【004】業務紹介(行政書士編)
内藤土地家屋調査士事務所の内藤です。
今日は当事務所の業務のうち、
行政書士に関する業務についてご紹介します。
行政書士の業務の内容は多岐にわたります。
現在、全国で行政書士会の会員数は個人・法人合わせて約5万3千、
広島県でも約1,200ほどあります。
(数字は日本行政書士会連合会のWebサイトより)
これらの行政書士は、各々で専門性が異なり、得意分野も様々です。
なので、ひとくちに行政書士といっっても様々な特徴をもっています。
ここでは、当事務所における2つの業務(農地法関係と相続)についてご紹介します。
(1)農地法関係 (1つ目)
当事務所では、農地法に関するものの内、主に「農地転用許可・届出」並びに「農振除外申出」の手続を代行いたします。
なお、農地法上の手続きは、行政書士法第1条の2の規定により、行政書士のみが代行できます。
出典:e-GOV法令検索Webサイト
農地とは
農地法の内容を説明する前に、「農地法」と「不動産登記法」と国税庁が定める「田」や「畑」などの定義付けが異なることを承知して頂きたいので、少し説明します。
・農地法に定める「農地」とは、耕作の目的に供される土地のことです。
出典:e-GOV法令検索Webサイト
・不動産登記法に定める「田」とは、用水を利用している農耕地です。
・不動産登記法に定める「畑」とは、用水を利用していない農耕地です。
出典:法務省Webサイト「不動産登記事務取扱手続準則」
・国税庁が定める「田」とは、農耕地で用水を利用して耕作する土地
・国税庁が定める「畑」とは、農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
※「耕作」や「土地の地目」の詳しい定義はここでは省略します。次の出典先の国税庁Webサイトをご参照ください。
出典:国税庁Webサイト「土地の地目の判定」
ひと言で「農地法」とは
農地は、限られた貴重な日本の資源です。
よって、農地を適切に国が保護しようとしています。
とひと言でいうとこんな法律です。
じゃあ、農地法で農地としてどのように保護するの?
①農地以外へ利用する行為を『規制』します。
②農地の最も有効な利用を図る『措置』を講じます。
※農地法第3条による許可や届出があります。
※農地法第4条による許可や届出があります。
※農地法第5条による許可や届出があります。
上記の許可や届出については、別途ご紹介します。
その『規制』と『措置』による成果は。
①耕作者の地位の安定 ⇒ひと「人」の保護
②国内における農業生産の増大 ⇒もの「農作物・農業設備」の保護
最終の目的は、食糧の安定供給を確保するとしています。
農業振興地域とは
これは「農業振興地域の整備に関する法律(農業振興地域整備法)」として規定されており、「総合的に農業の振興を図ることが必要であると認められる地域」のことをいいます。
よって、農地以外の利用は認められません。
具体的には、国が「農用地等の確保等に関する基本指針」を定め、
その基本指針に基づき、都道府県で「農業振興地域整備基本方針」を定めた上で農業振興地域を定めています。
さらに市町村では、その農業振興地域に対し「農業振興地域整備計画」を定めることとなっています。
でも、例外的に要件を全て満たせば認められる場合もありますが、一般的には認められません。
以下、「青地農地」と「白地農地」について説明します。
青地農地について
青地農地は、正式には「農業振興地域内農用地区域内農地」といいます。
なぜ青地というかというと、上で述べた「農業振興地域整備計画」で作成される「計画図」に青色で表示されているからです。
青地農地は、農業をするのに優良な条件を備えているとされ、今後10年以上にわたり農業利用を確保するため、農地以外の利用を厳しく制限しています。
白地農地について
これに対し白地農地は、正式には「農業振興地域内農用地区域外農地」といいます。
青地農地に比べて、農地としての集団(まとまり・ひとかたまり)性が低く、土地改良事業を実施していない等の理由から青地の指定がされておらず、農地転用の規制は比較的緩やかです。
農地法の農地転用許可に関わる「農振除外申出」について
以上の農業振興地域制度において、行政書士の果たす役割は何かというと、農業振興地域の農地を農地以外に利用するための手続を行うことです。
これを「農振除外申出」といいます。
農振除外申出に関する規定は、農業振興地域整備法に定められており、主に次のような要件を満たせば、農用地区域から除外できる、とされています。
農振除外申出の要件(概略:審査項目)には、次の項目があります。
①「必要性、代替え性」について
②「集団性、農作業の効率化、農業上の効率的且つ総合的な利用」について
③「排水路等施設機能」について
④「土地改良事業」について
以上の項目について、農地以外に利用することへの説明として理路整然と記述されていることです。
概略の申出手順としては、まず農用地区域内農地(青地)から農用地域区域外農地(白地)に変更します。
その後、白地農地を農地転用(農地から農地以外に変更)します。
ただ見てわかるように、これらの手続きは法に定める要件をすべて満たさなければならないため、申出に必要な書類の準備と手続きには、高い専門性が要求されます(要はむちゃくちゃ面倒くさい)。
そこで行政書士の出番ということです。
私には、長年の市役所での勤務経験があります。
その中でも市職員としての経験(カウンター内側の経験)から窓口に来られた人(カウンター外側の人)に対し、「何を求めどのように対応してゆくのかを経験で解っている」ということ。逆にカウンター外側の人として、「カウンター内側にいる職員が発する言葉から何を考えていて、カウンター外側の人に対して何を要求しているのかを気付くことができる」ということです。つまり、カウンター内側の経験があることで、カウンター内側の人の真意を汲み取ることに熟達している、ということです。さらに市職員としての用地取得の経験も相まって、この様な対面交渉の経験の無い行政書士には到底到達することができない領域です。
対面での会話の奥に潜んだカウンターの内側の面々の内情や考えや心理までが「予め予想される選択肢の内から、はぁ、はぁ。そういう事」と察することがでます。
したがって、こういった「農振除外申出の手続き」が得意な分野となっています。
詳しくは当事務所HPのプロフィールをご覧頂ければ幸いです。
(2)相続 (2つ目)
次に相続についてお話しします。
相続にあたってはトラブルがつきものです。
よく言われるのが「相続」が「争続」へと変化する事態です。
この「争続」へと状況が変化することは絶対に避けたいものです。
特に、相続する遺産に土地のような不動産が含まれた遺産について「相続」を「争続」にしないためには、土地家屋調査士による「土地分筆登記」と行政書士による「遺産分割協議書」が必要です。
私は、土地家屋調査士と行政書士の両方の資格を持っていますことから、
特に困ることもなく、円滑に不動産が含まれた遺産について遺産相続に関する「遺産分割協議書の作成」と「調印」までを行うことできます。つまり、相続のことについて、相続をどう進めるかという「協議の段階」から協議の最後にあたる「相続人全員による調印」までの手続きを一貫して行うことが可能です。
土地分筆登記について
相続する遺産に土地があり、その土地を複数の相続人で相続する場合、土地を幾つかに分割する必要があります。
この場合の土地分筆登記は、相続人全員での協議を進め、土地分筆登記の了承が得られることによって土地分筆登記申請手続きを行うことになります。また、この土地分筆登記申請に関わる新規の境界標設置や隣地との境界を確定させる測量も必要となります。
これは土地家屋調査士としての仕事です。
土地分筆登記の申請手続きの流れについて
土地分筆登記の申請手続きは、次のような流れで進めます。
事前調査
法務局(支局)において、対象土地に関わる登記の情報、地積測量図、登記所備付地図などを取得します。
市区町村役場並びに県において、対象土地に関わる官民境界などの情報を取得します。
測量
土地家屋調査士が現地において、状況把握や既存境界標、街区基準点などの確認及び測量を行います。
対象土地の境界を隣接地の所有者と確認し、承諾を得た上で境界標を設置・再現を行い、新設した境界標の測量を行います。
境界確定
対象土地の境界を隣接地所有者と最終確認します。(境界確認書を作成します。)
対象土地の境界を市区町村役所並びに県と確認します。(境界確定書などを作成し申請手続きを行います。)
図面等の作成
土地家屋調査士が境界標の(復元・新設)測量を行い、対象土地の地積測量図などを作成します。
申請書類の作成:
法務局(支局)へ土地分筆登記申請に必要な書類(地積測量図、境界確認書など)を作成します。
登記申請:
法務局(支局)へ土地分筆登記申請書類(地積測量図、境界確認書など)を提出します。
登記完了:
登記が完了すると、登記完了証が発行されます。
遺産分割協議書について
対象土地の土地分筆登記が完了した後、境界が確定した土地を含めた「遺産分割協議書」の作成を行います。
当事務所では、土地分筆登記の手続きから遺産分割協議書の作成までの一連の業務を一括してお受けすることができます。
遺産分割協議書の例を以下に示します。
今回の業務紹介は以上となります。
他にも対応できる業務はありますが、
それはまた別の機会にご紹介しようと思います。