根本的な才能とは、自分になにかができると信じることである


タイトルが長すぎますか?

これはビートルズのジョン・レノンが才能について語った有名な言葉である。
私はこの言葉が大好きで、とても大事にしている。

あんなに素晴らしい音楽を作った、天から才を受けたであろう彼が、才能は自分次第だと示してくれたからだ。

さらには、自分を信じることは、全ての人ができることも教えてくれた。
「どんな人だって成功できる」とジョンは言う。



(さあ、今から暗い昔話をしますから、ジョンの素敵な言葉を持ってブラウザを閉じてくださいね。
私は誰もいないものと思って、下に特級呪物を放ちます。)


私は本当に、ため息が出るほど、昔からなにをやらせてもだめな子だった。

幼稚園に入って、習い事を始めた頃くらいから、なんだか自分だけ様子がおかしいことに気づいた。

まず、みんなが普通に食べている幼稚園の給食を食べられなかった。
みんなはどうしてこんなに野菜の沢山入ったカレーを美味しく食べられるのだろう?そう思いながら配膳された皿を眺めていた。

初めての習い事として通ったピアノ教室では「ドレミファソラシド」のカタカナが書けなくて、聴き取りの時間に「ソ」を「そ」と書いて笑われた。
ひらがなの「そ」の方が書きにくいのに、と思った。

スイミングスクールに通ってみても、更衣室の窓から授業を眺めるだけして辞めた。
クロールよりも、みんなの輪に入る方がずっと難しかった。


そんな私だが、「早生まれだし、幼稚園の時は成長スピードも個々違うから」ということで親もなんとなくのらりくらりとやっていた。
だが小学校に上がると、みんなとの差はもっと酷くなった。

百マス計算が時間内に解けなかったり、九九が言えなかったりして何度も居残りした。
先生にも呆れられて、「お母さんに宿題を見てもらいなさい」と何度も言われた。
母は専業主婦だったし、私は公文さえ通わなかったが、しまじろうとはお友達だった。
チャレンジしてはいたが、できないだけだった。

頭も悪いし、要領も悪いし、性格も陰気。

私はどうしてみんなができることができないんだろう。
生まれて数年でこんなに挫折を味わう子供もそういないのではないか。
不思議で、恥ずかしくて、悲しくて、羨ましくて、惨めだった。

極め付けは、こんなに運動も勉強もなにもかもできないのに、容姿も悪いことだった。
おなかが弱かったので、いつもTシャツやトレーナーをインして着ていてダサかったし、頭も天然パーマでくるくるで、背が高く太っていた。

ああ、思い出すほどに最悪だ。もう二度とあの頃に戻りたくない。

親は認めないけど、自分は少し知能遅れがあるんじゃないか?そう思いながら幼少時代を過ごした。
みんなと同じようにできないことが多すぎて、いじめられた。

もしも、私がチーム分けで争奪戦になるくらいドッジボールで強かったらどうだっただろうか。
もしも、私が周りに勉強を教えてあげられるくらい賢かったらどうだっただろうか。
もしも、私の容姿が可愛かったら、なにもできなくても?
意味のない仮定ばかりが幼い私を襲った。

そのうち、涙が出た。
頑張ってこのできない自分と決別しなければ。

それから私は頑張った。

頑張ることのマイナス面は、みんなより睡眠時間が短くなってしまうことくらいだった。
できないから、なにをするにも時間がかかった。
(ちょっと余談ですが、成長期にあまりにも睡眠を削ると、おっぱいが育たないのかもしれません。皆まで言いませんが。)

だけど自分を信じて諦めなかったから、というか、睡眠もおっぱいも削っただけあって、私は色々とみんなと同じようにできるようになっていった。
そうすると、いじめられることもなくなった。没個性最高。

それからは今日まで、兎に角自分になにかができると信じて頑張る日々を過ごしている。

まあ、頑張ったからといって、みんなと同じになっただけで、なにかに成功したわけではない。
その後も大学受験に失敗したり、アルバイトで皿を割りまくってクビになったり、仕事で鬱になったり、色々あった。
どん底からの成功体験を綴る自慰行為でないことだけは、わかってほしい。

自分を信じることは本当に苦しく、難しいことだと思う。
時に弱気になり、塞ぎ込み、卑下することもある。

大人になってからも、自分を信じてあげられなくなった期間が何年かあった。
その時は「昔は幸運にも努力する才能があったようで頑張れたけど、もうダメになった。使い物にならない」と周りに愚痴をこぼしていた。

いつも自信に満ち溢れていなければならないのではない。そんなのは無理だ。
でも、時々でも、偶にでもいいから、自分を信じてあげる時間を作るといいと思う。

自分を信じれば、できなかったことができるようになる。
すると、いつの間にかそれが才能になる。
だめな私でも、きっといつか成功できる。

だってジョンがそう言ってるから、間違いないのだ。

※筆者は現在スーパー可愛くて聡明で快活な女性です。筆者の術式により、既にこの特級呪物は祓われています

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