルフィック作戦用に改修した戦闘機。型式はATD-Gゴースト。小型だが運動性と機動性に優れているが、最大の特長は複座式の前席を取り払い、戦闘支援AI“マーフィ”を搭載したことである。ムラマサ作戦では未熟なパイロットが搭乗することもあり、安定した飛行・戦闘行動が可能にするためにはこの変更は必須であった。外見上、装甲の施された前席キャノピー部にあるセンサーが3つの目玉のように見える。
 運用可能な機体は5機あったが操縦訓練中に墜落1と損傷1、爆破テロで損傷1。問題のない2機と作戦開始までに修理完了見込みの2機の合わせて4機が作戦に投入される予定。作戦用途に応じて各機特殊な改造を施す余地もある。
 各機はゴースト01、ゴースト02のようにコールサインが決められている。

◆支援AIマーフィ 
 探索者③が開発を行なっていた戦闘支援システム。元々は航空自衛隊で退役したF4ファントム戦闘機に搭載して実験を行なっていた。作戦に合わせて、より高性能な戦闘機ゴーストに搭載することになった。

◆シナリオの展開  
1.シナリオ導入部
1-1 医療施設にて

舞台:病院
登場:探索者①、八十島
概要:八十島との会話と爆破テロ
解説:探索者①は操縦訓練を兼ねたマイルフィックの観測に離陸した2機のゴーストのうち崎岡の乗る1機がマイルフィックの干渉を受け墜落、八十島の乗る機は帰還したものの損傷しパイロットも負傷したため、報告を聴取するため病院にいる。
八十島「距離18㎞まで接近したところで崎岡の機体がマイルフィックから攻撃されました。影のような黒い物体が飛来し、崎岡機を直撃、機体は外見上損傷した様子はなかったのですがコントロールを失い墜落しました。自分は崎岡機を救助できないか急降下した際、機体を海面に接触させ損傷しました。マーフィの判断でベイルアウトが行われ、海上でサポートチームのヘリコプターに救助され、病院に運ばれました。自分の機体はマーフィのコントロールで厚木に着陸したとの報告を受けています」
八十島は冷静に語るが、崎岡の死を受け入れることができず、マイルフィックへの復讐を誓っている。〈心理学〉で成功した場合には、そうした心の動きを察知することができる。また、彼の精神安定を図る場合は〈精神分析〉または〈信用〉で判定する。成功した場合またはロールプレイが適切だとキーパーが判断した場合には、八十島のSANが1d10+3回復し、信頼関係を1ランク上昇させる。また、〈医療〉か〈応急手当〉により適切なリハビリを指示できたということで、HPを1d3回復できる。
病室から出たところで緊急のコールサインがあり、委員会本部で爆発があり死傷者多数との知らせを聞く。
1-2 爆破現場にて
舞台:マイルフィック対策委員会本部ビル
登場:探索者③、住良木委員長
概要:住良木委員長から作戦を託される
解説:研究所から爆破を目撃した探索者③は本部ビルに駆け付ける。目を覆わんばかりの惨状で、作戦参加予定だったパイロットたちの死亡も確認することになる。重傷を負って病院へ搬送される住良木委員長から、探索者①を筆頭に今後の作戦遂行を指示される。委員長権限での情報閲覧権限も委譲されるが、これを他の探索者にも開示するかどうかはプレイヤーが決めてよい。計画書から第二次選定パイロット候補生4名のリストを入手することができる。また、研究機関の報告書には、高い確率で「成長を終えていないこと」を前提に、「本人に自覚や記憶のない臨死体験があること」がマイルフィックに呑まれない条件になっていると記載されている。従って、パイロットにこの条件を告げると作戦遂行時の生還率を著しく損ねる恐れがあると報告書は警告している。
探索者③は探索者①と協力して、第二次選定パイロット候補生を招集することになる。
1-3 教官の招集
舞台:飛行訓練所
登場:探索者②
概要:候補生たちを即席要請するためにテストパイロットが教官として呼ばれる
解説:マーフィ搭載のファントムにてテスト飛行を行なう探索者②の元に管制から連絡が入る。新たなパイロット候補生を即席で要請するために、テストパイロットだった探索者②が教官として招集されたとのこと。前任者は爆破テロで死亡したため、現在適任者が他にいないこともあり、そのまま委員会本部のある厚木飛行場に向かうよう指示される。

2.少年たちとの出会い
2-1 新たなパイロット候補生たち

舞台:仮説の委員会本部
登場:探索者全員、パイロット候補生全員(八十島・中石・古川・遠海・和久井)
概要:全員の顔合わせ
解説:探索者たちとパイロット候補生たちは初めて顔合わせをする。時間がないため自己紹介もそこそこに、作戦の成功率を高めるための行動を開始しなくてはならない。作戦開始までに使える日数はわずかで、ターンにして10ターン分しかない。
◆同室判定(毎ターン終了時に行なう)
パイロットたちは寮生活となるが、だれと同室にするかを探索者が決めることができる。協調が違うNPC同士だった場合には、より協調が低いNPCの協調は1ランク上がる。同時に部屋割りを決めた探索者の〈信用〉またはAPP×3倍で失敗した場合には、協調が高いNPCの信頼が1ランク下がる。最低はEランクでそれ以下はない。探索者と同室にした場合には、探索者の〈信頼〉またはAPP×5倍で判定し、成功した場合には信頼が1ランク上がる。また、プレイヤーが望めば〈心理学〉〈精神分析〉〈説得〉〈言いくるめ〉のいずれかの判定を行なうことができる。この判定に成功すれば協調を1ランク上げることができるが、失敗すると信頼と協調がともに1ランク下がる。キーパーは判定によらずロールプレイによる成果をランクに反映させたり判定に影響させたりしても良い。
部屋割りはターン毎に変更できる。

3.訓練・信頼関係の構築・技術開発のリソース配分
3-1 作戦までの日々

舞台:委員会本部・飛行場・研究開発室
登場:全探索者・全パイロット
概要:作戦開始までの訓練等のシーン。リソースの配分によって作戦の成否を分かつ。
解説:10ターン繰り返し行う。探索者はどのパイロットにどんな訓練を行なうか等の選択を行なう。条件を満たすと発生するイベントがあるのでそれにも留意して進行を行なうこと。
基本行動として選べるものは以下の通り(これ以外の行動を取った場合は、キーパーが任意に判定や成果を決定して良い)。
(A)飛行訓練
探索者②が〈ジェット機操縦〉の判定を行なう。成功した場合には、訓練に参加したパイロットの操縦が1ランク上がり、体力が1ランク下がる。体力がDランク以下の者は訓練に参加できない。参加できるパイロットの人数は修理が完了している戦闘機ゴーストの機体数まで。
(B)射撃訓練
探索者②が〈砲〉で判定を行なう。成功した場合には、訓練に参加したパイロットの射撃が1ランク上がる。体力がEランクの者は訓練に参加できない。シミュレータを用いるため、参加人数に上限はない。
(C)基礎トレーニング
どの探索者が行なっても良い。(STR+CON)×3倍で判定する。判定の結果によらず訓練参加者の体力は1ランク上がるが、失敗した場合には信頼が1ランク下がる。
(D)座学
どの探索者が行なっても良い。〈知識〉で判定を行なう。成功した場合には更に〈幸運〉で判定を行ない、成功した場合には1d5を振り、ダイスの目が1なら操縦、2は射撃、3は体力、4は信頼、5は協調が1ランク上がる。〈知識〉判定に失敗した場合には信頼が1ランク下がる。
(E)休養
判定は行わない。体力が1d2ランク上がる。八十島は休養を選択した場合、SAN判定を行ない、失敗した場合には訓練に参加させるよう要望する。〈信用〉〈説得〉〈言いくるめ〉で判定を行ない、失敗するとSANが1d4、信頼が1ランク下がる。
(F)メンタルケア
どの探索者が行なっても良い。〈精神分析〉で判定を行なう。成功した場合にはパイロットのSANを1d3回復する。失敗してもマイナスの影響はない。
(G)親睦
どの探索者が行なっても良い。〈信用〉〈心理学〉〈説得〉〈言いくるめ〉他、親睦で行なう行為に関係する技能であればなんでも良い。たとえば、食事会を催すなら、〈製作:調理〉でも良いし、ドライブに行くなら〈自動車運転〉でも良い。判定に成功すると参加したパイロット全員の協調が1ランク上がる。失敗した場合、参加したパイロットのうち1名をランダムに選択し、信頼を1ランク下げる。
(H)戦闘機の修理・改造
探索者③が行なう。〈製作:ジェット機〉で判定する。成功した場合、修理中の戦闘機の修理が完了する。修理完了している戦闘機を改造した場合には、成功により改造が施されたことになる。改造に失敗した場合には、機体は修理中の状態になり出撃できなくなる。
改造できるポイントは以下の通り。
安定性向上:機体の安定性が向上するが、運動性が低下する
運動性向上:機体の運動性が向上するが、安定性が低下する
キーパーはどの機体がどういう改造を施されているか記録しておくこと。
(※ゴースト01(改造なし)、ゴースト02(安定性改造)、ゴースト03(修理中)等)
(I)ミーティング
探索者全員と全パイロットが参加。探索者全員で〈アイディア〉または〈知識〉判定を行なう(どちらの判定を行なうかは探索者それぞれ違っても良い)。全員が成功した場合、以後すべての成功判定に+1d6%の修正が加算され、全パイロットの信頼が1ランク上がる。失敗した場合にはランダムにパイロットを1名選び、そのパイロットの信頼が1ランク下がる。
(J)ネゴシエーション
探索者①が行なう。関係各部署との調整作業を行なう。〈説得〉〈言いくるめ〉で判定を行なう。この行動に3回成功すると、外部との調整の結果、工程が効率化され、作戦開始までに行なう行動を1ターン分増やすことができる。
(K)捜索
どの探索者が行なっても良い(複数の探索者で行っても良い)。逃亡したパイロットを捜索する。〈追跡〉で判定する。その際、逃亡したパイロットのランクに応じてボーナスが加算される(A(50%)、B(30%)、C(20%)、D(10%)、E(0%))。失敗した場合には、そのターン中に発見することができなかったことになる。
(L)コンピュータの修復(5ターン経過後に選択可能)
5ターン経過時にスーパーコンピュータの不具合が発見される。AI“マーフィ”の効果的運用に不可欠だが、解消には時間がかかりそうだ。修復には探索者③が〈コンピュータ〉で判定する。成功すると、作戦決行までに修復作業が間に合わないことが判明する。代替方式を検討するための〈アイディア〉に成功すれば、世界中のPCを並列に接続する分散コンピュータによる演算方式によって、スーパーコンピュータで行なう以上の性能を引き出す方法を思いつく。和久井の信頼がB以上になっていれば、判定ではなく和久井からの提案があって気づく形になる。

上記の行動のための判定が成功する毎に探索者の〈信用〉を+1d6する。計画の進捗とともに、探索者の信頼感が高まっているということだ。

上記行動選択のうち、(I)ミーティングを選んだ場合には、探索者全員・パイロット全員は他の行動を行なうことができない。それ以外の場合、パイロットは(A)~(G)のいずれか1つしか行なうことができない。探索者は(E)休養のみ、他の行動選択と同時に行なうことができる。

パイロットはパラメータの2つがEランクになると、SAN判定を行なう。失敗すると1d5のSANを失い、逃亡する。

【 ①行動選択→②パラメータ変更→③同室判定→④パラメータ変更→⑤1ターン終了 】を繰り返す。

指定のターン数が経過すると次のシーンに移行する。

4.パイロット選別・作戦開始
4-1 パイロットの選別

舞台:委員会本部会議室
登場人物:探索者全員・パイロット全員
概要:作戦開始直前、どのパイロットをどの機体に搭乗させるのかを確定する。
解説:作戦開始直前に、探索者たちは相談して、どのパイロットをどのゴーストに載せるのかを決める。このとき、逃亡しているパイロットや体力がEランクのパイロットは搭乗させることができない。キーパーとプレイヤーは、機体名とパイロット名を記録しておくこと。また、特殊スピンドル油と反物質弾頭ミサイル搭載機(1発)をどの機体に搭載するかも決めること(スピンドル油搭載機はミサイルを搭載できない)。また、何も搭載しない囮専用機は機体が軽くなる分、操縦が容易になる。ゴーストは全ての機体が修理完了していても4機なので、パイロットは一人あぶれることになる。
※八十島をパイロットから外した場合、信頼または協調がAランクでなければ、作戦開始時に他のパイロットを殴打して出撃してしまう(このとき八十島が狙うのは、操縦・協調が最も低いパイロットになる)。〈心理学〉に成功すれば、その八十島のマイルフィックへの強い復讐心に気づくことができる。
4-2 作戦決行
舞台:情報管制室
登場人物:探索者全員・パイロット全員
概要:天候を見極めて作戦開始のタイミングを決定する
解説:探索者全員で〈幸運〉判定を行なう。全員が成功した場合は快晴(マイナス修正なし)、一人失敗だと曇天(マイナス10%修正)、二人失敗だと濃霧(マイナス30%修正)、全員失敗だと暴風雨(マイナス60%修正)となる。判定は全員同時にやりなおすことができるが、タイムリミットがあるため6回までしか振り直しはできない。同時に心理的な余裕を失うため、探索者・パイロットともに振り直しするたびに1d3のSANを喪失する。
決行を決めたら、各探索者はそれぞれ出撃前のパイロットにひとこと告げる演出シーンを設けること。プレイヤーはなるべく“かっこよく“ロールを行なって欲しい。
※パイロットから八十島を外していた場合、作戦決行を決めたタイミングで機体を奪取する(前項目参照)。

5.危機的状況からの劇的展開(演出)
5-1 ムラマサ作戦(フェイズ1)

舞台:情報管制室
登場人物:探索者全員(パイロットは無線交信)
概要:探索者たちはパイロットたちを指揮することで作戦を遂行する
解説:ムラマサ作戦のフェイズ1、マイルフィック周辺を特殊スピンドル油のスモークで水平方向と垂直方向に囲い込まなくてはならない。操縦のランクがA(80%)、B(60%)、C(40%)、D(20%)、E(10%)が基本の成功率となる。安定性向上型の改造機体に載っている場合には、失敗時に成功判定を1度だけやり直すことができる。何も積載していない機体は+10%できる。垂直方向への操縦は難易度が高いため、判定は2度続けて成功しなくてはならないが、運動性向上の改造を行なっている場合には1回の成功で良い。パイロットの成功判定は誰がダイスを振っても構わないが、キーパーが振ると良いだろう。
探索者③は分散コンピュータによる支援を行なう。支援内容は「操縦の支援」、「マイルフィックの分析」のいずれかが行なえる。〈コンピュータ〉で判定を行なう。操縦の支援を行なった場合、AIが操縦支援を行なったことで、ひとつの機体に対して操縦の判定のやり直しを行なわせることができる。また、マイルフィック分析を行なった場合には、マイルフィックの攻撃対象となっている機体を確定できる。
探索者②は〈ジェット機操縦〉の成功により、操縦の指揮が行なえる。これにより交信相手の一機の操縦判定をやり直すことができる。
探索者①は、(A)攻撃を受ける機体に対する警告、(B)全員への激励、(C)パニックを起こしたパイロットとの交信のいずれかを選んで行動することができる。
(A)探索者③のマイルフィック分析の結果を受けて、攻撃を受ける機に対して警告を発することができる。〈信用〉と〈回避〉で判定して成功した場合、ゴーストは回避運動に成功する。
(B)全員に対して激励を送ることもできる。〈信用〉で成功した場合、全パイロットのSANが+1d3回復する。
(C)もしパニックを起こしたパイロットがいた場合には、〈説得〉の成功によって、信頼のランクでの判定を行なうことができる。信頼のランクがA(80%)、B(70%)、C(60%)、D(50%)、E(40%)で判定を行ない、成功した場合SANを+1d3回復させ、戦闘に復帰させることができる。

マイルフィックの攻撃は、囮機体がいた場合には60%の確率で囮の機体を攻撃する。囮が2機いた場合には、2度判定を行なう。囮の機体が狙われなかった場合には、残る機体のうちいずれかをランダムに攻撃する。攻撃に対処するには操縦のランク判定を行なう。スピンドル油搭載機の操縦判定後、マイルフィックは攻撃を行なう。攻撃をかわせなかった場合、パイロットはSANに1d10のダメージを追う。例外的に遠海は攻撃を受けると「マイルフィックに呑まれて」ロストする。パイロットが突然消滅したことでコントロールを失った機体は海面に墜落する。その他のパイロットは、全SAN値の10%以上喪失した場合、操縦不能になる。SANを全て喪失したパイロットは死亡する。探索者①はパイロット保護のため緊急ベイルアウトを指示できる。探索者③が〈コンピュータ〉で成功した場合、機体は失われるがパイロットは脱出することができる。八十島は例外的にSANが減少してもパニックに陥ることがないが、ベイルアウトも拒否して作戦を継続する。

水平方向と垂直方向の両方の操縦に成功すると作戦はフェイズ2に移行する。
5-2 ムラマサ作戦(フェイズ2)
舞台:情報管制室
登場人物:探索者全員(パイロットは無線交信)
概要:探索者たちはパイロットたちを指揮することで作戦を遂行する
解説:フェイズ1完了時にマイルフィックを取り巻くスモークが雷光を纏い、電撃の束をマイルフィックに浴びせかける。同時にスピンドル油搭載機は不具合を起こし、作戦の続行が不可能になる(機体はマーフィの自動操縦で厚木基地への帰還コースに入る)。
八十島がこれに該当した場合、マーフィのシステムをオフにしてマイルフィックの元に残り、囮機の1機となる(操縦のランクは2段階下がる)。
フェイズ2では反物質弾頭ミサイルでの攻撃を成功させなくてはならない。射撃ランクによる成功が必要だが、照準調整に3ターン必要なため、その間マイルフィックの攻撃に耐えねばならない。射撃ランクA(70%)、B(60%)、C(50%)、D(40%)、E(30%)となる。
探索者②は攻撃の支援か回避運動の支援が行なえる。回避運動については前項目と同じ。攻撃支援は〈砲〉で判定し、成功時には射撃ランクでの判定に+20%できる。
探索者③は攻撃時の諸元データをマーフィに送ることで照準動作の支援が行なえる。〈コンピュータ〉で判定する。成功時には射撃ランクでの判定に+10%できる。
探索者①は、(A)攻撃を受ける機体に対する警告、(B)全員への激励、(C)パニックを起こしたパイロットとの交信のいずれかを選んで行動することができる。
(A)マイルフィック分析は行えないので、探索者の勘により攻撃を受ける機に対して警告を発することができる。〈信用〉と〈回避〉で判定して成功した場合、ゴーストは回避運動に成功する。
(B)全員に対して激励を送ることもできる。〈信用〉で成功した場合、全パイロットのSANが+1d3回復する。
(C)もしパニックを起こしたパイロットがいた場合には、〈説得〉の成功によって、信頼のランクでの判定を行なうことができる。信頼のランクがA(80%)、B(70%)、C(60%)、D(50%)、E(40%)で判定を行ない、成功した場合SANを+1d3回復させ、戦闘に復帰させることができる。

 フェイズ2ではマイルフィックは1ターンに2回攻撃を行なう。マイルフィックの攻撃は、囮機体がいた場合には50%の確率で囮の機体を攻撃する。囮が2機いた場合には、2度判定を行なう。囮の機体が狙われなかった場合には、残る機体のうちいずれかをランダムに攻撃する。攻撃に対処するには操縦のランク判定を行なう。スピンドル油搭載機の操縦判定後、マイルフィックは攻撃を行なう。攻撃をかわせなかった場合、パイロットはSANに1d10のダメージを追う。全SAN値の10%以上を喪失したパイロットはパニックを起こし、操縦不能になる。SANを全て喪失したパイロットは死亡する。探索者①はパイロット保護のため緊急ベイルアウトを指示できる。探索者③が〈コンピュータ〉で成功した場合、機体は失われるがパイロットは脱出することができる。八十島は例外的にSANが減少してもパニックに陥ることがないが、ベイルアウトも拒否して作戦を継続する。

フェイズ2でマイルフィックの攻撃が命中したあとに発生するイベントがある。出撃しなかったパイロット(逃亡した者も含む)の協調がEランクでなければ、実験機のマーフィ搭載ファントムに搭乗したパイロットが交信してくる。「こちらゴースト05、これよりムラマサ作戦の支援を行なう」。囮機が増えたことで作戦の成功率が向上する。

撃判定に3回成功すると、ミサイルは命中、マイルフィックは爆音と共に破裂するように拡散して消滅する。その余波でマーフィの操縦支援システムと交信がダウンする。パイロットは操縦ランク判定を2段階下げた状態で成功しないと帰還できず墜落する。機体を捨て強制ベイルアウトを行なうことでパイロット保護を図ることができる。探索者がその決断をしようとした刹那、住良木委員長から連絡が入る。マーフィに記録されたマイルフィックのデータ回収を優先せよ、と命じられる。ベイルアウトをするとマーフィは破壊されてしまうため、ベイルアウトをするなという委員長の命令に対し、探索者は選択を迫られる。

6.エピローグ
6-1 戦勝報告

舞台:委員会本部会議室
登場人物:探索者全員
概要:ムラマサ作戦の報告および査問
解説:フェイズ2でマイルフィック撃退後、ベイルアウトを行なった場合には命令違反として査問される。探索者全員はその任を解き、別名あるまで身柄を拘束される。探索者①が一人詰め腹を切って辞職することで残り二人を助けることもできる。探索者の元にはパイロットからの手紙が届いている。手紙には生還直後の、疲弊したが満面の笑みを浮かべたパイロットたちの集合写真が同封されている。
命令を守ってベイルアウトを行なわなかった場合、各機操縦ランク判定を2段階下げた状態で判定を行ない、成功した機は厚木基地に帰投する。失敗した機は墜落する。〈幸運〉判定で成功した場合には機体残骸からマイルフィックのデータを回収することができる。全員が無事帰投した場合を除き、パイロットを死亡させた責任を追及され、降格処分を受ける。データが回収できていれば、委員長は探索者①をねぎらい、ほとぼりが冷めたら現職に復帰できるよう手配することを約束する。その代わり、生還したパイロットに殴られ、侮蔑の言葉をぶつけられる。

◆NPC       
パイロットたち(少年・少女)の作戦に関係するパラメータについて
パイロットには作戦に関係するパラメータがある。その内容は以下の通り。
操縦……ジェット戦闘機の操縦に関する技能
射撃……ジェット機による攻撃に関する技能
体力……訓練や作戦遂行に耐え得るフィジカル
信頼……PCに対する信頼度
協調……パイロット間の関係性
八十島啓介(15歳・男)【操縦A/射撃B/体力C/信頼D/協調C】※SAN40
ムラマサ作戦当初からのパイロットの唯一の生き残り。訓練飛行中に僚機をマイルフィックに撃墜され、自機も損傷・負傷したが帰還した。生真面目な性格で、崎岡への淡い恋心からマイルフィックへの復讐心を隠し持つ。医療スタッフは負傷による身体的・心理的ダメージを懸念する報告書を出している。口数は少なく、マイルフィックを倒せるなら死んでも構わないと思い詰めている。

崎岡瑤子(14歳・女)登場しない
八十島とともに訓練飛行に参加し、マイルフィックにより撃墜された。八十島とは兄弟姉妹のように親しくしていたとの報告書に記載されている。

中石詠一郎(15歳・男)【操縦C/射撃B/体力B/信頼C/協調C】※SAN50
パイロット候補生。両親を早くに事故で失い、児童養護施設で養育されてきた。自己肯定感が低く、モチベーションの維持が困難。身体的には問題がなく、シミュレーションでの成績も良好なので、心理的な安定が図れれば作戦への参加も可能。

古川紗夜(15歳・女)【操縦A/射撃B/体力C/信頼B/協調D】※SAN30
パイロット候補生。帰国子女で才媛、自信家。基礎能力が高く、何をやらせても卒なくこなすが、想定外の事態に陥ると判断力を失い感情のまま行動することがある。家族が経済的に困窮しており、作戦への参加で経済的に家族の支えになろうとしている。口も手も早く、まくしたてるように話すため、苦手とされることも多い。

遠海達也(16歳・男)【操縦C/射撃B/体力A/信頼B/協調B】※SAN70
パイロット候補生。候補生のなかでは最年長のため、まとめ役を買って出ることが多い。ポジティブな性格だが、あまり深く物事を考えない性分でもある。パイロットとしての素養は平均的だが、安定感があるため信頼がおける。年齢が高いことがムラマサ作戦参加の障害として懸念される。

和久井野乃花(15歳・女)【操縦D/射撃D/体力E/信頼C/協調B】※SAN60
パイロット候補生。真面目だが大人しい性格で、座学では優秀な成績を収めているものの飛行訓練の成績は芳しくない。支援AIマーフィのサポートがなければ墜落は必至。本人も気にしているため訓練には積極的だが、小柄で体力面にも余裕がないためなかなか伸びていない。候補生に選ばれる以前の学校ではイジメを受けていたため、自分の意見をはっきり言うことが苦手で道化役に徹しようとしている。周囲をよく見ているので変化に気づきやすい。

◆おわりに      
 実質2日間で作成したシナリオで、調整も甘くテストプレイもしていないことは当然として、文章としても読みにくいものになってしまったことが無念です。テストプレイ後に内容を改めることができればと考えていますが、時期は未定です。もし奇特にもこのシナリオで遊ぶことがあれば、細部については自由に改変して楽しんでください。エンディングがすっきりしないほろ苦い終わり方になっていますが、エヴァンゲリオンに影響を受けたとされる「踊る大捜査線」のテレビシリーズの終わり方を意識しています。このへんも気に入らなければ、マイルフィックを倒して終わり!でも構いません。
 また、お気づきの方もいると思いますが、戦闘機や敵、作戦名等はお遊びでWIZARDRYをモチーフに作成しています。
 時間に追われてしんどかったけど、企画自体は楽しかったです。ではまた。


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