【007】G空間情報センターのデータを使いましょう
内藤土地家屋調査士事務所の内藤です。今日も地図とにらめっこをしております。。。
今回は、G空間情報センターというものについてお話しします。
【G空間情報センター】
https://front.geospatial.jp/
G空間情報センターとは、地理空間情報の共通プラットフォームのようなもので、行政庁から民間企業まで約600ほどの組織が作成・整備しているデータが、有料・無料合わせて約12,000以上のデータセットが登録されております(数値は2023年10月現在)。
その中で私が事務の効率化のためよく使っているのは、いわゆる「登記所備付地図」のうち「地図(法第14条第1項)」と呼ばれる地図データです。
「法14条」とは不動産登記法第14条のことで、当該条文は次のように書かれております。
要するに法務局が保有している地図(登記所備付地図)が、データ化されG空間情報センターに登録されているというわけです。
私はこれを現況測量作業に活用しております。
どのように活用するかというと、地図ソフト「QGIS」に読み込ませます。
ちなみにQGISとは、地理情報システム(GIS)が無料で利用することができるオープンソースのソフトウェアです。機能追加も無料のプラグインで行うことができるという大変なスグレモノです。
このQGISに対し、どのようにG空間情報センター上の「法務局14条地図」を活用していくかについてお話しします。
①QGISへのプラグイン
「法務局14条地図」は、そのままではデータをインポートできませんので、
メニュー「プラグイン」→「プラグインの管理とインストール」を選択します。
画面が表示されるので、「未インストール」タブを選びます。
一覧の中から、「MOJXML Loader」を選択し、インストールします。
TOP画面に戻り、メニュー「プロセシング」→「ツールボックス」を選ぶと、「法務省登記所備付地図データ」が追加されているのがわかります。
②G空間情報センターからのデータダウンロード
次に、G空間情報センターからデータをダウンロードします。
お知らせのところにも書いてあるように、データのダウンロードにはユーザー登録が必要です。
ですが、ちょっとわかりづらいので、
ログインするのはもう少し先のページにたどり着いてからがよいです。
まずは、「3.登記所備付地図データのダウンロードはこちら」の行の「こちら」をクリックし進みます。
「XMLデータのダウンロードページへ進む」を選びます。
このページに載っている手順に従います。
と言いたいところですが、実はログインするのはもう少し先の方が、個人的には分かりやすかったりします。
少しスクロールをしていくと、都道府県の一覧が表示されます。
見たいデータの都道府県を選びます。
仮に広島県を選んでみますと、「30件のデータセットが見つかりました」と表示されます。この30件というのは広島県の市区町村(実際村はありませんが)の数と一致します。
なお、政令指定都市である広島市は1つのデータセットではなく、8つの区ごとのデータセットになっております。
ここでは「広島市中区」のデータセットを選んでみます。
データセットとして、2023年のZIPファイルと2024年のZIPファイルがあり、これが求めるXMLデータになります。
いま2024年のデータが欲しいので、詳細を押してみますが、「より多くの情報」しか出てきません。
ここで初めてログインをします。
ログインしました。
すると今度はダウンロードというメニューが表示されました。
どうやらダウンロードできそうです。
「利用規約を承諾する」を押すとダウンロード開始です。
③QGISへのデータインポート
これでようやく次にデータのインポートです。
「利用規約を承諾する」を押すとZIPファイル1個のダウンロードが行われます。
このZIPファイルの中にはさらに多くのZIPファイルが入っております。
上位のZIPファイルを展開します(下位のZIPファイルの展開は不要です)。
その中に1つCSVファイルが入っており、ここではどこの地番区域がどのZIPファイルに入っているかを調べることができるリストとなっております。
使い方については、G空間情報センターの「検索用CSVの利用手順書」をご確認ください。
検索用CSVで地番区域と該当ZIPファイルがわかったところで、ようやくQGISにインポートします。
QGISメニューの「プロセシング」より「ツールボックス」を選択します。
「法務省登記所備付地図データ」から「地図XML/ZIPを読み込む」を選択します。
該当するファイルを選択し、実行します。
地図上に表示することができました。
設定を変えれば塗りつぶしを枠のみにしたり、地番を表示させたりすることも可能です。
QGIS左側から該当するレイヤを選び、「プロパティ」を選択します。
プロパティのメニューから
「シンボロジ」を使って例えば塗りつぶしを縁取りにするとかし、
「ラベル」から地番表記をしたりとかします。
すると地図上に区画と地番が表記されることとなり、ようやくこれで作業ができるようになります。
ただし。全ての地域でこのように表示されるわけではありません。
正しい地図データがない地域であれば、下のように地物データを読み込んでくれません。
これは地図の分類として「地図に準ずる図面」とされている地域で、公図の内容と実際の土地の位置や形状が異なっており、ZIPファイルの中に入っているデータは団子図、または談合図と言われるようなものであるため、QGISの画面上の空中写真との整合がとれる位置データが無いため画面に表示されません。
全ての地域でG空間情報センターで公開されている地図データが活用できればいいのですが、残念ながらまだ道半ばといったところでしょうか。
(おまけ)
ちなみに私は当初、データの保存をCドライブの中にフォルダを作成し、プロジェクトファイルやデータファイルを保存してやろうとしていましたが、うまく動きませんでした。
その後、外付けHDDやクラウドなどでもやってみたが動かず、いろいろ情報を集めたところ、どうやら「デスクトップ上にフォルダを作るとうまく動く」ということがわかり、そのとおり試してみると確かに動きました。
その点がQGISのイマイチな点かなと思っておりますが、
いずれ機能改善されることを期待しております。
④もしQGISもG空間情報センターのデータも使わなかったら・・・
その場合は当然法務局で交付される紙の公図から作業が始まります。
一般に法務局で公図を取り寄せる際は、地番ごとに申請します。
申請によって交付された公図は、当該地番しか表示されておりません。
業務において集成図を作成する場合、法務局で取り寄せた公図の場合は、
公図1枚1枚をトレースしていきます。
具体的には半透明の紙に書き写すか、デジタイザーを使うこととなります。
こうしてようやくできあがった手書きの集成図を、
今度はスキャニングしてCADに読み込ませます。
これでようやくCAD上に集成図ができるのですが、紙を読み込ませただけなので、当然折れ点のデータは入っていません。
要するに精度を度外視したアウトプットしか生まれません。
私もQGISを導入する前は、このような段取りで作業をしておりました。
これに対し、QGISへ登記所備付地図(法第14条第1項)データを取り込むとどうかといいますと、
まずQGISを使っていることから概観を把握することができ、どの辺のデータが必要か、当たりをつけることができます。
また、データファイルはXML形式であり、折れ点のデータも入っております。
したがって、QGIS上の位置情報(地番情報を含む)と折れ点データを合わせた図面となり、極めて精度の高い集成図が作成されるわけです。
QGISもG空間情報センターのデータも原則無料で使えるわけです。
すっかりヘビーユーザーとなった私ですが、今さらながら「スゴイ時代になったものだなぁ」と実感するのです。
これはぜひとも、他の土地家屋調査士さんにも使ってもらい、業務の効率化に役立ててもらいたいと思っております。
QGISについては機能がふんだんにあり、私もまだお伝えしたいこともあるし、操作についてもまだまだ研究中です。別の機会に違う話ができればなと思っております。
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