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今日の建築家「+tic」

+tic(鈴木知久、鈴木陽一郎)のおふたりは、浜松を拠点に活動している若手建築家です。
+ticホームページ https://plus-tic.info/ 

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(左から鈴木陽一郎さん、鈴木知悠さん)

本山(創造系):今日はよろしくお願いします。実は創造系不動産で、建築関係の方に来てもらってレクチャーをしてもらうイベントがありまして、その4回目のゲストとして+ticの2人に来てもらえればなと思ってます。

創造系レクチャーシリーズVol.4「設計と独立のあいだ」はこちら

設計と独立のあいだ

陽一郎さん(+tic):よろしくお願いします。SNSとかで、イベントが開催されているのは見てます。

本山(創造系):ありがとうございます!

今回の企画は、今同じ世代で「建築で独立してやっていこう」っていう気概のある人があんまりいないのが気になっています。かといって独立したくないとか、したくない気持ちもなんとなくわかるんですよね。

 なので、2011年以降で独立して、自分たちでやっている人たちの生の声を届けたいなとおもってこのトークイベントを企画しました。建築の作品性以前に、まずは独立というステージにたどり着くのが、怖くなっていることに対して、何かこう勇気付けられるようなイベントが組めればいいなと思っています。

陽一郎さん(+tic):ありがとうございます。そんな思いで浜松まで来てくれたんですね。僕自身もアーキテクチャフォトなどで今回のゲストの皆さんの作品を見ていて、同じくらいの年代の人で活躍しているんだというのは知っていました。川口さん吹野さんや石村さん根市さんの話をきいてみたいなと思いました。

本山(創造系):12月14日のイベントではSNS等で、会場の様子を流したりはしない予定なので(笑)、今はまだオープンにできないようなこともどんどん話してほしいです。

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「建築に興味ない層」

陽一郎さん(+tic):丁度僕らの世代は高校卒業するか、大学に入るくらいの時期にTwitterが出てきて、建築事務所の中の所員の声が世の中に出始めたころでしたね。他の業界とくらべて過酷な実情なども明らかになってしまった。

 在学中に3.11があったりして…そういういろんな思いもあってアトリエ系に勤めること自体がネガティブに感じ嫌厭されるタイミングではあったと思います。

鈴木(創造系):その感じがずっと続いている感じがします。事務所にインターンの学生がちらほら来るようになって、「最近の建築の話ってどうなんですか?」っていう話を聞くんですけど、「それがあんま興味ないんすよね」っていう話になる。まあうちは不動産屋だからかもしれないんですけど。

陽一郎さん(+tic):建築は好きだけど、「建築家に興味ない層が増えている」って話はすごいよく聞くようになったなと思います。

鈴木(創造系):そうなんですよね、「学科に建築オタクとかいないですか?」とかも聞くんですけど、そういう人もいなくなってきている。

陽一郎さん(+tic):先日母校の先生(静岡文化芸術大学)とも話したんだけど、今の学生には、建築家に対するあこがれみたいなものが全然ない。結局、作家論を議論する以前にそもそも作家的なものを自分ごととして考えている学生が本当に少なくなっているようです。

本山(創造系):それこそ「スター建築家みたいな人いないのとか」聞いて「全然もわかんないっす」って感じなのでこのまま建築家はいなくなるのかなあっていうのは感じました。

知悠さん(+tic):たしかに、そういうのありますね。強い作家性みたいなものは、なくなってきているかなって思ってます。僕たちが学生のころはそれこそ、石上純也さんみたいな強い作家性をもってやってる人がいたけれど、最近はローカルに根付いてとか、既存ストックを利用してとか、よりプロセスを重視したパワーコンテンツじゃない建築の作り方みたいなものが、雑誌の見出しでも多くなってるなと思っています。

「独立は事故みたいなもの」

本山(創造系):そういうことがあったから、独立してやっていこうと思ったんですか?

陽一郎さん(+tic):いやいや全然関係ない、もっと事故みたいなものでした。

最初は、まだ[dajiba]がつくまえの403architectureが僕らが在学中に、浜松に来て、ワークショップを企画したりしていて、その中の3人が「浜松で事務所やる」みたいなことを言っていた時期です。その後、初期の現場を手伝ったり、遊んでもらってました。「彼らみたいな感じで独立ってできるんだ」ってすごい勘違いして(笑)、でもそういうのを近くに見ていたっていうのが、僕たちの独立には大きかったです。それがなかったら絶対独立していない。

本山(創造系):「独立が事故みたいなもんだ」って話がありましたけど、独立して後悔したときってありますか?

陽一郎さん(+tic):後悔はないかな、でもやっぱりこの歳になると周りは普通に家庭とか持ち始めて、週末に子供と遊んだり、そんな生活があるなっていうのは知りつつも、僕らのワークスタイル的にそことはまだ少し遠いところにいるなと感じています。

本山(創造系):逆になんかそこの、独立してほんとに楽しいのか?とか、それともなんとなくモヤっとしているのか?とかは、建築家っていうベールに包まれていると出てこない話なので、実際どうなのかななんていうのは僕は思いますね。

陽一郎さん(+tic):大きい箱物とかばんばんやっている人を見ると、ああなんかそういうのもやってみたかったな。っていうのを思うことはあります。でも逆にいうとそういう人たちは、僕らみたいな町の中のちいさなものを作るっていう経験はできないから、そこはどっちをとるかかなとは思ってますね。

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「2020年終わるころに」

鈴木(創造系):この企画、考えているときに二人はあと10年経っても30代だってことに気が付いたんですよね。

陽一郎さん(+tic):丁度2020年終わるころに、僕らは30歳になりますね。

鈴木(創造系):いままでの建築家像だと、45歳になってやっと若手建築家!みたいなところだけど、全然それと二人の動きが違ってきていますよね。

陽一郎さん(+tic):そうだよね。20歳違ったら赤ちゃんみたいなもんです。20代そこそこの若手だと、ちょっと面白いことしただけでも何かに取り上げてもらえたり、割とチヤホヤされがちだと思います。僕らもそんな恩恵は受けてきたなと感じつつも、そんな必要はないというぐらいに面白いものをどんどんつくっていきたいですね。

今日のお店:氷箱里(ビンシャンリー)

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氷箱里
〒430-0928 静岡県浜松市中区板屋町628
Y3ビル5階
Dinner:火~日 17:30~23:00(22:30 LO)
Close:月曜日



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