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【002】業務紹介(土地家屋調査士編)
内藤土地家屋調査士事務所の内藤です。
今日は当事務所の業務のうち、
土地家屋調査士に関する業務についてご紹介します。
まず、土地家屋調査士の業務は、土地家屋調査士法第三条に規定されています。第三条をザックリと要約すると、
不動産の表示登記に必要な土地又は家屋の調査及び測量
不動産の表示登記の申請手続又はこれに関する審査請求手続き
筆界特定の手続き
となり、この3点が土地家屋調査士の業務となります。
以下に、土地家屋調査士法第三条を抜粋してみました。
土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)
令和5年6月14日 施行
(業務)
第三条調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量
二不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理
三不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第五号において同じ。)の作成
四筆界特定の手続(不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。次号において同じ。)についての代理
五筆界特定の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録の作成
六前各号に掲げる事務についての相談
七土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続(民間事業者が、紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について、紛争の当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者との間の契約に基づき、和解の仲介を行う裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。)をいう。)であつて当該紛争の解決の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として法務大臣が指定するものが行うものについての代理
八前号に掲げる事務についての相談
私が土地家屋調査士を目指すきっかけは、公務員として土地に関する業務に携わる中で、将来的に土地家屋調査士の業務内容に精通したい、さらに、資格を取得したいと思ったからです。その土地家屋調査士資格取得のための知識を蓄積していくと共に並行して、不動産の表示登記に関する知識も取得していきました。さらに測量に関する知識は、大学在学中に学んだ測量学の知識を基に新しい知識を積み重ねました。
そうして、2017年に当事務所を開設するに至るのですが、業務を遂行する中で測量理論と技術の現場への展開などには、『強い思い入れ』を持っています。
その『思い入れ』とは、次の3点です。
(1)精度の高い測量 (1点目)
測量に誤差がつきものですが、考えられる誤差を限りなく小さくしようと思っています。
土地家屋調査士が行う測量は、ひとえに『不動産の表示登記事項』に反映させるためです。
不動産の表示登記事項は、法務局に登記申請をして行われるわけですから、法務局の審査にかなう範囲内であれば良いことになります。
しかし、私は測量の精度が審査に合格するだけでは十分とは考えておりません。
測量は、『測量法』が根拠法令となっていますが、同法は1949年に公布・施行された法律であり、当時の測量技術を基にして定められた法律と言えます。
一方、科学技術の進化に伴い、測量機器の精度は高まり、価格的にも個人事務所で手の届くような機器が登場しています(トータルステーションなどの測量機器についてはまた別の機会にお話しします)。
個人的には、現行の測量機器で法務局の精度審査基準を上回る測量が可能だと思っています。
しかし、法務局の審査さえ通ればよいという考えでの測量は行っていません。変化する時代に合った測量機器を使いその性能を発揮させながら、測量の精度をできる限り高められるように知識と技術を注ぎたいという姿勢で日々取り組んでいます。
この先、科学技術の進歩に伴い、より高機能な機器が出現しもっと高い精度での測量が可能になると思います。これは、過去から現在の状況を顧みても明らかです。日々目の前にある測量の成果が、将来にわたって十分に耐えられる精度を確保するような測量でありたい。
そういった思いで、昨日より今日、そして今日より明日の測量成果の質が高くなるよう精度にこだわる測量を目指しています。
具体的には「3級基準点」の精度区分を目指した測量を行っています。
「基準点測量」とは、既知点に基づき新しい基準点の位置又は標高を定める作業です。あらゆる後続作業の基本となるもので、その基準点測量は精度等により1級~4級に区分されています。
通常、公図を作成する場合は4級基準点測量の基準に基づいて行えば十分なのですが、
当事務所ではより『精度の高い測量』を目指す目的で、3級基準点の精度区分を確保できるように努めています。
(2)世界測地系の採用 (2点目)
当事務所の測量には、世界測地系の座標を採用しています。
以下に世界測地系に関する「国土地理院のサイト」の内容を抜粋し掲載します。
世界測地系とは、測量法(昭和24年法律第188号)第11条第3項により、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいいます。以下の条件を満たす準拠楕円体として、日本ではITRF座標系GRS80 楕円体を採用しています。
一 その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。
二 その中心が、地球の重心と一致するものであること。
三 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。
要約すると、世界共通の地球上での位置を表す基準です。
その世界測地系で定めた基準点を使った測量を行っています。
具体的には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)と呼ばれる方法で測量を行っています。
これにより、世界測地系基準点から現地の境界点の位置を新しく求めたり復元などします。
一方で、基準点を任意に定めた任意座標系を使った測量があります。
世界測地系のような公共座標とは違い、任意座標系の場合は、測量者が任意に基準点を定めます。
現在の地積測量図(分筆図)は、任意座標系で測量しても審査に合格します。
しかし、任意座標系を使った場合、測量者によって精度が曖昧で定まりません。球面補正や高度補正などの補正概念がないため、隣接地どうしが任意座標系を使っていた場合、境界点の位置や境界線の精度が一致せず、整合が図れないなどの問題が生じます。
現行ルールでは任意座標系を使ったの測量も、表示登記申請においては許されていますので、多くの調査士事務所で任意座標系を採用しています。これは『いい/悪い』の問題ではありません。
しかし、当事務所では、任意座標系による測量は一切行っていません。
(3)2人体制での測量 (3点目)
職種による分類分けによると、土地家屋調査士は士業に分類わけされます。土地家屋調査士の多くが、1人で事務所の運営を行っています。
しかし、測量作業は、誰もいない山・原野に入ったりすることもあり、まことに孤独で危険を伴うことがあります。
当事務所では測量作業は2人体制以上で行っています。
私が寂しがり屋のため、話し相手がいると明るく楽しく気にかけないですむというのが感じないというのが大きなメリットです。
しかし、その他にも2人体制以上のメリットは、以下のとおりです。
①証拠の確保
二人で現地に出向くことで、現場の状況や出来事を複数の証人で確認できるため、後々の証拠として有効となります。これにより、トラブルが発生した際に証言の信頼性が高まります。
②代理権の効果と帰属
民法上、代理人が本人のために行動する場合、その行為の効果は本人に帰属します。二人で出向くことで、当事務所が本人から委任を受けた依頼事項による代理権の範囲や行為の適正性について確認しやすくなります。
出典:e-GOV法令検索Webサイト
③リスクの分散
一人で現地に出向く場合、何らかのトラブルや判断に迷いが生じた際の対応に躊躇することがあります。二人で出向くことで、危険、判断の迷いを解決・分散し、問題が発生した際の対応が円滑にできます。
④意思決定の迅速化
現地での状況を判断し二人で確認することで、迅速かつ適切な意思決定が可能になります。これにより、現場での対応が適切かつ効率的になります。
また、測量の際に想定外の誤差が生じてしまったときにどうするか、
そもそもどういう測量方法(測量手順)をすべきか、
など、業務を行う中で考えることはいろいろ出てきます。
そんな時に、自分とは異なる多くの経験や知見があるパートナーがいると心強いのです。
お互いに意見を交わすと、異なる意見のときや同意見のときなど様々です。
特に自分では気づかなかったポイントを指摘してくれ、トラブル回避にもつながり安心です。
⑤作業の迅速化
測量作業には主にRTK-GNSS測量機器とトータルステーション機器を用いますが、
1人だと持ち運びやセッティングに時間がかかったりしてしまいます。
私は測量に時間をかけるべきところはしっかり時間をかけます。
しかし、測量作業以外の時間を無駄にするのは避けたいですし、現場作業は無駄を省き簡潔に進めるのが基本です。仕事を依頼され待ち状態となっているお客様や関係者の方々に対しても無駄を省き卒なく進めたいという考えでいます。
ですので、2人体制ですと段取りも非常に手早く行えます。
⑥やっぱり良き相談相手
私は事業者の1人であり、事務所の代表として経営するという立場です。
悩みを打ち明けたりグチを聞いてもらう相手がほしいのですが、1人でいると孤独感にさいなまれたりします。経営者は孤独というやつです。
そんなときに、話を聞いてもらえる人がいるといないとでは大きく違います。
アドバイスをもらいたいのではなく、相手に向かって話していくうちにいつのまにか自分の中で解決策が見つかる、なんてこともよくあります。
いっしょに仕事をしているパートナーについては、別途紹介しますが、
やはり話し相手がいるのは良いものだなと思っています。
ここだけの話しですが、彼にはとっても感謝しています。
最後はなんだか話がそれましたが、
土地家屋調査士の業務の中で、特に測量作業に関するこだわりのようなものについて語ってみました。
次の回では、行政書士に関する業務についてお話しします。