デ・ジ・キャラットが流行った小学校の話
令和のデ・ジ・キャラットってなんだよ。
youtubeを巡回していたら、猫耳にでかい鈴を付けた緑の髪の毛の女が語尾に「にょ」を付けてしゃべっていた。
久しぶりに見たけど間違いない、でじこだ。
秋葉原のゲーマーズにデ・ジ・キャラットの「ゲマ」がマスコットキャラクターみたいな感じで看板に描かれていたのは覚えているけど、でじこ本人を見たのはいつぶりだろう。
なんで令和にでじこを見てるんだろう。
懐かしい。担当イラストレーターのこげどんぼ先生のことをこげとんぼ先生って言い間違えるとファンは怒ったよな…とか、秋葉原のラジ館のどこかのお店で買ったうさだのクリアポスター部屋に貼ってたなとか。
ラジ館も今は別の建物になっちゃったもんな。
デ・ジ・キャラットを知ったのは、小学生の頃クラス内のとある班の中で話題になっていたからだった。
その班には、クラスで一番足が速くて背も高くて顔もよくてとにかくモテていたケイスケくんと、マラソンをチャイム以内に走り切れないおデブちゃんのナベがいた。
のちに知ったんだけど、ナベにはオタクのお兄ちゃんだかお父さんだかがいて、ナベもその影響を受けていた。
電車好きもアニメ好きもナベはその家族の影響を受けていたんだと思う。
当時、オタクという言葉はあまり知られていなかった。
電車男が流行るのはその1年か2年あとだったと思うし、小学生だからNARUTOが好きでも、遊戯王が好きでも、ポケモンが好きでもそれが当たり前だった。
でも、ナベが好きだと言ったデ・ジ・キャラットはちょっと異質だと当時のわたしは思った。
クラスの男子は、漫画キャラでも女の子を好きというと互いに気持ち悪がっていて、なのにそれを堂々と好きだと言っているナベはちょっと不思議な存在に見えた。
でも、それはクラスで流行った。
それは、クラス1の人気者ケイスケが、ナベの持ってきたデ・ジ・キャラットのラノベを面白がったから。
小学校の頃のケイスケは足が速くて背も高くて顔もいいのに、性格もわりといい奴だった。
2つ上のお姉ちゃんが厳しく女子への接し方を教えていたから、女子にも優しいし、自分よりスポーツが苦手な男子の練習も熱心に付き合っていた。
そもそもうちの小学校には男女の垣根とか、スクールカーストとかがそんなに強くなかったようにも思う。
川の向こうに東京が見える小学校なのに、クラスは2つしかないから性別とかカーストとかそんなくだらないことで制限すると遊ぶ相手がいなくなってしまう。
ほかの小学校の話を聞いたり、ドラマとかで見たりするとうちの学校って平和なんだなって思っていた。
当時、クラスの女子の大半はケイスケが好きだった。わたしもその中のひとりだった。
でも、運動が得意とか、髪が長いとか、同じマンションに住んでるとか、親同士が仲がいいとかそういうケイスケに近づける接点が全くなかったわたしは、遅れをとっていた。
その時にたまたまケイスケがナベとデ・ジ・キャラットの話をしているのを聞いて、その話に入っていった。
ケイスケは「朝アニメやってるから、お前も見なよ」と言っていて、なんだかわからないままわたしも見ることにした。
たぶんわたしみたいな子がクラスには何人かいたんだと思う。
デ・ジ・キャラットのおかげで、わたしはケイスケと話ができたことが何回かあった。
デ・ジ・キャラットが流行っている間、ナベはわからないことがあるとなんでも教えてくれるデ・ジ・キャラット博士としてクラスで慕われていた。
ほかにもナベは電車とかアニメとかそういう当時のわたしたちがあんまり知らないものを教えてくれる存在として、可愛がられていた。
もちろんデ・ジ・キャラットブームはケイスケが飽きてすぐに終わったけど、でじこを見ると今でも思い出す。
そしてオタクになった今ふと思う、ナベ英才教育されすぎでは…?
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