華Doll*考察メモ

更新メモ

2020/06/21 トップにチュートリアル記事への誘導を差し込み。
2020/06/15 各キャラの項目6人分全面的に書き直し。
2020/06/14 MV「Me Against Myself」、MV「Antholic」の項目を編集。
2020/06/13 よ、4ヶ月ぶりの更新……各所編集。大きく編集した項目は天霧プロダクションロゴのところ、4巻「Message」、MV「ChangeYourWorld」。
2020/02/25 MV「Me Against Myself」の項目を追加。陽汰のキーワードを勘違いしていたので「HOME」に訂正。本当にごめんね、陽汰くん。
2020/02/19 4巻「Message」の項目を追加。コンセプトトレーラーの項目、全面的に追記。ブックレットの項目にvol3池袋ジャックポスターについての段落を追加。その他翻訳文の差し替え。
2020/02/04 MV「Unknown」の項目を全面的に書き直し・MV「S.T.O.P」の項目にハートの女王についての文章を追記・MV「Change Your World」の項目の引用抜けを訂正
2020/01/23 MV「ChangeYourWorld」の項目に白い鳩についての段落を追加・その他引用抜けなどを訂正
2020/01/18 初公開

イントロダクション

華Doll*」というコンテンツがある。この記事はこのコンテンツが提示する謎について考えた結果をメモしたものになる。
なお、考察記事ということで内容はネタバレに配慮していない。ガンガンバラしていく。
もしもネタバレを気にする人がいたらこちらの記事に飛んでみてほしい。

これから華ドルに触れようかなと思っている人に向けて書いたものなので致命的なネタバレはしていない。

ネタバレを気にしない人、すでに履修済みの人であればこのまま読み進めてほしい。かなり長くなったが、私なりに華ドルと向き合ってみた結果だ、少しでも何かの参考になればうれしい。

考察スタンス

このプロジェクトでは「より完璧に近いアイドル」となるべくして存在する少年たちの姿が描かれている。
詳しい設定やストーリーなどはここでは割愛するものとして、このコンテンツの「秘められた本心」に私なりの解答を出していこうと思う。
ただし、それが正解でなくとも構わないと考えている。
何故なら「You gods, will give us. Some faults to make us men.」、我々は完璧ではないからだ。完璧ではないが、少しでも完璧に近づくことを目指すその過程こそが考える葦だと私は思うのだ。私は、考える葦でありたい。

Are you a thinking reed? -- I want to be a man have some faults.

コンセプトトレーラー

最初のコンセプトトレーラーを覚えておいて。
私たちが残した言葉を忘れないで。
すべてが繋がり——すべてに意味があります。
答えを見つけてください。あなたは考える葦ですか?

冒頭から意味深な映像が続く。たとえばRGBずらしでもりようしたかのような百合の開花の映像が流れたかと思えばしばらく後に開花の逆再生が流されること。しかもそれのエフェクトが違っていて、色数が減っているようにも見える。現時点ではさっそく理解不能な域だ。
それでもいくつか判明していることがあるのでここでは映像登場順にそれを挙げて、最後に少しだけ予想を話すことにする。

レオナルドダヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」
これについてはブックレットの方で天霧プロダクションのロゴに関係する形で言及されているのでこのnoteでもそうする。ブックレットの項へ。

鍵のかかった箱

箱の外見について話したいところだがTwitterは「見る人によって全く別の箱に見えていた」とのことなので詳しくは言及不要か。そもそも華Doll*というコンテンツにおいて見た目の話はそれほど重大ではない。
ちなみにこの箱の中にあるものは「秘密」で確定だと私は考えている。それは後述。

シェイクスピアの名言

You gods, will give us. Some faults to make us men.
神は、我々を人間にするために、何らかの欠点を与える。

このフレーズはシェイクスピア作『アントニーとクレオパトラ』 第5幕第1場からの引用だが、おおよそ引用元は参考程度で文章の意味そのものを考えた方が良いと考えている。時間が出来た時に戯曲を読んでみるつもりではいる。
人間とは不完全なものだ、とこのフレーズは伝えるが、それはこのプロジェクトのテーマ「完璧の追求」に真っ向から挑むフレーズだ。
人間とは不完全で、完璧なものは何一つない世界で、彼らは完璧を求める。
それは神への反逆になるのだろうか。
――このプロジェクトにおける神とは?
思い浮かぶところはプロダクション代表・天霧一くらいのものである。

彼らの秘密

ここで出てくる6つの文
・Don't leave me alone.
・Only lonely way.
・Love me, please
・Save, Alive
・Who ask? Who are you?
・Call my name.
は6人それぞれの「秘密」かと思われる。後述するが現時点(2020/06/15)では「Unknown」MVにて「Don’t leave me alone.」は陽汰のテーマであることがわかっている。
また「Who ask? Who are you?」は「S.T.O.P」で繰り返し用いられるフレーズであり、この曲が収録されている3巻「IDOLls」内ドラマトラックでも印象的だったシーンより、このフレーズはおそらく眞紘のテーマになるのではないかと考えている。
残りはすべて決め手に欠けるため不明。強いて言えば「Love」がテーマになる理人が「Love me, please」、病弱だった薫が「Save, Alive」の可能性が高い、くらいか。
一応「Only lonely way.」は「Me Against Myself」、「Call my name.」は「Silent Message」で登場するフレーズになる。どちらも4巻「Message」の収録曲。この巻のドラマトラックのメインは開花することになる陽汰だが、陽汰のテーマは「Don't leave me alone.」で確定なのでどちらも陽汰には当てはまらない。
ところで「秘密」と言えば「Unknown」歌詞で「秘密はココにある/Box it」と伝えられている。Boxと言えば「BIRTH」MVで登場する二つの箱、2巻タイトル「Boxed」、そして「Juliet」歌詞の「見せて パンドラの中」……あたりだろうか。彼らの「秘密」をあらわすフレーズがこれらであり、それは「箱」の中にある、と解釈するのが正解か。
Twitterによればこれらは「彼らの心の声、閉ざされた秘密」なので箱を開ける鍵が必要になるのではないかと思うのだが、どう考えてもその「鍵」って……もしかして……私たちAntholicの手に届かないところにあったりしませんか……? シンメ相手が「箱」の鍵とか言い出さないか……? いや別にそれで良いんだけど秘密の中身は見せてくれよな。

Y字路

Twitterでは「IDOLls Teaser」ということなのでそちらで話すべきかと思ったが一応こちらで。Y字路は「秘密」と「真実」の分岐を示すらしい。そしてその分岐には自己の偽りなどアイデンティティに関わるものらしい。――チセと眞紘の顔がちらつく。ふたりの秘密や真実に共通するのは「祥來千勢」「天霧眞紘」のことだろう。
なおこのツイートで空白になっている部分は半角5文字分。もしも空白の字数=入るはずだった単語の字数、ならばと考えてみるが思いつく単語はない。
こちらは眞紘の項目で話すのだが、眞紘のポスターポエムには半角5文字分の空白が入っている。このティザーでの空白と共通するものだろうか? 偶然?
またこのプロジェクトにおいては色もまた重要なポイントとなるようだ。この画像ではオレンジと青が目立つ加工になっているので、つまり陽汰と薫を指していると考えていいだろう。「秘密」と「真実」、己の認識の分岐路に立つこのシンメ。ドラマパートの印象からすれば、陽汰はルルディの内情も知らないし、薫はずっと病院にいて世間知らず。「秘密」にも「真実」にも一番遠いのがこの二人である気がするのだが。

6体のトルソー・首にメジャーを巻いたトルソー1体

これが私が「Anthosの7人目」を信じる最大の根拠だ。メジャーを巻かれたトルソーこそが7人目であり、彼は息苦しさの末に壊れた。そしてAnthosは6人のまま活動する。このシーンからそういうストーリーを想像するのはたやすい。
なお私はこの7人目がMVのメッセージの主だと予想しているが特に根拠はない。直感である。

銀のカトラリー

「Unknown」MVで出てきた銀のカトラリー。まともな食事はもう彼らが食べることはないので(言い過ぎだが)やはり薬か。薬と毒は紙一重、結局は摂取量が問題になると言うが……ちなみに1巻「Birth」の仕様から察するにこの「安心して食べられる」「薬」は「最後の晩餐」らしい。字義どおりに受け取るなら薬を最後に彼らは食事(少なくとも夕食)をしていないことになる。だが総合栄養食としての食事は取っているし、3巻「IDOLls」ドラマパートでは眞紘の手料理もふるまわれた。やはり字義通りに受け取るのは間違いで、もっと他の線から考えていくべきだろう。
そういえば、彼らが食べている総合栄養食、おそらくカトラリーは使わない……ようだが(シリアルバーとスープが基本の「食事」。スープの方でスプーンは使うだろうがその材質には言及されていない)、プランツの提供するその食事は本当に「安心して」食べれるものなのか。

イシモチソウ

もうツイートを張り付けて終わりだと思う。これは。さすがに。
ああいや、イシモチソウの花言葉を引用しておく。「欺く」。地獄か?

4を見せるダイスと人型ピン(黄色、青、緑、赤)

ダイスについてはこのツイートの通り「賽は投げられた」をそのまま表現したものだろう。人型ピンは「BIRTH」MVで登場した人生ゲームのこと。オレンジ(陽汰)と紫(理人)が見えないのはただの偶然か……? 出目はそれほど関係ない、と考えている。「Unknown」MVに従うならば、4の出目は薫を指す。
どちらにせよ、6人のAnthosとしての人生はもうスタートしたということか。「賽は投げられた」の本来の意味「もうあとには引けない」も覚えておくべきだと感じる。
ここで気になるのはダイスの色だが、赤だ。眞紘の色だ。そして「Unknown」MVでは眞紘だけがダイスを振られていない。眞紘だけが「まだ始まっていない」。しかし眞紘の色で他の5人は始まっている。

3時17分の時計

317をひっくり返して見ればLIE――なんてどこで思いついてくるんだこのプロジェクトは。それを示すようにMVで登場する時計もひっくり返されていることが多い気がする。
繰り返しの記述になるが、このLIEの示し方、比較的凌駕と相性が良いようで彼と抱き合わせで登場することも多い。

燃える紙
「Juliet」MV内ではTruthと書かれた紙が燃やされている。
どうやらチセと「燃える」というアクションは相性が良いようで、他にもチセに関連するシーンでトランプが燃えている。

薔薇が黒いインクに覆われていく

「Juliet」MVで出てきた薔薇か。星の王子様で登場した薔薇のことか。少なくともJulietという言葉が指す存在=薔薇が暗示するもの、である可能性は高そうだ。それが黒く染まっていく意味とは。「Change Your World」歌詞「Black paint me.」を思い出す。それを思えばもしかして薔薇とは自分自身のことか……? またいろいろ考えた結果「秘密」そのものだと結論づけられる。「Juliet」MVの項目にて。

青い羽の蝶(モルフォチョウ?)

過去はきっと絶対に変えられない

虫には詳しくないので種類の特定ができないが……蝶は頻出するキーアイテムであるように思う。MV映像としてはもちろん、「BIRTH」歌詞では「閉じ込めた感情 押し開く瞬間/咲き乱れる 光の花/輝き 導く蝶の羽と/【約束】/秘密あげる/【甘く解けて】」とあるし「Juliet」でも「とらえられた蝶」という言葉が出てくる。なんの暗示かはまだわからないが「烏麻亜蝶」という人名があからさまだ、とは言っておく。

ここからツイートの訳について。英語に詳しい人がいたらニュアンスの相談をさせてほしい。私は文法がわかる程度のニュアンス理解ゼロ人間だ。紙の上での英語しかわからない。
今回「You'll never」で文章が始まる。ここの「'll(will)」の部分。これ……必要……なのか……? なんとなくだがwillが入ることで「本当は過去は変えられるんだけど何か条件があるからこのままじゃ絶対に変えられないだろうね」のように感じられる。いろいろ悩んだ末に上の訳ではわざわざ「きっと」を挟んだのだが、訳の正解を聞かせてほしい。

この項目はここまで2020/01/18時点での編集。
ここから追記(2020/02/19)。

どうやら元ネタがあったようで、Oasis「Stop Crying Your Heart Out」の歌詞らしい。リンク先は比較的直訳しているサイト。
こちらの曲は映画「バタフライ・エフェクト」の主題歌だったようで、この写真もそれを示しているのだろう。華ドールに触れていると「教養~~~~!」と叫びたくなるシーンがある。
もちろんこのバタフライ・エフェクト、日本語にしてしまえば「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話であり、映画の内容もそういった話。

そしてここまで示された話をまとめてみれば「元凶は蝶」「しかし賽は投げられた」「もうどうすることもできない」。烏麻亜蝶という人物が何をし、Anthosに繋がっていくのか。それが「真実」に関わることなのだろうか。

ブックレット

「華Doll*」は楽曲とドラマパートが収録されたCDシリーズコンテンツです。
「華Doll*」は今までのアイドルのイメージを違った視点から切る、タブーとも取れるテーマにあえて踏み込んだ知的興奮型コンテンツです。
一見すると、それはアイドルを夢見る少年たちの成長と人生を描いたストーリーですが、そこには裏設定に繋がる物語の伏線やメッセージが様々な形で隠されています。
もちろん、本作品が提供するコンテンツをそのままお楽しみいただくことも十分可能ですが、もしあなたがこの作品の奥深くまで知りたいと思う時があれば、あなたの持つ様々な知識、そして「聴く×見る×考える」力を使うことにより、この作品の秘められた本心に近づくこともできます。
見えているものだけが、真実ですか?
それは本当に「あなたの答え」ですか?
この招待状を受け取るかはあなた次第。
我々は常に問いかけます。
Are you a thinking reed?
(あなたは考える葦ですか?)

以上、ブックレット共通メッセージ引用である。これは華Doll*というプロジェクトのコンセプト説明なので考察対象というわけではないが、それでも大切に覚えておきたい一節だと考えたので最初に引用した。

ブックレットの構成は基本的に
・天霧プロダクションの説明
・華Doll*プロジェクトの概要
・楽曲、MVのまとめ
・インタビュー記事
・Are you a thinking reed?の問いかけ
で構成される。ここで各メンバーや各巻・楽曲に関することはそこで言及する。

天霧プロダクションについてはひとまずこれらのツイートがわかりやすい。

天の字+目+無限のマーク∞、らしい。もっと詳しく言うと
・全体的なイメージ:レオナルド・ダ・ヴィンチ作ウィトルウィウス的人体図のイメージ。芸術と医療・人体の融合の表現
・天:天霧の頭文字かつ「天を獲る」の意
・目:プロダクションの威厳の象徴、所属者たちの徹底した管理の意(監視、ということか?)
・2つのトライアングル:インフィニティ、プロダクションが秘める「無限大の可能性」
になっている。

ここで思う。「BIRTH」の歌詞、「瞳は閉じるStyle」、そしてTwitterで明かされた「星の王子さま」の「大切なものは目に見えない」のヒント。
何より3巻「IDOLls」では「I」の部分がeye――「目」としてロゴ化されていた。90°回転した状態で。
「IDOLls」のロゴではその目を閉ざすことで正しく「I」の文字が浮かび上がり、「IDOL」という文字の可読性が上がる。目を開けたままだと「DOLls」の方が読みやすい。
つまり天霧プロダクションロゴも、目を閉ざせば本来の姿が見えてくる可能性がある。
……と、言ってみたのだが、天霧プロダクションロゴの目を閉ざしてロゴに横線を引いてみたところでさほど思いつくものはない。
これで縦線だった場合はかなり「来」の字に近く、これを根拠に「祥來千勢」を思い出し、天霧家と祥來家の繋がりを考えた――ところまで行ったのだがどうにも違う気がしている。そのときの文章は以下に残しておく。

そう言えば3巻で「チヒロ」という名前の人物が名前のみ登場したが、この名前は「チトセ」とひどく近くて、「マヒロ」にもかなり近い。
――祥來家の長兄は天霧家に引き取られた。そしてその子の名前になぞらえる形で、天霧家の次男は名付けられた。
もちろんこう結論付けるのは早計だが、可能性としては否定できない域だ。チセが眞紘についてのみ名字からあだ名を取ったことも、マ「ヒロ」からあだ名をとると兄を思い出すから避けた結果かもしれない気がしてくる。

なお、ウィトルウィウス的人体図、これはウィトルウィウスが「人体と宇宙は繋がっている」「人体を詳しく知ることが宇宙を知ることになる」という発想のもと書き記した人体バランスの説明文を後世になってレオナルド・ダ・ヴィンチが絵に起こしたものだ。
宇宙モチーフは比較的理人と相性が良いようで、これまでもMVに何度か登場している。

vol.3:1巻告知&池袋ジャックポスター

詳しい中身については各キャラクターの項目で話しているのだが、ポスターがそのままブックレットに転載されている。
池袋ジャックポスターの構成は左にキャラクターと、担当カラーを基本に構成されたバースデーケーキのブロマイド。右にポエムとなる。このポエムは「夢」とわざわざカギカッコでくくってまでテーマがわかりやすく示されている。また、ポエムのラストに暗号があるのだが、その暗号の指す単語がこの「夢」の中身なのではないかと想像できる。

このプロジェクトにおいて夢と言われて真っ先に思いつくのは1st season title「Flowering ~Boys were still in a dream~」。少年たちはまだ夢の中、だった。過去形だ。またこの「a dream」も「ひとつの夢」として明言されてしまっているので、それぞれ別の夢を持っているわけではないことがわかる。
Anthosたちは、同じ夢の中にいたのだ。愛とか、自分自身とか、友とか、家族とか、思い出とか、帰る場所という名前の。今はそこにいない

1巻「Birth」

この記事を書くにあたって初見感想などを見返していたのだが「チセちゃんかわいいね」「何をお話してもかわいいね」「かわいい」「チセちゃん」とかいう地獄の限界オタクの手記になっていて泣いた。自分きもちわるいぞ。

それはそうと1巻のドラマトラック(Project-Archive1-01~05)は6人がオーディションを受け、合格し、共同生活を始めて理人が花を咲かせるところまでが描かれている。初出になる情報ばかりなのだが、その中で特筆しておくべきと思われるのは以下。
・ルルディ(Loulou*di)という先輩ユニットの存在
・眞紘の悪夢(自殺した家族?と「父さん」)
・カラスマアゲハ(烏麻亜蝶)
だろうか。この時点からチセの「気をまわしすぎて空回る」、凌駕の「ある程度の線は超えられたくない」あたりの性質が出てきていて地獄みがある。シナリオ上手いなあ……
なおLouloudiもAnthosも同じくギリシャ語で花を指す単語だが、その使い分けは英語で言うところのFlowerとBlossom。つまりLouloudi=Flower=草の花、Anthos=Blossom=木の花になる。

L'Ultima Cena(最後の晩餐)

ジャケットイラストとCD帯内キャプションは以上。「最後の晩餐」とはレオナルド・ダ・ヴィンチの作品でイエスキリストがユダの裏切りを予言するシーンを描いたものになる。特にイタリア語で示された以上、福音書の内容というよりはレオナルド・ダ・ヴィンチが描いたものを特に指しているのだろう。
この薬にまみれた食事の風景、これを字義通りに「最後の晩餐」として受け取り、彼らの中に裏切り者がいて、そして二度と食事(晩餐)をとることはなかったと理解していいのだろうか。これは違う。わざわざ「レオナルド・ダ・ヴィンチの作品」と指定してきた意味を考えるべきだろう。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」は謎が多い作品として知られる。簡単にまとめてみると
・イエスが愛した者(マグダラのマリア、イエスの右手側)の体勢:福音書の内容通りならイエスの胸に寄りかかっているはず。
・ユダの持つ銀貨の入った袋:同様に福音書通りならばまだユダは銀貨を手にしていない。このシーンではパンを持っている方が自然。
・ペテロの持つナイフの向き:骨格的に少しおかしい、と見るのが一般的なようだ。現状は向きのことは考えず、ペテロは裏切り者を見つけてナイフで殺してやろうとしていると解釈される。
・コップの数がひとつ足りない
あとは席次なども考えだしたらキリがないのだがよく話題にされているのはこのあたりだろう。
さて。ここで改めてジャケットを見る。
胸に寄りかかる――とは言えずとも距離の近い眞紘と薫。
ナイフを持つ理人。
明らかに数の足りない皿。
――眞紘がイエス、薫がマリアであるとして、眞紘を裏切るのは誰だ? ナイフを持つ人と裏切り者は席が隣同士だが、凌駕が裏切り、理人が殺そうとするのか。

ブックレットなどを参考に注目すべきは
・凌駕の持っている3時17分の時計
・チセのひび割れた手鏡
・散らばった薬カプセル
・理人の持つ銀のナイフ、それが切り分けようとするケーキ
あたりか。凌駕は今後ともこの時計のメッセージと抱き合わせで登場するのでおそらく嘘を吐いているのは確定。その中身まではわかりかねるが……想像するに凌駕の前職(サラリーマン)が嘘、か……? アイドルになる前、何をしていて、何を知ってしまったんだ、お前は……。
チセと「ひび割れたもの」も相性のいいアイテムのようだ。真実を映さない鏡、つまりチセはやはり「祥來千勢」という「真実」を恐れているのか。
散らばったカプセルやケーキについてはコンセプトトレーラーで考察した通り。彼らの食べる薬は毒ではないのか? 毎日食べるその総合栄養食とやらは本当に安心できるものなのか。
しかしケーキが暗示するものがいまひとつピンと来ない。ケーキ。……「夢」?

2巻「Boxed」

「秘密」が隠されているとしか思えないタイトル。こちらも記事を書く前に初見感想を見直してみたが「チセちゃんが喋ったー!」「チセちゃん!チセちゃん!チセちゃん!!」でほとんどが埋まっていて怖かった。私をここまで狂わせるチセCV駒田航……何……? どうして……私このジャンルには伊東健人を目当てに手を出したのよ……どうして……

ドラマトラックでは薫と凌駕の花が咲く。皆花が咲くと一旦医療棟に送られるらしい。そしてこれは薫くん限定かもしれないが「とてもお腹が空く」。代謝も上がってしまうということか……? 薫は開花シーンがひとり穏やかだったのでそこもかなり気になるところだ。

初出になる情報は
・チセの過去、シナスタジアという性質
・凌駕の暗躍(?)
……くらいか……? 06冒頭の録音データも気になる。

ジャケットは以上。帯内キャプションは彼らの「秘密」のフレーズ。
そしてCDの円盤デザインは鍵穴、CDを取り除いたそこには薔薇の花。ガラスケースに覆われて、花弁が落ちている。
彼らの「秘密」を示すのが「薔薇の花」だとでも言いたげなデザインだ。おそらく間違っていないのだろう。

ここで余談に飛ぶのだが、この華Doll*というプロジェクト、御伽噺がキーワードになる局面があるのではないかと考えている。「BIRTH」歌詞でも一番初めに「さぁ 御伽噺を始めよう」と来るわけだし。そういう前提のもと薔薇の花を見ると思い浮かぶ御伽噺がある。
美女と野獣だ。

薄い文字ではあるが上の方に「and the Beast」の文字が見える。おそらく美女と野獣の「Beauty and the Beast」のことだろう。他にも見える文字には「Romeo and Juliet(ロミオとジュリエット)」「The Little Prince(星の王子様)」「Rain Man(レインマン)」。前者ふたつにはバラが登場する。
これらの御伽噺は、モチーフのひとつとしてこのプロジェクトに最初から組み込まれているのではないだろうか。人を見かけで判断してはいけないという教訓にしろ、薔薇の花を用いた暗示にしろ。そういえば美女と野獣の弦買うには魔法の鏡なんてものも登場したか。
あながち間違いではないとして、では美女と野獣がそれぞれ誰のことを指すのかと考えてみてもそこからはわからないので話はここまでにしておく。

ジャケットイラストの方はやはり賽は投げられたことを示すものか。左半分の4人を見る限り全員デニム×黒で衣装を統一しているようだがそれにも意味があるのか……?

3巻「IDOLls」

言っておくが初見感想はやはり「チセちゃん」だった。まあ……チセと理人の”強すぎる”イベントもあったしな……ははっ……この記事読んでるAntholic、チセの開花シーンどう思った? 私は思考が止まった。

内容としてはチセの開花、そして6人がそれぞれシンメと距離を詰めるまで。その過程で眞紘の真実に少し触れ、陽汰の過去が明かされる。
・天霧眞紘と兄の存在
・Loulou*diの活動休止
・凌駕が眞紘に伝えた「お前に嘘は吐いてない」
・医療棟の人からAnthosたちが「Doll」と呼ばれていること
・チヒロという名前
・支給品の解放
このあたりは覚えておくべきか。嘘を吐いていることがほぼ確定の凌駕の言う「お前に嘘は吐いてない」が気になる。眞紘以外に吐いた嘘はあるのか。その言葉も嘘なのか。

Don't judge a book by its cover(本をその表紙で判断するな)

このプロジェクトで何度も示されているメッセージだ。人を見た目で判断してはいけない。見た目でレッテルを貼ってはいけない。大切なものは目に見えない。
天霧プロダクションロゴの項目でも話しているのだが、このタイトルロゴ、簡単なギミックが入っている。
「IDOLls」の「I」の部分がeye――「目」としてロゴ化されていて、さらにそれは90°回転している。「見かけで判断しない」の通り、その目を閉ざすことで正しく「I」の文字が浮かび上がるのだ。そして「I」の字がわかりやすくなると「IDOL」という文字の可読性が上がる。目を開けたままだと「DOLls」の方が読みやすい。つまり「見かけはDolls、本質はIDOL」ということだ。私たちはIDOLの彼らを見なければいけない。

4巻「Message」

こちらの紹介ツイート、かなり異例の処置があり「ネットにアップされております一部画像の中に、弊社で発表したものと異なる色味のものがありましたため、イメージについての補足説明をさせていただきます。」として改めてツイートされている。そこでは「緑から赤のグラデーション背景に、選択を迫られ立ち止まる姿を表現しています」とのこと。
緑と赤、といえば当然凌駕と眞紘。しかし分かれ道、Y字路は陽汰と薫のことだった。つまり陽汰と薫が分かれ道にいて、凌駕と眞紘はもっとその先、道を進んだ先のゴールに近しいところにいる……? となるとクリスマスカラーシンメは「秘密」と「真実」をそれぞれ象徴しているのか。

こちらは発売前に発表されたイラストのひとつ。Anthosの6人がそれぞれのカラーで落書きしたものを影の男が塗りつぶして消しているようだ。
目立つものを抜き出せば色順の違う6色の虹、青い鳥(まさか幸せの意味で描いてないよな……?)と蝶(そういえば青い蝶は頻出モチーフだ)、紺色(紫色)の飛行機、緑の電車(「Me Against Myself」MVに線路が登場する)と車、黄色の太陽、黄色かオレンジのひよこ(「Juliet」MVに登場したコロンブスの卵から孵ったものか……?)、赤い謎の羽つきのいきもの。眞紘が描いたんだね、すぐにわかったよ。なおこのいきもの、鳥ではないと思われる。根拠についてはこちら。

>>>TORI<<<

なお下敷きになっている白い文字は主に数式……か……? 上手く読み取れないが左上の目立つ「+C」は積分定数……? それ以外にも文字列が見えるので数式ではないと見た方が良いだろうか。飛行機とAnthosロゴの間に「HLADAT」という文字が見える。
ひとまずは「I need u」「Where?」が「Message」なのだと理解はできる。

ドラマトラックの内容を簡単にまとめてしまうと陽汰の開花まで、になるがその過程でずいぶんといろんな事実が明かされた。
・灯堂彼方(理人の父)の登場、華人形プロジェクトの医療チーム所属であること、薫の元主治医であったこと
・凌駕と華人形プロジェクト医療班との繋がり(開花促進剤の所持から)
このあたりはかなり考察にも関わる重要な設定だったと思う。
そしてさらには凌駕と理人が話し合うことにより二人の意識が初期からかなり変化していることが明かされる。あそこ良かった。

Remember you are not alone(あなたは独りじゃないこと、思い出して)

帯と歌詞カードに記されたモールス信号を合わせて解読すると以上の「Message」になる。やはりドラマトラックでも中心となった陽汰のテーマ「Don't leave me alone.」へのアンサーでもあり、この4巻収録の「Me Against Myself」でも繰り返し叫ばれる「(This is) only lonely way」と真っ向から対立するメッセージだ。
このメッセージは誰に向けられたものなのかは未だ結論が出ていない。一応は4巻「Message」のドラマトラック(PA1-20)で眞紘が「僕一人になっちゃった」と呟いている。これに対する答えだとするならメッセージの発信主は凌駕、ひいては眞紘以外のAnthos全員か?
あとは5巻が「For...」というタイトルであり、そこにAntholicが続くと考えれば(根拠はHomeMiniLiveの映像)このメッセージも私たちAntholicに向けられたものだと理解できるが。
……やはり陽汰に向けられたもの……と思ってしまうのはあまりAntholicとしての当事者意識の薄い私が考えることだからなのか。薄い根拠ではあるが、この4巻「Message」のジャケットは薫がセンターになっていることからメッセージの発信主=薫として、薫のシンメ相手である陽汰がメッセージの送り先と考えることもできる。ドラマトラック内でも陽汰は薫との会話の中で「言葉、ちゃんと届いてるよ」と言っていた。

そういえばこのジャケット衣装、花柄が共通して各人の衣装に織り込まれている。その位置はおそらく花の咲く場所を覆っているのだろう。で、そうなると眞紘が……おかしいんだよな……1巻「Birth」時の衣装と位置が異なる。

5巻「For...」

告知画像が出ており、すでに考察材料は与えられているのだがとりあえず現時点では項目をつくるだけで。

MV「BIRTH」

さぁ 御伽噺を始めよう まずはキミに魔法をあげる

こんな歌詞から始まるこの歌。詞中には「キミ」と「君」の二種類の表記が登場するのだが「キミ」表記はこの一節のみで使用される。
完全に直感だが「キミ」はこのプロジェクトを消費する私たちAntholicで、「君」はAnthosでもAntholicでもない第三の存在と理解している。直感なので根拠はない。根拠が見つかり次第この意見はいつでも覆す。
しかし「キミ」=Antholicだとすれば冒頭の歌詞は簡単に解釈でき、つじつまも合うのだ。プロジェクトの一曲目の(ほぼ)第一声だもの、物語の序文が記されて当然、と私は考える。物語の序文、前書き、あらすじ、自己紹介。そんな「BIRTH」を冠するにふさわしいフレーズがここには来る。そしてそれは、「さぁ 御伽噺を始めよう まずはキミに魔法をあげる」。Anthosは今からうたう歌が、ここで生まれるプロジェクトが、御伽噺だと言っている。
では御伽噺とはなんだろうか? 単純に字義を追うならば「説話」や「童話」と言い換えてしまっても良いだろう。このプロジェクトで時折「夢」というフレーズが出てくることを考えれば「夢物語」でもあながち間違いでもないのかもしれない。私たちはそんな魔法にかけられて、同時に選択を迫られている。

瞳は閉じるStyle or 見つめてKeep?

これはブックレットなどでも示されている「コンテンツをそのまま受け取るか、考察をするか」の意味だろう。――と最初は考えていたのだが天霧プロダクションのロゴ、そして「IDOLls」のロゴを見直して思う。
その瞳を閉ざして縦一本の線にして初めて本来の意味が浮かび上がる。
そういうヒントだったのではないだろうか。とにかく大切なものは目に見えないのだから、今後とも目に関わるデザインが発表されたらそれを閉ざしていく。

他にも歌詞だけでも考察することはたくさんあると思うが基本的にはAnthosの自己紹介ソングなので、深読みすることなくそのまま受け取ることにしている。ので、ここから言及するのはMVの話。

Life was like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.
人生はチョコレートの箱みたいなもの。何が手に入るかなんてわかりっこない。

MV内に登場するチョコレートボックス、それが指し示すもの。これは映画「Forrest Gump(フォレスト・ガンプ)」からの引用で、主人公の母が伝えた言葉だ。
このプロジェクトにおいて「箱」は「秘密」の詰まった(鍵のかかった)箱だが、チョコレートボックスには「人生」が詰まっていると考えた方が良いだろう。現にMVでプレイされるゲームは「Chocolate box」さんからのメールで通知され「game of life, do it」というURLでプレイされる。

一つ目は人生ゲーム。6人を模したピンが動く。紫(理人)が遅れて進み、オレンジ(陽汰)や青(薫)を越して赤(眞紘)が爆弾を踏む。
二つ目はインベーダー。赤、青、オレンジ、黄色、緑、紫の順で残機を使い尽くしてGAME OVER。

……6人の人生ハードモードすぎないか? 助けて。

すべては夢の中なのか、現実が悪夢なのか、
それでも歩む、それは生きるため?
問うのは孤独の中、囲われた世界の中
彼らが手を取り合うのは運命なのか

最後の意味深メッセージを書き起こすとこれだ。
「彼ら」はAnthosのことだと思われるのでこのメッセージの主はAnthos外の誰か。唯一Anthos外の視点を持っていそうな凌駕の可能性はぬぐえないが……ひとまずは除外しておく。
となるとメッセージの主の候補としては「天霧一」「カラスマアゲハ」「チヒロ」、そして「Anthosに存在したかもしれない7人目」、さらには「私たちAntholic(がこのとき考えるべきことの代弁)」あたりに絞られる。つまり全然絞れてないってことだ。
一応直感としては7人目説を推すのだが、根拠はない。

MV「Unknown」

上述「BIRTH」内で示された「御伽噺」の一端がここにある――として、各人のモチーフとして御伽噺を挙げていたのだがこれについてはまったく違ったと判断している。
「Unknown」MVで示されるのは「花」だ。「花言葉」、そしてその名前の由来。それが示されている。

このあたりは各キャラクターの項目でまとめる。

基本的なMVの構造は
・カチンコ
・モノクロの城?に近づく
・最初に「嘘」を示される
・ケーキ、6人のモデル素体、8セットある皿とカトラリー
・ルーレット
・各キャラクターのシーン
・↑を繰り返し
・ブロマイドと暗号
・着信に出る
・カラーの城?から遠ざかる
こうなる。ルーレットについては特にTwitterでヒントは与えられていないがやはり賭け事になるのか……?

このMVの怖いところは「矛盾」だと思う。
城は「Anthosの外側」の暗示だろう。カチンコが出てくるのは少なくとも「これは撮影である」というメッセージだろうし何度も嘘だと時計が出てくる。このMVの最初は「Anthosの外側」を示してくる……のだが、各キャラクターのシーン、これはあきらかに「彼らの本質」だ。
陽汰のシーンがわかりやすいのだがこの「Unknown」、「秘密」のフレーズが関わってくるのだ。
このMVそのものが「外側」なのか「本質」なのかはわからない。城の映像も最初と最後で色のオンオフがあるのも気になる。モノクロなのは華Dollプロジェクトそのものが年季の入ったものである、というメッセージ……か?

食事シーンは1巻「Birth」のテーマである「最後の晩餐」の再提示だと思うので詳しい言及はここではしない。モデリング素体を使っているのが気になるが……これはトルソーを想起させるためのものか? それとも明らかにAnthosではない、つまりルルディの存在を示しているのか……?
なお席は8席分あり、モデリング素体は6体分。空いた2席は誰のための席なのか。

ルーレットについて。どのポットに落ちたかまでは読み取れなかった。出目は関係なく「ルーレット」そのものに意味がある、ということか。うーん……ギャンブル系の知識がないのだが、つまりは「運」……Anthosに彼らが選ばれたのは運……?

各キャラクターのシーンはおそらくAnthosの本質を示しているのだろう、という話は上述。チセがわかりやすいが、彼は鏡写しのように反転させた自身の姿と共に登場する。「チセ」と「チトセ」という人格が共存していること、もしくは兄の存在の暗示。ガラスが割れるようなエフェクトが入るのはその二重人格状態に亀裂が入るということか。
同じように彼らの状態を示していると考えながらみていくと、陽汰もかなりわかりやすい。太陽のモチーフが掲げられた子供部屋。「Don't leave me alone」の文字。彼らの状態を示した、というよりは彼らの秘密が隠された箱の中、かもしれない。どちらにせよこれが彼らの本質だ。
眞紘は白い羽根が舞う屋内に立ちすくみ、薫は泡となって消え、理人はうさぎの置物を示したのちに実験室のような場所で「What is LOVE?」と問いかける。愛の証明をしているのか。凌駕は映写機が回るだけの室内。さらにかじられた林檎。聖書の内容をときどき踏まえてくることを思えばこれは知恵の実を食べたことを示すのか? 凌駕は何かを知り(知恵の実を食べ)楽園を追放された……?

ここで同時に示しておきたいのは「サイコロが投げられるタイミング」。サイコロの出目はおそらく年齢順("Birth"順)なのであまり関係がない。が、このプロジェクトにおいてサイコロは「賽は投げられた」の暗示、つまり何かがスタートしたことを示すものだし、きっとそれはAnthosとしての人生ゲームがスタートした瞬間だ。
基本的には映像がひと段落した瞬間にサイコロが投げられ、次の人物のシーンに移る。だがその法則が崩れるのが二人いる。眞紘と薫だ。薫はサイコロが投げられた後に泡となって消え、眞紘にいたっては投げられてもいない。
これはつまり「薫はAnthosとなった今より後に消滅する」であり「眞紘はまだAnthosとしてスタートできていない」だろうか。少なくとも開花しない可能性は高い
未来がないことを示されている薫が「希望のある未来を」と歌うのやばくないですか。眞紘は……もう……考えるの怖い……こわいよ……

ブロマイドの暗号についてだが、こちらは動画内で出てきたサイコロの数字を参考にABC順で後退すると意味のある言葉になるようになっている。
凌駕:1文字戻して「CLOVER」クローバー
理人:2文字戻して「GENTIAN」リンドウ
チセ:3文字戻して「NARUCISSUS」スイセン
薫:4文字戻して「FORGOTMENOT」ワスレナグサ
陽汰:6文字戻して「MARIGOLD」マリーゴールド
これは彼らの体に咲く花と同じで、誕生花でもある。
眞紘は文字が消されているが同様に考えればANEMONE、アネモネだろう。
花言葉などは各キャラクターの項目で。

着信については誰からのコールなのか明かされていない。「Unknown」である彼らにかかってくる電話、ならオーディション合格通知……か……? そんなに単純な話か?

MV「Juliet」

歌詞について考えるところが多いなと思う。
サビは「ai」で繰り返し韻を踏むのだがそこで定番どころのEyeや愛を外しているのはなんなのだろう。「I」はわかる。「A.I.」って何……? エーアイ……? このプロジェクトでA.I.と言われたらまず思いつくのはプランツなのだが……Julietを繰り返し聞いていて、ふと眞紘が人造人間だったら嫌だなあなんて考えていたことを思い出した。遺伝子配列をいじり、意図的に優秀な人間を生み出す技術を持って生み出された試験管ベビー……なんてね! 考え過ぎだね!

映像は基本的に彼らの秘密が隠された部屋を示すらしい(「Unknown」MVと同じだ)。その中で眞紘のMの扉だけないのはやはり「Unknown」MVと同じ理屈なのか。
そういえば、今MVを見返していて気づいたのだがドアを開ける直前に「EAT ME」の札と共にケーキが提示される。これの元ネタはもちろん不思議の国のアリスだろうが、そこではお菓子を食べて大きくなり過ぎたアリスが泣いてしまい、その涙で海が出来る。そしてアリスは小さくなるジュースを飲んで海を揺蕩い鍵のかかった扉を鍵穴から抜ける。つまり部屋を抜ける鍵は涙……? 「Juliet」MVは雫や雨の描写がよく入る。
よくよく見なおしてみれば、このMVで「ドアを開ける描写」は基本的には存在しない。各キャラクターのシーンも「ドアスコープを覗いている」設定のようだ。

各部屋の中は
チセ:「Truth」と書かれた紙が燃える。深い赤(紫)の椅子と双子の人形の置かれた真っ白な空間で仮面を持つチセ。仮面の目の中はキラキラしていて、シナスタジアの暗示と読み取れなくもない。仮面は黄色い涙を流している。
理人:南京錠だらけの背景(ひとつだけ大きな盗難防止錠もある)に紫色のハートを持った理人。彼はすぐに紫色の涙を流して泣く。上述の不思議の国のアリスを踏まえれば最初に鍵の向こう側に到達したことを示すのか?
薫:赤と青のリボンで埋め尽くされている。病弱だったことの暗示か。エフェクトとして画面枠に黒い葉が覆う。
陽汰:監視カメラだらけ。ヘッドフォンを身に着けた陽汰が飛び込んでくる。白い葉がエフェクトとしてかかる。
眞紘:つるされた鍵(7本あるうちの右から3番目)を映す眞紘。赤文字の「sleep」に囲まれている。眞紘の持つブロマイドはチセの仮面の目の中と同じ。
凌駕:緑を基調にした整った部屋。スタンドライトがある。凌駕に隠れて見えないが、赤いソファもある。凌駕が持っているカメラは眞紘のブロマイド、チセの仮面の目の中と同じものを浮かべている。黒い葉の枠。
この黒い葉と白い葉、何か意味があるのだろうか? チセと理人、薫と陽汰にはシンメふたりのショットがあるのだがそこから察するに理人、薫、凌駕が黒でチセ、陽汰(、眞紘)が白のようだ。「ChangeYourWorld」の「Black paint me.」あたりに関わってくるのだろうか。
あと、私は「見え過ぎる」チセには「大切なもの」が見えていると思っているのだが、そのチセの持つ仮面が映したものを眞紘のブロマイドと凌駕のカメラが映しているのが気になる。やはり凌駕は真実を知っている、し、眞紘もそうだ。

他にもシーツの上で割れる卵、赤い傘の人物、窓ガラスの「Miss you」の文字などいろいろと気になるものはあるがわからないのでこのままスルー。

そしてMVの最後、赤い扉を開けて外に出る。秘密を開いて外に飛び出して、見えたものが「副虹」。条件がそろったとき、私たちがいつも見る主虹の内側に見えるもので色が逆転しているものだ。
ここで主虹はルルディ、副虹がAnthosと解釈して、虹の色数を思い出せば簡単に「7人目」説に辿り着く。これも私が7人目説を支持する根拠のひとつなのだが、この説を支持すると7人目が今どうなってるかを考えなきゃいけないんだよなあ。そのあたりはまったくわからない。

閉ざされた世界をただ行き来して
誰かが作った決まりごとに
目隠しをされて
そうやって僕はまた正義に浸る

最後のポエムは以上。「閉ざされた世界」は「行き来」できる数があるらしい。つまりそれは秘密が隠された部屋、心の中、のこと……か? それを行き来する、とは。うーん。

MV「S.T.O.P」

この曲も考察箇所が多い。まず彼らが持つフリップなのだが、暗号を読み替えていくと
理人:LATE
チセ:ITS TOO
凌駕:FIND OUT
眞紘:THE TRUTH
薫:WAKE UP
陽汰:BEFORE
となる。ちなみに眞紘のフリップの落書きは「CMIYC」、Catch me, if you canで直訳「できるものなら捕まえてみろ」。ニュアンスを含めると「鬼さんこちら」程度らしい。
これの並び替えについてはPOP-UP STOREでヒントがあったようで

WAKE UP, FIND OUT THE TRUTH BEFORE IT'S TOO LATE
目を覚まして、手遅れになる前に真実を見つけ出して

となるようだ。目を覚ます、とはどういうことだろう。眠っている人がいるのだろうか。手遅れ――とは、やはり開花期限のことか。

脱線するのだが、ポップアップストアのメッセージについて。

Everything can't last forever. It will be gone.
すべてのものが永遠に続くわけじゃない。消えてしまうものだ。
Can't find your truth if you wear the clothes.
服を着ていては真実は見つけ出せない。

後者はファンが流していた追加メッセージ。ここで「you」は不特定多数、人間という生き物を指していると判断して訳から抜いた……が、訳しても良い気がする。「the truth」と「your truth」を明確に区別した方が良い文脈だろうし。
S.T.O.Pというか、3巻「IDOLls」のテーマが見かけと本質についての話なので、服で着飾ることなく自分自身を表現してほしい、というメッセージか。

話をMVに戻す。

このMVでは冒頭でエレベーターが動き、1FからTOP(7F)に上がる。天霧プロダクションのカーストは4ランクなので彼らがプレデビューからレジェンドに上がることの暗示ではないだろう。7人目を示す根拠か? と考えてはいるがまだ微妙なところ。

他、各キャラクターがアップになるシーンでは凌駕の背景で1984と∞KARMAの文字が見える。
1984は小説(要約するとディストピアもの。監視体制が徹底されている)、KARMAの方は字義そのままでカルマ、業のことか?
少なくともMV内でテレビが燃やされている映像は1984を下敷きにしているのだろうと思える。監視の目を燃やそうとしているのだ。

燃やすと言えば。チセが登場するシーンでハートのエースが燃やされる。チセと「燃やす」という行為は相性がいいようでtruthと書いた紙なども燃やされていたがこれは……つまり……? チセは真実と共に愛も燃やしたのか。
そうそう。ハートのエースで思い出したのだが、上述の「不思議の国のアリス」、この話のラスボス(といっていいのかはわからないが)は「ハートの女王」、である。もちろん不思議の国のアリス、そして女王を連想させたいのならばここのカードはエースではなくQであるべきであるし、余談レベルなのだが……wikiには「ルイス・キャロルは後年、ハートの女王を手に負えない激情や盲目的な怒りの化身として生み出したと記している」、とある。チセと理人はシンメで強いつながりがあるし、理人の視力は悪いことは確定だし、と思ってしまう。

また、何度か部屋の扉が開けられる。ポストのような小さな扉の向こうでは陽汰がスコープで覗かれLOCK ONされているし、薫のドアを幾重にもくぐった先にはフラッシュを焚かれた陽汰。凌駕のドアの先では食べられる前の林檎が落ちる。そして眞紘。
部屋の中=「秘密」がある、とすれば薫の部屋の中に陽汰がいることがなんとなく怖い。薫の秘密の中に陽汰が入り込んだのか。あのポストみたいな小ささはどういう意味だろう。
凌駕の「秘密」に林檎=知恵の実が関わってくることが確定なのも気になる。やはり凌駕は楽園を追放されている。彼の前職サラリーマンをそのまま信じるならリストラされた、のだろうが彼は嘘を吐いているしなあ。

僕は知る ここで生きていく方法
ラベルを貼って じっとしていること
どこまでも深い闇の中
固く閉じた扉の向こう
誰かを呼ぶ声が 微かに聞こえた

さて、この「誰か」とは誰だろうか。声の主は誰だろうか。おそらくこのポエムの主は「見かけとしてのDoll」に迎合してしまい、「本質としてのIDOL」を忘れてしまったのではないかと思うのだが、それはつまりアイデンティティを失ってしまったということだ。「誰か」はポエムの主である可能性がある。そして声の主は彼を求めている。

MV「Change Your World」

一番好きな曲で、一番好きなMVだ。汚い色のマーブル模様が、Anthosになる前のチセの視界だと気づいた瞬間にぼろぼろと泣いてしまった。チセはこんな視界で生きてきた。汚い音と色が、視界を覆う。けれど。

そんなとき、彩りある花が
僕と君を巡り合わせたね
忘れない光景、始まるミステリーライフ
僕らを灯してるよ

チセと理人が高らかに歌い上げるこのパート。あまりにも美しくて、チセと理人の関係性そのもので。チセにとって理人の声は、理人の歌声は、理人の色は、「僕らを灯」す光だったのだろう。きっと、理人にとってもチセの声がそうなのだ。と、信じたい。

また凌駕と眞紘のパートで初めて3時17分の時計が時を刻み始めたことにも胸が熱くなる。「S.T.O.P」で「嘘」は壊され、そして「Change Your World」では未来へ進み始める。
この歌はすれ違う愛の歌だ。ブックレットvol4でそう示された。けれど未来へ進む歌でもある。

それにしてもこの動画の時計パート、不穏と言えば不穏で、目立つ3時17分の時計以外のものはほとんど針が抜かれている。時刻が確認できるのは他に二つで10時8分と10時43分(44分?)。これを同じように回転させて読み替えてみる……のだが、意味のある言葉にはならない。ひとまず続報待ち、といったところか。

撮影場所の遺跡についてはすでに考察が出ているようだ。私は本当に門外漢なので言及を避ける。

それと白い鳩が飛んでいるシーンが印象的。これまでのMVでも白い羽が舞っているシーンは出てきたがそれが鳩だったのだろうか。
白い鳩と言えば平和の象徴であり、本当にこの意味で映像を用意していたのなら珍しく肯定的なモチーフだなと感じる。
他に思いつくのはプレアデスの神話。7人姉妹だったプレアデスはオリオンに見初められるが、アルテミスの力で白い鳩に変身させられ、夜空に上げられる。さらに後にはプレアデス姉妹の一人、エレクトラは後に彗星となって姿を消したと言われる。これはAnthos7人目説を補強する……かもしれない。一応覚えておいた方がよさそうだ。

他……そうだな、動画内、カモミールが登場するが(「Doll」のあたり)花言葉は「逆境に耐える」「苦難の中の力」。それが愛とでも言うのだろうか。

あとはこの曲のテーマであろう「Loveの意味」について。
歌詞の英語の文法がちょくちょく間違っていて(動詞2回登場とか三単現のs抜けとか)、元からニュアンスわからないマンの私にはそういう細かいところを落とされる怖くなって英語を訳せなくなってしまうのだが……とりあえず訳してみる。

What's Love means?
愛とはなんだ。 
Love means never having to say you’re sorry.
愛とは決して後悔しないこと。

上段はサビ、下段は凌駕のラップパートの歌詞。後者は映画「Love Story」の台詞になる。一般的な訳をそのまま持ってきたが直訳すれば「愛はごめんと言う必要がないことを意味している」、くらいになる。もう少しくだけさせれば「愛していれば謝る必要なんてないんだよ」、か。これの返答として眞紘はこう歌う。

I just mean that, you prove it Love.
そう伝えてるんだよ、あなたがそれは愛だと証明するんだ。
So, Love was fake.
だから、愛は偽物だった。

訳せない。苦しい。英語に詳しい方お助けください。
とにかく、眞紘はきっと上の台詞を受けて凌駕に、そして自分自身にも「後悔しないで」と伝えているのだろう。悔やむだけの愛だった。愛が決して後悔しないことならば、この愛は偽物だった。だけど本当の愛だと彼らは信じている。だからこそ謝ってほしくない、後悔してほしくない。
この台詞ののち、眞紘と凌駕は掛け合いを重ねる。孤独を蹴り飛ばして。君の幸せを願って。別々の道を歩んで。

I'll come back for you
君を迎えに来る

なおこちらの文章、映画「バタフライ・エフェクト」の引用のようだ。
こちらの映画はコンセプトトレーラーの項目でも触れているがもう一度ここで触れ直す。
「I'll come back for you」とヒロイン(ケイリー)に告げて彼女のもとを去った主人公(エヴァン)。のちにエヴァンは過去に戻る力を使ってケイリーの人生を救おうと試みるのだが、そうするとまた別の要因で誰かが不幸になる。最終的に、彼はケイリーと出会わない人生を選んだ。
人は、誰のことも救えない。「神にはなれない」のだ。出会ったことが不幸の始まりであるならば、君を救うために出会わないことを選ばねばならない。そういう物語だ。

この曲が映画「バタフライ・エフェクト」を下敷きにしているのならば正しい愛の形は「出会わない人生を選ぶこと」。しかし「So, Love was fake.」から考えるにそれでも彼らは出会いたいと思ってしまうのだろう。
愛とは決して後悔しないこと。愛とは出会わない人生を選ぶこと。けれど愛は偽物だった。悔やむとしても、不幸になるとしても、出会うことで不幸にしてしまうとしても、出会いたかった。
それだけ強く求め合う二人の、別れの歌だ。そうして未来に進んでいく。

ここから余談。

質問者:【チセ】世界を変える何かがあるなら、それは何でしょうか。メキシコからでした🇲🇽
チセ:ありがとう、国境の向こうのAntholic😘うーん……ぼくは親切とか、愛とかの小さな行動でも世界は変えられると思うよ🌎💛きみはどう思う?

質問イベントでこんなやり取りがあった。そして私はCYWを思い出して泣いた。MVから見るに「世界が変わった」のはチセの方で、「世界を変えた」のは理人だからだ。理人がチセの世界に光の色をもたらした。光だ。ぐちゃぐちゃに濁りゆくチセの視界を、世界を変えたのは、理人という光だった。そしてチセはそのCYWのMVが出た一週間後にこんなことを言う。
チセが受け取ったものは愛で、親切で、ちょっとした行動だった。きっと理人のことだから、それは本当に小さなことで、チセに話しかけるとか、気まぐれに歌うとか、それぐらいの行動だったんだろうと思う。でもチセは世界が変わったと感じたんだ。私にはそれが嬉しかった。

ちなみに上述の訳は私が訳したもので、公式ブックレットのvol.5で公式訳が出ている。

Q.もし世界を変えられるとしたら、どんなことができると思いますか?
A.う~ん、そうだなぁ。小さな親切とか愛情でも、みんながすれば大きな力になるよね。それって世界を変えられるってことだと思うよ。

みんながすれば大きな力になる。なるほど? みんなが? えっそのニュアンス英語のとこにあった? 翻訳が解釈違いとかそんなことある? メソ……

MV「Me Against Myself」

たぶんこのMVを見た人の大半が映画「スタンド・バイ・ミー」を思い出すと思う。私もそう。天霧プロダクションのニュース欄にも同様のにおわせが書いてある。

公開されたMVは一部、とある映画からインスピレーションを得て制作されました。
まだ未熟な少年たちが狭い世界や大人から解き放たれて
子供だけの旅を通して成長していく姿。
少年たちが、到着した目的地で得られたものがそれぞれ違うように、
このMVから何を感じるかも、見ていただいた方によって違うかもしれません。

この「スタンド・バイ・ミー」、あらすじから言えば「不遇な家庭環境の少年たちが、放棄されているはずの死体を実際に発見・報告して町の英雄になるため線路沿いにひと夏の冒険に出る」となる。私としては、友情がテーマなのだと感じた。特に幼少期の、儚い友情だ。
子供とはえてして物理的な距離感だけで友達になる。家が近い、歳が近い、通学路が同じ、クラスが同じ、とか。そしてそんな友情など10年も続かず潰えるものだ。一桁の年齢時の友達と成人しても交流を持つ人がこの世に一体何人いるんだろう。
実際にこの映画の主人公(ゴーディ)は、バディとも言える親友(クリス)とは冒険の末に疎遠になる人生を選ぶ。ふたりの別れのシーン「I'll see you(じゃあまた)」「Not if I see you first(ううん、さよなら)」は冗談めかしたやりとりだったがこの後ふたりの人生は交わらない。しかしそれでもゴーディはクリスのことを覚えていた。みんなで旅した線路沿いの景色を覚えていた。儚い友情でありながらゴーディにとってそれは永遠のものだったのだ。

このMVが映画「スタンド・バイ・ミー」を下敷きにしているとして、公式サイトの発言も踏まえれば「冒頭の地図が示すもの」「線路の先で見つけたもの」は、きっと彼らの「生き方」という答えだ。地図が示していたのはドクロマークだったので死体……と思ったがそうではないと思った方が良いだろう。死に方とは生き方のことだから。答えの形はそれぞれ違っていて、それを象徴するためにみな違う線路に立っている。それだけだ。
陽汰はこの4巻の時点でまだ花が咲いていなかったから線路脇にいるが、残りの開花メンバーは線路上。理人と陽汰のシーンだけ二線あるのは……誰かと人生がすれ違った、ということか? 陽汰と凌駕のみ線路の先が霧に覆われていることが気になるが。
なお凌駕は「ChangeYourWorld」MVと同じ線路に立っていることからMVの中でストーリーは繋がっていると思われる。――「ChangeYourWorld」MVで眞紘がいた道路と同じものがこの「Me Against Myself」MVにも登場する。

今更になったがこのMVのストーリーをざっくり振り返っておくと、
楽曲外パート:車で海辺に辿り着く→ボトルメッセージを見つける→ラジオをかける→「Me Against Myself」楽曲パート→暗闇に閉じ込められる眞紘→黒い翼→MVポエム
楽曲パート:秘密基地→眞紘だけがいないブロマイド→キャラクターの影絵の立つ線路→星空やビー玉、数式での宇宙表現→別の場所にいるらしい理人・薫、眞紘、凌駕・チセ・陽汰→手書きの扉が開いてスーパーでのショッピング→ニュース画面→塗りつぶされる「Where?」の文字→誰もいない線路→砂浜と波、ススキ、砂に埋もれた線路
となる。いやあ情報量多いな。

ブロマイドについては華やかな背景であることからおおよそ「Juliet」MVに登場したブロマイド……かなあ……と考えているが確証はない。ドラマパートにも「凌駕が撮った、凌駕のいない写真」が登場するのでもしかして眞紘と凌駕の入れ替わりミスリードがなされていてこのMV中のブロマイドはドラマパートで登場した写真……? とまで考えたのだが、ドラマパートでは確か陽汰が撮影前に「オレ前出てしゃがむ」と言っていたことから、立ち位置的に違う写真であると確定できる。
スーパーでのシーンではおそらくショッピングカートの視点から撮影が行われている。そしてシーンの切り替わりのとき、プレゼントの入ったカートが映る。
あとは……そう、一応ススキの花言葉は「活力」「生命力」。死体を探す旅を下敷きにしたMVで「生命力」……

ついでなのでここでMVポエムも出しておこう。

大声をあげたら 聞こえるだろうか
暗闇にいる君を 探し出せるだろうか
そんなことを考えながら
今日も僕は 届かない空に
高く手を伸ばした

黒い翼が広がる瞬間ボトルメッセージの転がる音がすることから冒頭のボトルメッセージは眞紘が流したものと考えられる。
この黒い羽については公式が4巻発売後(というより5巻に向けて)にメッセージを流している。

白い羽や矢のくだりはアネモネの花言葉の由来を指していると思う。眞紘の項目にて詳細。白羽の矢……は言葉遊びの域を出ないのだろうか。

その他にもいろいろと答えが出ないのだが、出ないなりにまだ喋る。
これまでのモチーフを使って答え合わせをしているようで、ニュース画面などは「Unknown」や「Juliet」のMVを織り込みながら「S.T.O.P」のテレビに戻ってくる。そういうことを合わせて考えてみるとこの「Me Against Myself」MV、天霧プロダクションという監視体制下、世間の目から逃れた6人が「答え」を見つける旅に出たことを表現しているのかもしれない。そして最後に得られたものは……「ChangeYourWorld」の項目に戻る……のか? Anthosの見つけた答えは「出会わない人生を選ぶこと」。「離れて生きる僕たち」……それが正解か?
否であると信じたい。「自分以外の誰かを求めてしまうのは/弱いことなの?Tell me why」「このPride捨て伝えたいんだよBaby」「Always I need you…」だ。自分以外の誰かを求めることは弱いことかどうか、それはわからない。けれど目の前のその人は求めている。いつだって、時が経ったって。

最後になってしまったが宇宙モチーフについて……これは未だによくわかっていないのだが、理人と相性が良いようだ(MV中の落書きも紫色でロケットが描かれている)。「Unknown」MVでも愛の証明をしていた理人の背景にある数式やイラストは、ブラックホールやホワイトホールの構造に関するものだった。
今回「Me Against Myself」MVに登場した数式は主に宇宙の膨張に関するものの様子。もっとしっかり理解したいところなので、宇宙物理専攻のAntholicがいたら解説ください。ちゃんとノートとペン用意して聴きますから……! なおこちらの知識は主に高校物理です。

MV「I know, Who I am」

とりあえずこの曲、強い
考察は後日。

MV「Antholic」

HomeMiniLiveで先行公開されているので詳しく語る。なおリアルタイム時の感想記事はこちら。

このMV、基本的には各アルバムの立ち絵やMVをブロマイドとして配置することで上から下に時系列を作り、1巻から5巻までのドラマを追っている。
キャラクターの配置は特に気を遣っていたようで、キャラ同士の心理的な距離感が写真の位置で読み取れるようになっていた。
またキャラが開花したタイミングを表現したのか、6人の花がところどころ入り込む。それをまとめてみると以下。

理人:紫のリンドウ・フクロウ・錠剤
薫:青いワスレナグサ・アイスと果物・王冠と剣
凌駕:緑のクローバー・カメラのフィルム・懐中時計
チセ:黄色のスイセン・割れた手鏡・ベネチアンマスク
陽汰:オレンジのマリーゴールド・ヘッドフォン・チェスの駒(白のナイト)とダイス
眞紘:赤いアネモネ・料理道具・(少し離れているが)羽を広げた像

こうしてみると主に咲く花とその花言葉の由来(各キャラの項目にて喋る)、あとは趣味やMV登場のモチーフと一緒になっているのがわかる。

正直もう動画の見れなくなってしまった現時点(2020/06/14)ではこれ以上語りようがないのでこの項目は一旦ここで閉じる。が、またMVが公開されたら見直しつつ追記したい。
私はメモを取りそこなったので書かなかったが、写真以外にもキキョウやアマの花があったそうだ。これがLoulou*diメンバーの花ではないかと言われているが果たして。

凌駕

ネーミングについて思うところは特にない。影を凌駕する存在……なのだろう、か。あとは理人との対比?(後述、理人の項目)。

各人に与えられるテーマだが、凌駕は消去法で「Only lonely way.」――多少意訳するが「独りで行くしかない」、だろうか。
凌駕は随分と孤独な人だ。そもそも嘘を吐いていることは確定。1巻「Birth」ジャケットや各種PVでも凌駕は3時17分の時計を手にしていたり、映像で示唆されている。3巻「IDOLls」ドラマトラックを信じるならば「眞紘には」嘘を吐いていないようだが、それもどこまで本当なのかはわからない。
さらに4巻の内容からAnthosには最初から仲間として接しておらず、気の良い兄貴分を演じていたことが分かっている。ただそれも絆されてしまって今はそういった心情の変化に自分自身も困っているようだったが。

以上を踏まえて、ポスターポエムの考察に入る。

守りたいから、また嘘をつく。

1巻告知ポスターのフレーズ。ブックレットのvol.3で確認できる。
また、これには5巻告知ポスターでアンサーが出ている。凌駕は眞紘とセットになっていて合わせて引用すると以下。

凌駕:嘘(それ)は彼らを引き離し
眞紘:真実(それ)は彼らを繋ぎ合わせた

「守りたいから」の解釈が難しい。本当に難しい。一体何を守りたいのだろう。これは眞紘の1巻告知ポスター「その先にある夢は、/     誰のため、何のため」にも対応する言葉だ。誰のために、何のために、凌駕は何を守ろうと嘘を吐いたのだろう。
可能性として挙げられるものは「Anthos」、「自分(の誓いとそれにまつわる秘密)」、そして「オッドアイを褒めた友人」、あとは「眞紘」。
最初は「自分の秘密」を守りたいのだと考えていた。が、うーん……「嘘は彼らを引き離し」というフレーズと、ここまでで得られた考察「出会わなければ幸せだった」を踏まえると、もしかして凌駕は「他者の幸福」を守り願うために嘘を吐いていたんじゃないかとすら思えてくる。嘘を吐いて、人を遠ざけ、自分を他者から引き離して。それで「これからの長い長い孤独」も甘受して「君の幸せ願うと」嘘を吐き続ける。凌駕それは地獄の道だぞ。
そうなるとただ一人凌駕が嘘を吐いていないという人物「眞紘」は、真実で以て繋ぎ合わされてしまったと考えるべきか。そもそも「ChangeYourWorld」MVでは嘘を示していた時計が未来へ進み始めていた。凌駕はもう嘘を吐いていないとするなら、凌駕はもう誰のことも遠ざけるつもりがないのか。誰のことも守るつもりがない……? いや……やっぱりここまでの考察がすべて間違いだろうか。
本当に解釈が難しい。また5巻確認後に編集出来そうならそうすることにして、一旦この考察は閉じる。

あの日からずっと離れない。
呆れたように笑う懐かしい声。
秘められた優しい思い出に
蓋をして、
彼は偽りの「夢」を愛するふりをした。
6.18.9.5.14.4

こちらのポエムは池袋ジャックポスターで、ブックレットvol.3にて確認できる。凌駕のバースデーケーキは側面は緑だがトップを飾るのはブルーベリー。薫(青)のケーキにも同じブルーベリーがあるが……陽汰のケーキにもブルーベリーは使用されているので解釈が難しい。一応花言葉は「実りある人生」「知性」。

「6.18.9.5.14.4」は「FRIEND」。アルファベットにABC順で番号を振る(Aは1、Bは2、Cは3……といった具合)と、単語が浮かび上がる。
凌駕に「友達」と聞いて、やはり真っ先に浮かぶのはオッドアイを褒めたという友人だろう。「呆れたように笑う懐かしい声」とはその友人の声だろうか。「あの日」とはなんだろうか。凌駕にとってその友人との思い出は、秘められた優しい思い出。――彼の秘密、BOXの中身は、友人との思い出。
まだ凌駕の過去について詳しく明かされていないのでなんとも言い難いがひとまずはこう予測できるだろう。
そして彼にとって「偽りの『夢』」とは「偽りの友」であり、Anthosなのだろう。実際に4巻ではそういうふうに演じていたと理人に言い当てられていた。その是非については今は何も言えない。

開花の理由はおそらく「開花促進剤を飲んだため」に加えて「自分の立てた誓いについて思い出したため」。タイミングとしてはチセと喧嘩した理人と部屋で会話しているところだった。理人が自虐的に自分の理由を笑い始めたのを、お前自身がそれを笑うなと言った調子で叱りつけていたのだ。まるで自分に言い聞かせるように。

「Unknown」で示された花はCLOVER。解読法はMV「Unknown」の項目で説明している。これは凌駕の右腕に咲いた花と同じ。

これは凌駕の誕生花であり花言葉は「私を思って」「幸運」「約束」「復讐」。凌駕の挙動を見ていて気になるのは「約束」と「復讐」あたりか?
ルルディの関係者であり、またそこで信じるに値する「友」と交わした「約束」から天霧プロダクションへの「復讐」のためプロジェクトに乗り込んだ……と考えられなくもない。
以上は日本語圏での花言葉で、西洋では主にClover (White Clover)の花言葉として「think of me(私を思って)」「promise(約束)」が知られているようだ。日本語の花言葉と一致するので特にこの2つの意味合いは重いんじゃないかな、と考えているが「私を思って」ってなんだ……? 凌駕の「誓い」つまり約束の中身が「私を思って」に関わることなのだろうか。凌駕ほんとわかんねえ男だな……

そして「Unknown」MVはそれぞれ花言葉の由来となるシーンが映像化しているようなのだが、凌駕はいまひとつピンと来ない。映写機がまわる何もない部屋、かじられた林檎が落ちる様。
一応「約束」という花言葉は聖パトリックに由来するようだ。彼はアイルランドにキリスト教を伝えるため、三つ葉を手に三位一体(神、イエス、聖霊のみっつはすべて同じ神という存在が違う姿で現れたもの)を説明した。また、アイルランドで彼が蛇を発見した際、彼は蛇に「明日になったら出してやる」と約束を取り付け箱に閉じ込め、箱ごと湖に投げ捨てたとも伝わる。そのためアイルランドには蛇がいないそうだ。
これを考えれば「キリスト教」「蛇」から「かじられた林檎」にはすぐに辿り着ける(楽園追放の原因となった知恵の実)のだが、映写機や何もない部屋についてはわからないままだ。何かを演じているという暗示……か?
なおこの「かじられた林檎」、二方向からかじられている。イヴが食べ、アダムも食べたという表現としか思えない。完全に楽園追放の知恵の実だ。それが凌駕のパートで流されるのであれば、凌駕の他にもう一人楽園を追放された人間がいる。
あとどうしても言いたいことがあるので追記しておくと、上述の聖パトリック、キリスト教圏ではその命日を「聖パトリックの祝日」として祝う風習にあるらしい。みな胸にクローバーの葉を差したり、緑の服を着たりしてパレードを行う。その日付は3月17日。この華Doll*というプロジェクトにおいては嘘の日と言えるだろう。えっねえ公式マジでどこからどこまでが計算でどこからどこまでが偶然なんですか……? ねえ……ねえってば……

ところで私はとあるCV濱野大輝のキャラクター(と、彼と親しいキャラクターたち)に人生を狂わされている。あのキャラクターに出会わなければ、私は、私は……CV濱野大輝はあかん……あかんねや……! 濱野大輝の演技が……声の質もあるが、とにかく妙な凄みがあっていけない。助けてくれ。濱野大輝でこれ以上狂いたくない。もう凌駕さんが喋るたびに「また人生が狂う」「いやだこれ以上こいつのことを好きになりたくない」「助けてくれ」で頭がいっぱいになる。助けてくれ。
とか言ってたら濱野大輝のいなかったジャンルに突如としてCV濱野大輝が登場し、あまりにも情緒が狂った。CV濱野大輝が登場してからの狂いっぷりに自分でも引き、とりあえず落ち着くためにボイスありきのソシャゲなのにミュートでプレイする有様だった。私はどうやら結構本気で濱野大輝が好きらしい。助けて。

理人

名前めっちゃ明るいのになんやこの寒色系クールツンデレ」が初見の感想だった。正直今もあんまり感想変わってないです。えへ。
理人、リヒトと言えばドイツ語でLicht、英語ではLightだ。ローマ字表記も「Rihito」ではなく「Lihito」だから、ネーミング考察として間違ってはいないだろう。光の名前だ。「灯」堂「理人」。なのに紫でツンデレ(ツン多め)。なんやねんこいつ。……好き。
でもきっと、シンメのチセにとって理人は、理人の声は、名前の通り灯であり光であったのだろうと思う。その視界を照らす光だ。

そしてネーミングとしては「リヒト」と「影」河、が対になっている。光と影。これ以上ないくらいわかりやすい対っぷり。
しかし理人と凌駕はシンメというわけではない。減色法に則った色相環上ならば紫と緑は補色関係にあるが、Anthosのシンメは混色法上の補色で、理人(紫)のシンメはチセ(黄色)だ。
この点は今のところ不思議で仕方ないのだが、公式が「シンメ以外のキャラクターにもなんらかの繋がりを」と意図した結果ならばそういうものかと納得してしまえる。同室組はシンメに次ぐ絆がある、と思っていいのかもしれない。

テーマフレーズは不明だがおそらく「Love me, please」。どうか愛して。

勇気がないなら、この線は超えないで。
チセ:愛とは互いに線を引くもの
理人:愛とは互いを救うもの

それぞれ1巻告知ポスターと5巻告知ポスターだ。対になるチセの1巻告知ポスターは「救えていたら。愛せていたら。」こうしてみると5巻ポスターはそれぞれの認識がひっくり返ったのかと思ってしまう。

「線」のことについてはチセの項目で喋るが、理人はやはり愛によって救われたのだろう。
これまでこのプロジェクトでは何度となく愛について言及されてきた。理人自身初期は愛について「愛は人を愚かにする」と語っている。

そしてこの認識は理人に線を引かせたのだろう。
しかし「ChangeYourWorld」によれば「愛とは決して後悔しないこと」。映画「バタフライ・エフェクト」によれば「出会わない人生を選ぶこと」。理人は愛の認識をどこかのタイミングで改めている。そうして決して後悔しないことを、不幸な人生を根本から変えることを、「救い」と定義した。

愛とは互いを救うもの。救いとは、出会わない人生を選ぶこと。であれば、「ChangeYourWorld」のラスト「So, Love was fake.」を真に受けて彼らはまだ救われていないと思ってしまってもいいのだろうか。それともやはり「離れて生き」ているのだろうか。
どちらにせよ、彼らはいつだって求めている。それが真に「愛」だと言うなら、求めることこそ愛であったら、と願うのをやめられない。

その人は泣いていた。
許しを請う目をしていた。
幼い頃に与えられなかったもの。
馬鹿げた発想と笑いながら、
「夢」の中なら
叶うかもしれないと思った。
12.15.22.5

以上は池袋ジャックポスター引用。ケーキは紫のクリームで飾られていて、何かの果物らしきものも見えるが種類までは判別できない。

「12.15.22.5」は「LOVE」。ポスターポエムにおいて「夢」に代入できるのがこの暗号部分の単語だろうと思っているが、理人と眞紘だけはそのまま代入することに抵抗がある。理人の場合、「幼い頃に与えられなかったもの=『夢』の中で叶うかもしれないもの」は確定として、それが愛の可能性が高いからだ。
このポエムで具体性に欠け、LOVEである可能性が高いものは「幼い頃に与えられなかったもの(=『夢』の中で叶うかもしれないもの)」と「『夢』」のふたつ。それならば前者を愛とした方がすっきりする。よくわからない後者は、やはり「Anthos」なのかもしれない。
そして「その人」がまったくの不明だ。一応灯堂彼方という父親の存在が明かされたのでそちらが濃厚になってくるが……正直もっと他の可能性も否めない。理人がチセの兄だった(理人は本来祥來家の子供だったが灯堂家に買われた)なら祥來家の両親とも取れる。

開花理由は今のところはっきりとはわからない。倒れる前の会話が特に描写されていないのだ。一応その場に凌駕、チセ、陽汰がいるのでもっとも理人と衝突しやすかったチセと何かがあったのかとは思うが。

「Unknown」MVで示された花はGENTIAN。リンドウだ。やはり理人の背中に咲いた花と一致し、また彼の誕生花になる。関係ないことかもしれないが、リンドウは凌駕の誕生花でもあった。
花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」「正義」「誠実」。英語だと「I love you best when you are sad(悲しんでいるあなたを最も愛する)」「loveliness(愛らしさ)」「intrinsic worth(本質的な価値)」。後述するが、リンドウにまつわる逸話は日本のものなのでそれにならって花言葉も日本語の方を気にするべきかと考えている。どちらにせよ、理人のテーマが愛であるなら「悲しんでいるあなたを愛する」を気にするべきだろうし、これは日本語英語に共通する。
そして理人は「愛する」側なのか「悲しんでいるあなた」当人なのかどちらだろう。
……ところで、ミュンヒハウゼン症候群という言葉がある。理人がそうだというわけではないが「悲しんでいるあなたを愛する」という言葉で真っ先に思いつくのはこれだ。愛されるために、かわいそうな存在に自らの身を堕とす。そうでないと愛されないと、無意識的に、脅迫的に、考えてしまう。そういう病だ。

また理人は医師の父を持ち、ドイツ語の名前を持つ(医療にまつわる単語はドイツ語が多い)ことからかなり医療と密接しているキャラクターなのだが、理人と医療関係の繋がりはリンドウそのものの効能、またこれにまつわる逸話からも判断できる。
日本の故事になるのだが、役小角という人が、ウサギが雪の中からリンドウを掘り出して舐めているのを見つけ、不思議に思って尋ねてみると「主人が病気なのでこの草を持っていくのだ」と答えをもらう。彼もまた試しにその草の根を病人に飲ませてみると優れた効き目があるとわかった、という話だ。
古くからリンドウの根は生薬や漢方として使われていたようだ。以上のことから各所で登場する理人と薬の組み合わせにも納得できる。また「Unknown」MVの理人のシーン(うさぎの置物、なんらかの実験室?)の考察もひとまずは可能だ。うさぎとは薬を示してくれたもの、実験室は薬の調合をしている場所。

となるとわからなくなってくるのがそこに入ってくる宇宙物理(ブラックホールとホワイトホール)を示す数式とイラスト、「What is LOVE?」の文字だ。愛の証明をしたいのだろう、とは考えられるが……そこに宇宙を絡ませてくる意味とは。

いやしかし、伊東健人ありがとう。私は伊東健人目当てにキャラも知らないまま「Juliet」MVを見たのがAnthosとの出会いになるのだが、理人だけは一発で「うわっこの顔が伊東健人だ。私にはわかる」と思ったことを覚えている。確認してみて本当に伊東健人で笑った。伊東健人なんで髪ボサ系高身長眼鏡キャラが多いの……?

チセ

「祥來千勢」というネーミングに思い当たるものがまったくなくて困る。ただし上述の天霧プロダクションロゴの話でも出てきたように、チヒロを挟んでマヒロと繋がっている可能性は否定しきれない。
祥來家でチヒロが生まれ「チ」を引き継ぐ形で次男は「チトセ」と名付けられたがすぐにチヒロは天霧家に買い取られてしまう。そして天霧家でも次男が誕生し、チヒロになぞらえて「マヒロ」と名付けられた。となるとチヒロの字は「千紘」だろうか。
また下の名前からあだ名をつけていたチセが名字からとったユッキー呼びを貫いたのも何かの伏線である気がする、と繰り返し記しておく。

なお、チセの兄について、目の色を根拠に理人だとする向きもわからなくはない(むしろ大変美味しい)が、やはりチヒロ説推しだ。チトセとチヒロというネーミングがあからさますぎて根拠として十分だと感じてしまう。

テーマフレーズは不明。明かされた過去をもとに考えるならば「Call my name.」か「Who ask? Who are you?」あたりだが後者は眞紘の可能性が高いと踏んでいるので消去法でCall my nameか。――3巻、褒めてとねだられたときに「チトセ」とわざわざ本名呼びした理人が脳裏をちらつく。

1巻告知ポスターと5巻告知ポスターのフレーズは以下。

救えていたら。愛せていたら。
チセ:愛とは互いに線を引くもの
理人:愛とは互いを救うもの

対になる理人の1巻告知ポスターは「勇気がないなら、この線は超えないで。」であり、愛の解釈については理人の項目で喋っている。「救えていたら。愛せていたら。」の対象もチセ自身(特に「チトセ」)のことだったとして、この先では「線」の解釈について触れていきたい。

線、とは何なのかいまひとつわかっていない。理人の「この線は超えないで」の「線」は普通に交友関係において「一線を引く」などと表現される「線」だとして、チセが使う「線」は本当に同じものなのかどうかも。
チセはそもそも自己愛の人だ。「チセ」という自分を愛することが出来て、「チトセ」という自分を愛することは出来なかった。そういうテーマを背負っている。そのチセが「愛とは互いに線を引くもの」と定義したのならば、その「線」は「愛する自分」と「愛される自分」の間に存在するのでは、と思えてくる。つまり「チセ」と「チトセ」の間に線引きをしたのだ。そうすることで、チセは本当の意味で「チセ」になり、「チトセ」を過去の傷ではなく愛すべき存在として客観視できるようになった。これまで生きてきた傷つきみにくい子供として仮面の下に押し込めるのではなく、きちんと向き合い、肯定することができた。
そうなるとチセは自他境界さえもあいまいだったのだろうな、と思う。
自他境界とは「自分と他人は別の生き物」という認識のことなのだが、これがあいまいだと「自分のことを他人がすべてわかっている」と無意識に考えて傲慢なふるまいをしたり、他者の感情が自分の方に流れ込んできてしまって自分が悪くもないのに焦りや怒りを覚えてしまう。小さな子供が母親の機嫌に影響される、あの感じだ。子供はえてして一番近くにいる大人と自分を重ねて考えてしまう。
チセの話に戻るが、チセはそのシナスタジアのこともあって、非常に他者に感応しやすい。特に不安や焦りと言った感情には強く引きずられている。自他の境界線がはっきりしているとは、正直4巻のドラマを聴いたあとでも思いにくい。
そんなチセが理人と対峙したとき、その前には線があったはずだ。勇気のない人には超えられない線。チセの世界には存在しなかった、線。チセはそれを「愛」として理解したのかもしれない。真に自分を愛する過程で「チセ」と「チトセ」の間に線引きをしたように、チセと理人の間に存在する線を愛するために必要なものだと理解したのかもしれない。だからこそチセは理人と向き合い、理人を肯定し、真の意味で愛した。

自分と他者は違う。だからこそ向き合うことが出来る。理解はしきれなくとも、求めることは出来る。チセがしたことはそういう行動で、理人はそんなチセの愛で救われたのだと思いたい。

一番信じたいもの。
一番愛したいもの。
その感情は時に正反対のものとなる。
ある日から彼は彼であることが怖くなった。
そして彼は自分ではない「夢」を
追うようになった。
13.25.19.5.12.6

上の引用は池袋ジャックポスターのもの。ケーキについては理人と同じく何かがトッピングされてはいるがなんなのかわかりづらい。そもそもケーキの種類も想像もつかない。えっなにこれ、チョコケーキ? チーズケーキ? タルトではないよね。それしかわからん。

「13.25.19.5.12.6」は「MYSELF」。「チトセ」ではなく「チセ」でありたいと願った彼そのもの、なのだろう。そういう意味では「Me Against Myself」という曲名、まさにチセだなあと思ったりもする。

開花理由は「他者からの目に晒されたため」――とまとめてしまうのは乱暴だろうか。アルバムのリリースイベントに出て、記者会見があって。「天霧眞紘」の存在を突き付けられ、チセはアイドルになっても「チセ」であっても「他者からのレッテル」から逃れられないとその身で悟ったのだろう。これはチセが開花した3巻「IDOLls」のコンセプトでもあって、見た目と中身の齟齬というか、表現したかった自分をそのまま他者が正しく受け取るとは限らないのだ。
そういったことを身を以て経験して、チセは不安で爆発してしまったのではないか。そしてその感情の昂ぶりが開花を推し進めた。
……と考えてはいるが、現時点(4巻まで)でチセについて一番理解を深めているであろう理人がチセの開花理由について「言いたくない」と言ってしまったため、私もこれ以上は黙ることにする。結構喋ったけどな。
それにしてもチセ、あの場で何を悟ったんだろう。

「Unknown」で示された花はNARUCISSUS、スイセンだ。やはりチセの腹に咲いた花と合致し、誕生花となる。花言葉は水仙(スイセン)全般の花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」「報われぬ恋」。黄色限定で「もう一度愛してほしい」「私のもとへ帰って」。英語圏だと「self-love(自己愛)」「egotism(自己中心癖)」「unrequited love(片思い)」

スイセンの逸話で有名なのはやはりナルキッソスだろう。彼は麗しい美少年であったが様々な要因が重なって女神に呪いをかけられてしまう。この呪いによってナルキッソスは水鏡に映った自分に恋をしてしまって、その場から離れられず憔悴して死んでしまう。
この逸話を以てチセのモチーフとして手鏡が多く登場するのも頷ける。鏡は真実を映すもの、ならばチセの中の「チトセ」の姿を映したものだろう。また手鏡や「Unknown」MVでチセの部屋の壁が割れているのは「チトセ」をチセ自身が強く否定してる表れだと受け取ることにする。

チセちゃんのこと考えるとほんと嫌な可能性ばっか行き着くからしんどい。あんなかわいい顔と声しといてな! ちゃんと駒田航の声してるのに、ちゃんと駒田航なのに、私の「CV駒田航というジャンル」に微塵も一致しなくてずっと脳がバグってた。なんなんだこのCV駒田航……駒田航の声がするのにかわいいぞ……チセちゃんの言葉に常に黄色のハートマーク見える感じ本当に好きです。

ネーミングに関して、ピンと来ているものは特にない。陽汰との対で「月」が入っているのだろうな、と思うくらい(後述、陽汰の項目にて)。

テーマフレーズは不明。上述の通り、病弱であるため「Save, Alive」が有力だなと感じる程度。

1巻5巻告知ポスターは以下。

信じていれば、偽りも真実になると思っていた。
陽汰:同じ方を向かなくても
薫:同じ場所にたどり着けるように

対になる陽汰のフレーズは「同じ方向を向く。/もう置いていかれないように。」なので5巻告知ポスターは陽汰のフレーズへのアンサーなのかと思えてしまう。薫の「信じていれば」とか「偽り」「真実」とはなんなのかが全くわからない。
薫の過去を思えば病弱だったことに関わるのか。薫は何を信じたんだ……本当に何もわからないので、これ以上話すことはやめておく。

下は池袋ジャックポスター。

その種は奇跡をも起こす。
その日目覚めた彼は
生まれ変わったような気分だった。
そして広がる世界の美しさに、
嫌な「夢」はもう終わったのだと安堵した。
13.5.13.15.18.25

共に掲載されたケーキはブルーベリーと何かもう一つ……ブラックベリーか? ブルーベリーの花言葉は「実りある人生」「知性」で、ブラックベリーは「素朴な愛」「孤独」「人を思いやる心」「嫉妬心」「あなたと共に」。孤独と嫉妬心がなんとなく怖いが、それ以外はまさに薫、と言った感じ。

開花理由は理人も言っていた通り「気持ちの変化がプラスに働いたため」。Anthos内での交流のこともあって、病院にいたときの孤独が消え、目標も出来た。もともとの適性の高さもあってそれが開花に繋がったのだろう。

「13.5.13.15.18.25」は「MEMORY」。直訳にして、記憶。思い出。薫にとって「夢」という「記憶」は悪夢で、生き地獄で、ひたすらベッドで眠り続ける日々だったのかもしれない。

それにしても、このポエムいわく薫を病から救ったのはプロジェクトの「種」らしい。となるとオーディション前に種を植える手術をしたのか……? 合格してから種を植えるんじゃなくて? チセもオーディション時点で自信ありげだったしマジでそうなのかな。となるとアイドルになれなかっただけで種を植えこまれた人間は他にもいる……?(要検証ポイントになってしまった……)
またこれも可能性の域を出ないが、薫は種を2回植えられているかもしれない。1回目は病院で。花は咲かず、ただ薫の病弱を治しただけ。2回目はAnthosとして。今度の花は咲き、薫の体にワスレナグサをもたらした。などと考えられるので一応覚えておきたい。

「Unknown」で示された花はFORGOTMENOT、ワスレナグサ。やはり薫の胸に咲いた花と一致し、誕生花でもある。花言葉は「真実の愛」「私を忘れないで」。英語圏だと「true love(真実の愛)」「memories(思い出)」。「思い出」は彼が「夢」と定義したものだ。共通するのは「真実の愛」だが愛は理人のテーマだしなあ……などと考えてしまう。やはり「思い出」を気にするのが正しいか?

この花言葉、ひいては花名の由来は中世ドイツの騎士によるようだ。ドナウ川のほとりをひとりの騎士が恋人と歩いていたとき青い花を見つけたのだが、その花を摘もうとして誤って川の流れに飲まれてしまう。彼は最後に摘んだ花を恋人に投げ渡し「私を忘れないで」と叫んでそのまま死んでしまった。

「Unknown」MV、最初見たときは「人魚姫やん」と思った。本当にそう思った。そう思う根拠をここに長々書いた。
けれど今ワスレナグサの由来を改めて理解するともうこの逸話の表現にしか見えない。川を泳ぐ魚、騎士の象徴でもある剣、そして流れに飲まれて消える薫。
この「剣」、薫のモチーフとして長く使われているようで、「Antholic」MVにも登場する。

で、逸話の表現として「Unknown」MVが納得できたのは良いとして、まだ納得できないことがある。MV内で薫が消えるのはダイスが振られた「後」であることだ。賽が投げられた後になってから、もう引き返せないところまで来てしまってから、Anthosになってから、薫は消滅する。そういう未来が暗示されている。でも薫が「Unknown」で歌うの「希望のある未来を」って歌詞なんだよなあ。地獄かな。

正直な感想を言うと、薫くんの病弱エピソード聞いた瞬間「CV土岐隼一やもんな……」って思った。理人さんと組んで美声チームって呼ばれてるの見たときも「CV伊東健人とCV土岐隼一やもんな……」って思った。華Doll*プロジェクト、声優の使い方が上手すぎるよ……!

眞紘

眞紘のネーミングについてはよくわからなかったのだがとりあえずチセの項目で示した通りだ。正解にしろミスリードにしろチヒロを挟んだネーミングであることは間違いないだろう。

テーマフレーズは3巻「IDOLls」ドラマトラック、同時収録曲「S.T.O.P」から「Who ask? Who are you?」だろう。「誰が尋ねる? お前は誰だ?」――眞紘は常に自分を偽っている。名前を偽っている。そこを指摘されることを、恐れている。そういうテーマを示すフレーズになるのだろう。

1巻5巻告知ポスターは以下。

その先にある夢は、
     誰のため、何のため

対の凌駕は「守りたいから、また嘘をつく。」

凌駕:嘘(それ)は彼らを引き離し
眞紘:真実(それ)は彼らを繋ぎ合わせた

正直凌駕の項目で喋りつくした感がある。凌駕の項目見てください。
そもそも、眞紘にとっての「その先にある夢」が何なのかさえまだわかっていない現状だ。何も言わないでいた方が良いだろう。
一応1巻告知ポスターの方はAnthos6人分のポエムで唯一「改行後に半角5文字分くらいの字下げがある」「句点が使われていない」の2点が気にかかる。つまりこのポエム、不完全である可能性が高い。字下げ分文字が入り、後ろに続く言葉もある。

その日告げられた悲劇が、
彼をその世界へ突き堕とした。
当たり前の日々というものは
いつも簡単に壊れていく。
彼は願わくばこの現実が
「夢」であってほしいと、何度も思った。
6.1.13.9.12.25

上は池袋ジャックポスター。併せて掲載されたケーキはオーソドックスなイチゴのケーキ。イチゴの花言葉は「尊重と愛情」「幸福な家庭」「先見の明」「あなたは私を喜ばせる」。おっと……「幸福な家庭」……へえ……そう……なおこれは日本語圏のもので、英語圏では「esteem and love(尊重と愛情)」「perfect goodness(完全なる善)」。完全なる善。へえ……そう……

「6.1.13.9.12.25」は「FAMILY」。理人の項目でも書いたが、おそらく「夢」に暗号部分の単語を代入できるのこのポエムにおいて理人と眞紘だけはそのままの代入に違和感がある。理人のときは「夢」の示すものがはっきりとはわからないままだったが眞紘の場合「夢」はそのまま夢だろう。
では「FAMILY」はどこに代入すべきか。それもわからない。
さすが華Doll*プロジェクト主人公、Anthosのセンター……と言ってしまっていいのだろうか。眞紘はUnknownな存在と結論付けるしかなくなってくる。
「その日告げられた悲劇」は1巻冒頭のシーンだとひとまず解釈できる。

「Unknown」で示された花はなし。やはり彼こそがUnknown、未知なのである。しかし誕生花であること、また各人の花が担当カラーと一致していること、もっと言えば「Antholic」MVから赤いアネモネで確定。また、花の咲く位置は1巻「Birth」時の衣装からして首かと思っていたが、4巻「Message」時の衣装を思うと位置が変わった可能性は否定しきれない。あまり考え込まないではおく。
本当にアネモネならば花言葉は「はかない恋」「恋の苦しみ」「見捨てられた」「見放された」、赤限定で「君を愛す」。見捨てられた、見放された、しかしそれでも君を愛す……健気なメッセージに思えるが、果たして。英語圏の花言葉はアネモネ全般的に「anticipation(期待)」「forsaken(見捨てられた)」。期待からの見限り。英語の方が闇が深い。キツイ。

アネモネの花言葉の由来で有名なものはふたつあるが、どうやら片方だけしか引用していないようなのでそちらを記す。
女神アフロディーテはあるとき誤って息子エロス(キューピッド)の射た矢を受けてしまう。その矢の影響で彼女は美少年アドニスに恋をしたが、しかしアドニスはその後イノシシを倒そうとして逆に死んでしまった。そのときアフロディーテが零した悲しみの涙がアネモネになったとか、アフロディーテが死んだアドニスの血からアネモネを咲かせたとか言われるようだ。
以上から「Unknown」MVの矢はキューピッドの矢だとわかる。あとは5巻告知ツイート(MV「Me Against Myself」の項目で引用した)の「矢で射られた」もここから来ているのだろう。白い羽が舞っているのはキューピッドの羽……だろうか……?

そういえばアネモネはあれ、「花」ではないらしい。いわゆるあじさいと一緒で、がくの部分が花のように見えている(と理解しているだけなので、植物に詳しい方間違ってたらご指摘ください)。凌駕も花ではなく葉が花として扱われているし、本当にこのシンメは……なんというか……難儀だな……

で、ここまで考察してまだ「Juliet」MVの「sleep」の文字が解釈できない。眠って見るもの、夢が眞紘の秘密なのだろうか。

伊東健人目当てに飛び込んだ華Doll*、しかしながら沼入りの決め手は山下誠一郎だった。主人公・センターポジションのCV山下誠一郎とかもうそんなん解釈一致ですわー! あと歌がうめえ。「Unknown」の1番サビ終わりのフェイク、何……? 嘘……山下誠一郎……好き……

陽汰

清瀬陽汰。名前を見て思う。さんずいが、多い。
おそらくだが「陽汰」は「太陽」だ。太陽→陽太→陽汰。これを以て如「月」薫とは「太陽と月」の関係性だと思うわけだが、しかし。
太陽という最も水から遠い存在にさんずいを与える必要があったのだろうか。

所詮憶測の域を出ないが、如月薫という「月」に影響される存在として「潮の満ち引き」を表現したかったのか? とは考えられる。
陽汰は間違いなく太陽なのだが名字を見ているとどうしても海のイメージがぬぐえない。うーん……海、太陽、とくると、夕焼け? 「Me Against Myself」MVでは綺麗なオレンジ色の夕焼けのシーンも登場した。

テーマフレーズは現時点(2020/01/07)で唯一確定していて「Don't leave me alone.」、ひとりにしないで。「Unknown」MV内で確認できる。

1巻5巻告知ポスターはこちら。

同じ方向を向く。
もう置いていかれないように。

対の薫は「信じていれば、偽りも真実になると思っていた。」

陽汰:同じ方を向かなくても
薫:同じ場所にたどり着けるように

もうあまりに、あまりにいじらしい。陽汰好きだな、としみじみ思う。

陽汰の置いていかれる不安、要らない子なのではないかという不安は「Don't leave me alone.」という一言に詰まっているが、それは1巻告知ポスターでも顕著だ。きっと自分の意思でなくとも「同じ方向」を向こうとしてきたのだろう。
けれどそれはひっくり返る。薫に信じてもらって、Anthosに愛されて。Anthosの一員でいたいと強く願って。置いていかれる(開花が間に合わない)という恐怖をも超えて、「今」Anthosであれる自分を肯定したとき陽汰は花開いた。
そういう意識の変化を表したのが「同じ方を向かなくても」という言葉になったのかな、と思う。

池袋ジャックポスターはこちら。

彼の手には何もなかった。
ほしいものはいつだって
誰かのものだった。
それは失う恐怖ではなく、憧れへの焦燥。
願った「夢」の代わりに、
彼はその世界の犠牲になった。
8.15.13.5

ケーキの果物はブルーベリー、イチジク、だけかな。花言葉はブルーベリーが「実りある人生」「知性」、イチジクが「豊富」「裕福」「平安」「飽和」「子宝に恵まれる」「多産」「実りある恋」。陽汰の両親は子に恵まれすぎて陽汰を捨てざるをえなかった、のだろうか。

ここで「8.15.13.5」は「HOME」。陽汰のテーマはHOME、家とか、帰る場所のことだ。
ひとりにしないで。同じ場所に帰ってきて。
陽汰の「夢」はあまりに痛ましいように私は思う。
そして「彼はその世界の犠牲になった」という不穏な一文が気になる。このポスターポエムは全体的に意味が汲み取りにくくはなっているが陽汰の文が最もわかりづらい。「その世界」とは、なんだ? Anthosという小さなグループのことか? 天霧プロダクションのことか? アイドル業界の意味か? それとももっと大きく、私たちが生きている地球のことか? また「犠牲」とは? 陽汰はどうなる。陽汰は何の犠牲になって、どうなる。
陽汰の「夢」は帰る場所のことだ。そして孤独を恐れている。もっと具体的に言えば、自分に寄り添い、離れない存在と共にいられる場所を望んだのだろう。ではそれを手に入れる代わりに、自分を「その世界」に差し出したのか?
Anthosという仲間を手に入れるために、陽汰は華Doll*プロジェクトに自分を捧げた。こう考えるのが最も単純で、正解に近いのだろうか。陽汰はこの医療プロジェクトの被検体で「ドール」という犠牲だ。

開花理由は上述の通り「孤独への恐怖を乗り越え、今の自分と向き合えた肯定感」かなと思う。Anthosの清瀬陽汰としてあの場所で歌って踊って。そのとき陽汰の胸に恐怖はなかったのだと思いたい。

「Unknown」で示された花はMARIGOLD、マリーゴールド。やはり誕生花になっている。咲く場所は左腕だった。
花言葉は「嫉妬」「絶望」「悲しみ」、オレンジ限定で「予言」。英語圏では「jealousy(嫉妬)」「despair(絶望)」「grief(悲嘆)」。孤児であることを踏まえれば「絶望」や「悲しみ」はこれまでの陽汰自身を示すにふさわしい言葉だ。「予言」の方がどう絡んでくるのか気になるので、陽汰の発言を今度漁ってみようかと思う。

なおマリーゴールドにまつわる逸話には太陽神アポロンが絡んでいる。アポロンに恋い焦がれた者が悲劇の末に死んでしまうという話ばかりだ。花言葉もその悲劇にのっとって悲しいものばかりになっている。
これを踏まえれば「Unknown」MVで陽汰のシーンで最初に示された太陽のモチーフはやはり太陽神のことだと思える。太陽なのに水の名前を背負っているのはもしかして彼に恋した水の精霊クリュティエのことも意識してのことかもしれない。

陽汰くん。「いや17歳でダンスが得意な元気っ子、他のメンバーは『兄』呼び、このプロジェクトやから絶対闇持ち、それがCV増田俊樹て”わかり”すぎやろ」というのが素直な感想。ほぼそのままを増田俊樹のオタクに伝えたら激しくうなずかれた。やんなあ! このキャラクターに増田俊樹はずるいよなあ! なあ!

あとがきにかえて

(ここから記事初公開時の2020/01/18のコメント)

4巻のコンセプトが発表されると聞いて慌てて現時点で私が考えていることを書き出した。ほとんど走り書きだ。

私がAnthosに触れたのは12月の13日。ちょうど「IDOLls」発売日だった。メンタルが限界で、とにかく何か救いが欲しかった。だからいつも通りYouTubeを開いて、そのときハマり初めでとにかく情報を欲していたこともあり「伊東健人」で検索した。そしたらJulietが出てきた。とりあえず聴いてみる。ああこれ前あんまりにもアイドルソングすぎてびっくりして閉じたやつだ、今度は完走しよ。そんなふうに半分懐疑的に完走して、理人が伊東健人であることを直感し、そのままSTOPを見に行った。ら、結構好きな感じの曲だった。コンテンツについて詳しく調べてみても、声優6人とも好きな人じゃん!としか思えない。悩んだ。悩んで、その日の夜は(メンタルがおかしいせいで)眠れなくて、そのままふらふらと公開されていた動画をすべて漁り、考察ブログを眺め、なるほど理人とチセがシンメらしい、と察して、なるほど、へえ、ふぅん、このかわいい声のCV駒田航が……CV伊東健人と絡むのか……へえ……と思うがままに通販で3枚購入していた。その日のTwitterをさかのぼってみたら朝の5時ごろに「まあCD以外で入手できる情報はだいたい手に入れたんじゃないかな」とか言い出してて困った。寝ろ。
そして翌日にはCDが届き(いろんなトラブルがあって確認したのは夜中の2時になった)、その日も低気圧がひどくて眠れず、頭痛薬をキメながらCDを聴き初見感想を書き、自分なりの考察をTwitterに書き散らしていた。そして気づいたらnoteを登録していた。

noteのこの記事を書き始めたのは12月17日。その後1ヶ月ほど触らずに放置して、冒頭に戻る。

自分なりの考察まとめなので疑問点はそのまま放置しているし、思い込みの部分も多いと思う。何よりハマって1ヶ月の人間が書いた即席ものだ。
でもこの1ヶ月、私なりにAnthosについて考えてきたし、新米Antholicなりの視点もあると信じているし、まあ他人の糧にならずとも私のメモにはなるのでこのまま公開する。

無題

字数(笑)

(ここまで記事初公開時の2020/01/18のコメント)
(ここから記事を大きく編集した2020/06/15のコメント)

4巻のコンセプトも出る前に書き始めたこの記事も今となっては4巻が出て、5巻目前である。当時の新鮮な視点での考察を読み返したり書き直したりそのままにしたりといった作業は案外楽しかった。文体がちょっと違ったのは困った。合わせるのは不可能なので下手にいじらなかったがいざ読んでみた人がちぐはぐな印象を抱かないかだけが不安だ。ごめんなさいこういう経緯なんです。

私がAnthosに触れて半年ほど経って、本当にいろんなことがあった。4巻が出て、公式でプレゼン企画があって、ありがたくも当選し、サイン色紙をいただいた。今も大切に飾っていて、顔を上げれば陽汰のタコ(?)と目が合う。かわいい。眞紘のハートも次に目が合う。かわいい。それにこのプレゼン企画をきっかけに華ドルメインのTwitterアカウントを作り、たくさんの方と繋がって、みんなで新規供給に声を上げた。5巻は延期されライブも中止になったがHomeMiniLiveが開催されて。濃密な半年だった。
今も半年前と変わらずAnthosがだいすきだ。そしてもっと、好きになりたい。いつだってAntholicとして、Anthosを応援していたい。
そんなことを考えている。

この考察メモは自分向けでありながら、履修者向けでもある。誰の助けにならなくてもとは今も思っているが、それでも同じAntholicだ、これを読む人の何かの助けになっていればこれ以上嬉しいことはない。ともにAnthosを応援する、考える葦としてまた一歩深くまでAnthosを知れますように。

無題

なお字数はここまで増えた。初稿からだいぶ削ったとこもあるのに……?

いいなと思ったら応援しよう!