女性目線で新たな魅力を発掘!カメラ女子コラボ企画トークセッション|田中×坂本×河西×齋藤×青木
日本最大級のカメラ女子コミュニティ「camell」と8Peaks familyがコラボし、新たな取り組みが始動。プロジェクトメンバーの5名が集まり、手応えや課題、今後の展望について語り合った。
メンバーにも地域にもメリットがあるように
−まず「camell」の概要を教えてください。
田中:約1万3000人のメンバーが在籍するカメラ女子のコミュニティです。撮影会やツアーなどを通して写真好き同士でつながることができ、イベントに参加し放題の有料会員制サービス「camelltown」も運営しています。現在、有料会員は200人ほどいらっしゃいます。
−8Peaks familyとのコラボのきっかけは?
田中:以前、諏訪で撮影ツアーを行った際に8Peaks familyメンバーの矢崎さんと知り合いまして、私が2年前に長野(長野市)に移住したこともあり、何か一緒に取り組みができないかなと思って、お声がけさせていただいたのが始まりです。
−移住されたんですね。なぜ長野に?
田中:私は生まれも育ちも東京で、これまで地方とはあまり接点がなかったんですけど、諏訪のイベントで矢崎さんや地域のみなさんがよくしてくださったのがすごく印象に残っていたんです。かつ、移住するにしても、なんだかんだ東京と行き来しやすくないと不安だったので、条件が揃っている長野を選びました。八ヶ岳エリアは写真を撮りたくなるスポットが点在していて魅力的ですよね。長野市内からだと意外と距離があるので頻繁には行けていないのですが、この間プライベートでグランピングに泊まって、「レストランピーター」で食事して、八ヶ岳を満喫しました。
坂本:お誕生日に来店してくださったんですよ。どうもありがとうございました。
田中:こちらこそ。めちゃくちゃ美味しかったです!
−今回の事業ではどのようにコラボされたのでしょうか?
田中:先程お話しした有料サービス「camelltown」のメンバーと8Peaks familyの事業者さんとのコラボ企画で、郵送事業と来訪事業の二つを実施しました。
−具体的な内容を教えてください。
田中:郵送事業は、事業者さんが5人のメンバーに無料で商品を提供し、届いた商品をメンバーが撮影して、お返しに写真をプレゼントするという内容です。物々交換のようなイメージですね。来訪事業も考え方は同じで、10人のメンバーが一泊二日で八ヶ岳エリアを訪れ、各事業者さんのところを回って、無料でサービス提供を受けて、お返しに撮影した写真を納品するというものです。写真は事業者さんに提供するだけでなく、私たちの公式Instagramやメンバーのアカウントにも掲載し、地域の観光スポットや8Peaks familyの取り組みを発信します。
−メンバーさん側と地域側、双方にメリットがある事業ですね。
田中:そうなんです。そこは企画を考える上で特に意識しました。とはいえ、前例のないプロジェクトなので、どこまで反応があるか見えない部分もあったんですけど、来訪事業は定員数をはるかに超える申し込みがありましたし、郵送事業では今日お集まりの勇気ある(笑)お三方が快く商品を提供してくださいました。ありがとうございました!
坂本・河西・齋藤:こちらこそありがとうございました!
今よりも一歩踏み込んだ提案を
−ではそれぞれにお話を伺っていきます。坂本さんはどんな商品を提供されたのでしょうか?
坂本:主力のソーセージやベーコンを中心に、妻にも意見を聞いて、女性に好まれる味わいやギフトとしても喜ばれそうなものを選びました。
−写真を拝見しましたが、ボリューム満点の詰め合わせで、集合写真もインパクトがありました。
坂本:みなさん、カゴなどの小道具を使って素敵に撮ってくださっていて、すごく嬉しかったです。うちは今年で創業50年になるレストランで、積み重ねてきた歴史が一つの強みではあるんですけど、その分パッケージも昔ながらのシンプルなものなんですね。正直なところ、マイナスに捉えられる可能性もあるのかなと思っていたので安心しました。
今回いただいた写真の中で特に新鮮だったのが、海岸で撮られたサンドイッチです。八ヶ岳エリアは山のイメージが強く、地元にいると海という発想がなかなか湧かないので、こういう表現の仕方もあるんだと驚きました。
メンバーさんたちとはオンラインで意見交換もさせていただいて、商品へのご意見や撮影の裏話についても聞くことができました。先程の海の写真はわざわざ三浦半島まで持って行って撮影してくださったそうで、「“旅するソーセージ”っていうテーマでシリーズ化してもいいね」なんて話も出たりして、すごく刺激を受けました。
−外からの、かつ女性ならではの意見は貴重ですよね。
坂本:本当にそう思います。その他にも「レシピ案を付けてほしい」「マスタードやソースをセットにしてほしい」などのご意見をいただき、薄々感じていたことではあるのですが、単純に焼くとか茹でるとかの食べ方だけではなく、その先の一歩踏み込んだ提案まで行っていく必要があるなと実感しました。
他にも「ネーミングに“八ヶ岳〇〇”みたいな地元感を出した方がいい」というご意見をいただきました。これまで本場ドイツの世界観に沿った商品づくりをしてきて、そこで完結してしまっている部分があったので、今後に活かせるヒントをたくさんいただけたと思います。
羊羹=和だけではない自由な発想
−河西さんはなぜ今回参加しようと思われたのですか?
河西:うちは「新鶴本店」という和菓子屋で、1873年創業の老舗です。昔ながらの気質でこぢんまりと商売をやってきたので、情報発信やプロモーションというものが苦手で。というか“無”なんですね。150周年の節目に僕が代表取締役に就任しまして、新たなチャレンジということで今回参加させていただきました。
−提供された商品は?
河西:看板商品の塩羊羹です。茅野市は昔から天然寒天の一大産地で、シェアはおよそ9割。工業的製法の粉寒天は全国各地で作られていますが、天然の角寒天を生産しているのは諏訪地域だけと言われています。
−すごい!それは知りませんでした。
河西:あと日本地図をイメージしていただくとわかると思うんですけど、八ヶ岳エリアって日本海からも太平洋からもめちゃめちゃ遠いんです。昔は運搬作業が大変で、この地域では塩が貴重品だったんですね。そうした背景から、地元の名産と貴重品をいい塩梅で組み合わせた商品ができないかと、うちの初代が塩羊羹を考案しました。今でも当時の製法のまま、石造りのかまどに楢の木の薪をくべて、ガスでは出せない強い火で職人が練り上げています。
−お話を聞いているだけで食べたくなります……。
河西:ありがとうございます。そういうストーリーも含めてお客さまがいいと言ってくださるので、もう変えるに変えられないという(笑)。
−写真を見ての感想は?
河西:自分で言うのも何ですが、羊羹って地味じゃないですか。写真映えしない黒い塊を、こんなにも華やかに撮れるんだとびっくりしました。
また、羊羹=和というイメージだけでなく、ドライフラワーや洋食器を使われていたのも新鮮でした。照明の使い方によっても雰囲気が変わりますし、こういう見方ができるんだとか、こういう盛り付け方をすると可愛いんだとか、たくさん発見がありましたね。
特に印象的だったのが、娘さんやお父さんが美味しそうに召し上がる様子を撮影されたもの。僕たちはお客さまのこういうシーンをなかなか見ることができないので、すごくいい機会になったと思います。
−レトロな包装紙にグッとくるメンバーさんも多かったとか。
河西:「昔ながらの紙だけの包み方がいい」というご意見をいただきました。ビニールなどの真空パックではないので、その分賞味期限も短くなってしまうのですが、そこをみなさんがアピールポイントと捉えてくださって嬉しかったです。
リアルなシーンが伝わる自然体の写真
−齋藤さんはなぜ参加しようと思われたのでしょうか?
齋藤:8Peaks familyのメンバーはみんな何かしらの事業に携わっていますが、物々交換として外に出せるコンテンツとなるとどうしても限られてしまうので、名乗りを上げさせていただきました。
−提供された商品は?
齋藤:「8Peaks BREWING」の6種のビールをセットにして、飲み比べも楽しんでいただけるようにしました。
−写真を見てみて、いかがでしたか?
齋藤:非常に素晴らしかったです。ビールの泡はとどめておくのが難しいので、物撮りには向かない商材だと思うんですけど、みなさん工夫を凝らして、それぞれの世界観で素敵な写真を撮ってくださいました。
中でも印象的だったのは、カスミソウなどのフラワーアレンジメントと一緒に撮られた写真です。ビールの原料であるホップも花で、僕がビール造りを始めたのも、もともとは花農家を元気にしたいという思いがあったから。図らずもなんですが、そういった個人的なストーリーと親和性があったので、感慨深かったですね。
親和性つながりでいくと、僕はビール単体ではなく、ビールのあるライフスタイルを提案していきたいと思っているので、お食事と一緒に楽しまれている写真が多かったのも嬉しかったです。ハレの日の風景など、具体的な利用シーンが想像できる写真をいただけて、非常に有意義なプロジェクトでした。
−みなさんいい顔をされていますよね。
齋藤:そうなんですよ。ご家族など身近な人が被写体で、ご自宅や近所で撮られていたりするので、自然体で嫌味が全くない。僕たちメーカーはものづくりをする上でペルソナを設定しますが、それだけだとどうしても想像しきれない部分があるんですよね。今回いただいた写真はいい意味で生々しさがあって、ビールを楽しむシーンがリアルに伝わってきました。
企画段階から外部の女性目線を取り入れる
−郵送事業に対してのメンバーさんの反応はいかがでしたか?
田中:どの商品も美味しくて、写真を撮るのも楽しかったそうで、みなさんすごく喜んでくださいました。これまで知らなかったいいものに出会えて、自分の好きなことで役に立てるというのは、メンバーにとって非常に価値のあることなんだなと感じました。意見交換会でお三方とお話ができたのも楽しかったようです。
−生産者の顔が見えることで、商品との距離がグッと近くなりますよね。
田中:そうですね。こういう形で地域に関わることができて、八ヶ岳エリアに行ってみたくなったとおっしゃる方も多かったです。
齋藤:もう一つの来訪事業も含め、これをきっかけに、八ヶ岳エリアに実際に足を運んでいただける企画を定型化できたらいいですね。
田中:私は常々、新しい商品やイベントを考える際には、中の人だけじゃなくて、外の女性に企画段階から参加してもらうのがいいと思っているんです。一般女性の意見って、すごく参考になるんですよ。うちのメンバーは写真が好きなのはもちろん、その他の分野にもたくさんアンテナを張っているので、彼女たちの個性を絡めていくと、より面白いものができるんじゃないかなと思います。
坂本:確かに。実際、今回の意見交換会でうちのソーセージと由馬(齋藤)さんのビールを合わせた「晩酌セット」があるといいなどの声もあって、新商品を考える必要性に改めて気づかされました。
一つのテーマを設定して、僕たち食チームでイベントを組んでもいいですよね。ソーセージを食べたら甘い羊羹が食べたくなる、甘いものを食べるとまたしょっぱいものがほしくなる、そしたらビールも飲みたくなるっていう無限ループを楽しめるイベントとか。そこに女性目線の切り口やメンバーさんの写真も絡められたら面白いと思います。
地元のカメラ女子を増やしたい
−ではここからデジタルクリエイターの青木さんにもご参加いただき、今後の展望についてお聞きしたいと思います。
青木:田中さんとは初めましてですよね。僕は八ヶ岳エリアを拠点に、観光系PVの制作やスチール撮影などを行っています。今回、8Peaks familyがカメラ女子とコラボすると聞いて、面白そうな企画だなと思っていました。今後事業を進めていく中で、僕も何かご協力できればと思いますので、よろしくお願いします。
田中:ありがとうございます!ぜひよろしくお願いします。
青木:この地域は壮大な自然があって、撮る場所も豊富。誰も知らないような撮影スポットを近所のおじいちゃんが知っていたりするので、そういう情報共有ができたら視野が広がっていくんじゃないかなと思います。地元のカメラマンも多く、みんな風景写真の撮影に長けているので、技術的な面でもコラボできたらいいですよね。
田中:うちのメンバーはみんな撮影がうまくなりたいと思っているので、そのへんのニーズはすごくあると思います。星空や雲海など、一人だと行きづらい場所に一緒に行って、撮り方を指導していただくとか。うちでは写真のイベントを年間300本ほど実施しているのですが、それでも足りないくらいニーズがあります。メンバーはオンラインよりリアルな体験を求めているので、アクティブにコラボしていけたら嬉しいです。そしてカメラ女子の中からどんどん八ヶ岳ファンが生まれていくような状況を作っていきたいですね。
青木:写真をやっている人だったら、カメラのボディやレンズのことも奥の深いところまで知りたいですよね。そういうのを「8Peaks BREWING」のビールを飲みながら語り合ってもいいし。
田中:いいですね。そして一番大事なのは、この地域のカメラ女子を増やすことだと思うんです。長野での体制を整えるために「長野カメル」という支部を最近立ち上げたんですけど、長野でイベントを開催しても東京の人が来ちゃって、なかなか地元のカメラ女子には巡り会えていなくて。観光の側面としては嬉しいことなんですけどね。今後8Peaks familyとコラボすることで、潜在層にもしっかり情報を届けられたらいいなと思っています。
青木:カメラの話ができる友だちを見つけたいと思っている女性はかなりいそうですよね。僕もそうですし。そういう人たちをつなげてあげて、新たなコミュニティを作っていくのも、コラボイベントの役目なのかもしれませんね。
−ワクワクしますね!その他、今回の事業で感じた課題はありますか?
坂本:素敵な写真をたくさんいただいたんですけど、活かし方が非常に悩ましいところで。一気に露出してしまうと一過性のものになってしまいそうだし、それを懸念しすぎてストックしていても、結果活かせていないことになる。一年くらいの長いスパンで、どういう使い方ができるのかアドバイスをいただけると、すごくありがたいなと思いました。
河西:僕も同じことで悩んでいます。何しろうちは情報発信のノウハウが“無”なので。とりあえず妻のInstagramで使わせていただこうと思っているんですけど、いい写真がいっぱいあるので、それだけで終わらせるのはもったいないなと。
齋藤:先程もお話ししましたけど、どういう環境でどういう人たちがその商品を消費しているかがわかりやすくて、非常に有用性のある写真だと思います。最大限活かすためには、使いどころをきちんと定めることが重要なのではないでしょうか。
田中:提供後の状況が掴みきれていなかったので、ご意見を聞けてよかったです。基本的に事業者さんはプロが撮った写真はすでにお持ちであることが多いと思うんですけど、うちのメンバーが撮るような口コミ的な写真って、実はすごく集めづらいんですよね。そこが私たちの強みであり、だからこその活かし方もあると思うので、今後の取り組みを一緒に考えていきましょう!