「イシューからはじめられない」あなたへ(前編)
こんにちは!羽田です。
Twitterでもたびたび話題に上がる安宅さんのロングセラー「イシューからはじめよ」についての解説note前編です。
※安宅さん略歴:東大修士→マッキンゼー(4年半)→イェール大学Ph.D.(3年9ヶ月)→マッキンゼー(6年)→Yahoo!・慶應大学教授兼務
界隈では良本だと有名な「イシューからはじめよ」ですが、Googleの検索予測を見てみると、「解説」「難しい」「要約」などのキーワードが同時検索されています。
また解説noteもチラホラ見かけますが、正直分かりづらいです…
ということで、私なりに解釈を交えながら、書籍を読んでいまいち理解出来なかった方のために、分かりやすく解説してみました!
(大体わかったけど、もっとクリアに理解したい方ももちろんOKです!)
本noteは解説の前編として、「イシューの理解」に焦点を当てて解説していきたいと思います。
それではいきましょう!
【イシューとは何か】
結論、イシュー=答えを出す"べき"課題 です。
この書籍に興味を持たれた方は、「なんか凄そうな人が執筆した知的生産の本質って何だろう」とか「今の自分の仕事に活かせないかな」とか、色々なモチベーションをお持ちだと思います。
実際に、書籍の中でも
"意味のあるアウトプットを一定期間内に生み出す必要のある人にとって、本当に考えなければならないことは何か。この本はそのことに絞って紹介したい"
と述べられており、まさにそれがこの本のコアですよね。
その上で、"生産性が圧倒的に高い人の共通点は、「処理速度が一般的な人と比べて10倍、20倍速いわけではない"と述べ、"処理速度ではない要素で生産性を圧倒的に速くするにはどうしたら良いか?"と問いかけています。
そして、結論を"「何に答えを出すべきなのか」について、ブレることなく活動に取り組むことがカギである。"と説明しています。
つまり、意味のあるアウトプットを一定期間内に生み出す必要のある人にとって、本当に考えなければならないことは、「何に答えを出すべきなのか」であると言えます。
【イシューの位置付け】
次に、生産性向上におけるイシューの位置付けを考えてみましょう。
安宅さんは、
"生産性=バリュー÷投下した労力・時間"
と述べています。
バリューは、書籍の記述を踏まえると
① 今の局面でその問題に答えを出す必要性の高さ(イシューの程度)
② その問題に対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い(解の質)
の掛け算の結果、と解釈出来ます。
順番が前後しますが、まずは②から。
②"解"というのは、例えば、最終報告書のパッケージに含まれる色々な分析を経て作成したスライド1枚1枚のことを指します。
よって、100枚のスライドを自身で作成し、その内の2枚が最終報告に含まれた場合、歩留り2%となるわけです。
この歩留りが"解の質"であり、歩留まり向上=解の質の向上であるということです。
つまり、解の質とは、スライドでも何でも良いですが、結論を示すアウトプットの中にどれだけ自らが手掛けたものが採用されているか、ということですね。
そして、解の質は、フィードバックを受けることで学ぶことができ(体得でき)、繰り返しフィードバックを受けて改善していくことが必要であるため、そのためには1つ1つの問題に取り組む「十分な時間」が必要とのことです。
つまり、多くの問題を解かなければならない状況だとフィードバックの回数が減るため、解の質(スライドの品質)は上がってこず、ムダな労力がかかっている状態=バリューが出づらい状態と言える、ということです。
だからこそ、より答えを出す必要性の高い問題に絞り込み、解くべき問題の数を減らした上で、解の質を高める時間を確保することが不可欠となるということですね。
(まさにコンサルワークそのものですね)
では、②の解の質を理解したところで、次に①のイシューの程度についてです。
安宅さんによれば、どうやら世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、本当に取り組む必要のある問題ではなく、そのうちの2〜3%が今の局面で答えを出すべき問題である、ということが述べられています。
(さらにその半数は、今の段階で答えを出す手段がない問題とのことで、実質1%程度が対象となるとのこと)
つまり、色々な問題に手をつけると解の質が上がってこないし、問題と想定される群の中で本当に取り組むべきものは僅かにしか存在しないため、1%しか存在しない「何に答えを出すべきか」の対象となる問題を見極めることが必要だ、ということですね。シンプルです。
よって、生産性を上げるためには、問題は「解きやすさ」「取り組みやすさ」ではなく、「答えを出す必要性の高い課題」から取り組まなければならないと理解できます。
では、どのようにイシューを見極めるのでしょうか?
安宅さんは、イシューの見極めにはある程度の経験と「見立てる力」が必要で、頼りになる相談相手に確認すべき、と述べています。
知見がない、経験が浅い不慣れな状態で、いきなり絞り込むのは難しいため、自分なりに絞り込んだら、上司にさらに絞り込んでもらうのが良い。それが上司の仕事だから、と説明していますし、ベテランで知見のある人、社内外の専門家(コンサル、アカデミア、シンクタンク等)、この辺りのネットワークの有無が、生産性が突出した人とそうでない人の顕著な差になるのだ、とのことです。
結局、経験が浅いうちはドンピシャでイシューを見極める事は難しいということですね。
(なんやねんって感じですが、コンサル歴浅めの方には朗報ですねw)
【イシューの条件】
では、どうすれば経験の浅い人でもイシューを多少なりとも見極めることが出来るようになるのでしょうか?
安宅さんは、良いイシューの条件を3つ定義しており、それらに合致するか考えることは経験がなくてもできそうです。
●良いイシューの3条件
①本質的な選択肢であること
②深い仮説があること
③答えを出せること
①本質的な選択肢であること
良いイシューは、その結論によってそこから先の方向性に大きく影響を与えるものである、とのことです。
書籍内の例示では、あるメーカーの「商品Aが売れない」という事象の要因を特定するというシチュエーションが示されています。
この場合は、その後の戦略に大きな影響を与える分岐という観点で、「Aに商品力がない」「Aに商品力はあるが、販売方法が良くない」というイシューが提示されています。
ここでのポイントは、これまでの経験から「商品力はあるが、販売方法が良くない"に違いない"」と思い込みで分岐を進めてしまわないことです。
大きな分岐点を設定出来ているか、の観点でイシューを検証することが重要となります。
加えて、さらに視点を上げてみると、「商品力があり、販売方法も良い」ならば「商品Aは売れる」のでしょうか?
たとえば、市場が縮小している中では、シェアに連動して売れる量は減りますよね?
ということは、「商品Aの市場は、商品力があり販売方法が良ければ売れる市場なのか?」が最初のイシューと言えそうですね。
なので、イシューを考える際には、「本当にそこを起点として答えを出すべきなのか」について、自分なりに納得するまで検証することが望ましいと考えます。
つまり、市場が縮小しているなら、「このまま商品Aを売り続けるのか?」が次のイシューになりますし、市場が縮小していないなら、「商品力か?販売方法か?」が次のイシューになる、ということです。
②深い仮説があること
次の条件は仮説を深めることです。
検証した際により大きな価値を生む仮説は、「当たり前を覆す仮説」であると述べられています。
つまり、深い仮説=常識を破壊する仮説、ということです。
その業界、企業における当たり前というのは、「検証されたことはないが、その分野のベテランが肌感覚として当たり前に思っていること」です。
なので、仮説を深めるには「肌感覚の当たり前」を把握した上で、その中で否定できるものや異なる視点で説明できるものを考えるのが良いということです。
(エキスパートや現場へのインタビューはこの「当たり前」を把握するために行う)
例えば、「販売数を中心に競争する市場という理解が当たり前だが、実は販売数のシェアが大きくなるほど利益が減る」や「売上が見込めると思われている市場Aではなく、実は市場Bの方が収益に貢献している」などです。
③答えを出せること
最後の条件は、答えを出せることです。
どんなに価値のあるイシューでも、それが検証不可なのだとしたらそれは良いイシューではない、ということです。
「答えを出せる/出せない」は以下の分類をしてみます。
①誰も答えを出せない
②自分を含む誰かは答えを出せない(自分以外の誰かが答えを出せる)
③自分だけが答えを出せない
④自分だけが答えを出せる
⑤自分を含む誰かは答えを出せる(その他の誰かは答えを出せない)
⑥誰もが答えを出せる
この中で自分にとって価値の高いイシューは、④(⑤)の2つだけです。
当たり前ですよね。
答えを出すべき問題に自分しか答えを出せないなら、そのインパクトは極限まで大きくなる、というだけの話です。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
本noteは"前編"として、「イシューとは何か」を理解いただく手助けになったでしょうか。
書籍は説明の順序や表現にやや難解と思われそうな箇所があるので、その辺りを噛み砕いて説明出来ていたら幸いです。
次回はイシューを特定するためのアプローチや、イシューをどのようにアウトプットまでのストーリーにしていくのか、について解説していきます。
「分かりやすかったよ!」や「また次回も宜しくね!」と言う方は、是非カフェで整理する際のコーヒー代程度をいただけたら非常に喜びます😊
コーヒー代のお返しに、「もはやこれだけ読めば大丈夫!」というサマリを以下に記載しておきます👍
ではでは!
羽田
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