七転び八起き

産後5日目。
少し小さく産まれたせいか哺乳中にすぐ体力が尽きてしまう我が子のため、努力と根性の搾乳を続けていて寝不足ではあったが、母子共に健康に退院日を迎えることができた。

真っ白のお洋服とおくるみに包まれて、天使のようにかわいいと思った。

退院に合わせて里から来てくれたおじいちゃんおばあちゃんが帰宅して、夫と二人、初めての親としての生活開始。
新生児室は常に26〜28度を保っていたので肌着でペットシーツにごろん状態だったが、そういうわけにもいかずどれくらい着せたらいいかとかそんなところから右往左往。

しかし、なんか…なんか…?
子も寒いかもしれないが、私がとても寒い。
ここは南極大陸かというくらい寒い(大袈裟)
身体がガタガタ震え始めて、過呼吸になり、熱を測ると38度。退院数時間後のことだった。
アドレナリンが切れて、疲れが出たのだろう。そう思って処方されたロキソプロフェンを飲んだ。
その後、ロキソプロフェンの効果が切れる6時間を目安に、毎度同じことが起きた。
熱のしんどさよりも、上がりきるまでの寒気からくる過呼吸を自分で解消することができず、とても怖かった。

そういえば産後4日の時にも悪寒のようなものがあり、産科のスタッフに一応報告したが、熱がなかったので特に気にしていなかったなとぼんやり思った。
分娩の時もそうだったけど、なんか読みが甘いんだよな…。

翌日夫はまだ育休に入れていなかったので、私がワンオペしてみたが、限界。
夫に連絡するとすぐ帰宅してくれて、私は夜間診療へ。
子は昼間はよく寝るのでまだ寝ていたが、夫に粉ミルクを買ってきてもらい(母乳育児予定だったので用意していなかった。退路を断つ追い込み具合に我ながら本気度を感じる)、家での初ミルク。

検査の結果、敗血症だった。血液に菌が入り込んでいるとのこと。
医師の説明をそのまま記載すると以下となる。

今回赤ちゃん→私の経路(?)でESBL菌に感染、そのため腎盂腎炎からの敗血症になり、ESBL菌は抗生剤が効きにくいため回復に時間がかかっている。
抗生剤で私のESBL菌は死ぬので、帰れば授乳可能だが、今は搾乳しても赤ちゃんに与えることはできない。
赤ちゃんは保菌者なので、退院してもお世話後はよく手洗いすること。

これを知らされたのは夜間診療からの緊急入院になった3日目のことで、搾乳はあげられると感染症内科から許可をもらった、と聞いていた私は母乳バッグにせっせと搾乳を続けていたところだった。
捨てる為に搾乳する?この栄養を子にあげられない?
気が狂うかと思った。

しかし、冷静になって考えると、子が免疫が落ちていた場合には、子が敗血症になっていた可能性もあるのか?と考えると恐ろしくなった。
敗血症は新生児や高齢者であれば血圧が下がり死亡する場合もある。
私でよかった。心から深く深くそう思った。

努力と根性で体力をカバーするタイプとして今まで生きてきて、そんな自分に誇りさえ感じていたが、今回ばかりは、体力のある遺伝子で持って生まれた人たちを羨ましい・疎ましいと本気で思った。
産まれるまで悪阻でも、長丁場の自然分娩でも、元気に新生児と過ごしているお母さんはたくさんいるだろう。
うらやましい。私も子に会いたい。

今、入院4日目にしてやっと抗生剤が少し効いてきたのか、6時間ごとの39度以上の高熱の頻度が減ってきた。
これ抗生剤がいくら効きにくいからって、投与し続ければ効くんだろうけど、抗生剤がなかった時代や環境の整わない国での分娩だったなら、私死んでたんじゃないかな?
まあ、現代の日本に生まれていたことにただただ感謝です。

退院して家に帰ったら、子を抱きしめたいな。
新生児の毎日を1週間以上一緒に過ごせない母失格の私を、子はもう忘れてしまったかもしれない。
また一からになったとしても、関係を築きたいと思う。

この辛い産後の入院生活を後から思い出したくないので、渦中である今ここに残しておく。

色々気が狂いそうなことが続くが、「母は今母乳修行に出ている」という設定で自分を励まし、元々の出産予定日までは私と子に与えられたボーナスタイムだとすることにした。
まあ、出産予定日には退院できないと思うけど。

本当に母乳修行感はあり、産科が花形の総合病院なので産科ベッドが大人気行列をかましており、私は一般病棟に移されたわけだが、そうなるとゴッドハンドの助産師もいなければ搾乳機も使えない。
現在私は母乳量を維持するためまたもや努力と根性の手搾り搾乳をしている。捨てるんだけど。

そういえば捨て搾乳をする時に、Mrs.Green Appleさんの「ライラック」という曲を聴いてとても元気が出た。
「青と夏」が好きだったけど、これもよいね。

ちなみに母乳育児についてだが、様々な事情で完ミ(粉ミルクオンリー)の選択をとる人について何も思わない。
だけど母乳がいいのに自分の身体からは出ないと思ってシクシク泣いてる人がいるなら、是非悲鳴をあげるくらい自分のおっぱいを揉んでほしい。
厳しいことを言うが、出ないのは血の滲むような努力が足りない。努力すれば母乳が滲んでくる。(上手いことを言ったつもり)
今は乳揉みさん(産婆さん的な)がいないので、それでも出なければ母乳外来へ行こう。
身体に疾患があるとか特別な事情がない限り、出ないはずないので。

今は本当に辛いけど、それでも子は健康なので恵まれていますね。
全てに感謝です。

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