【実話怪談ですよ06】初めての祓(前編)
今から20年近く前のこと。
生まれて初めて、他人様の家の祓に駆り出された。
そんな修行も訓練も何もしてないことを、1時間以上に渡る説明というか何というか。
今考えたら、それはそれで良かったのかもしれない。
幽霊さん、初めまして
この初めての祓から、さらに20年弱前の出来事。まだ小学生だったころの夏休みに私は人生で、多分…初めましてな幽霊と出会う。
この子、死んだんだって!
可哀想に…
オホホホホと上品ぶって笑いながらの会話に昼寝が突然目が覚めた。今も感覚だけ覚えているのだけど、右足の指を引っ張られて、飛び起きた。
死んでないわ!
の死んで…で一瞬とまり、ないわが小さくなっていった。足元に座る黒の着物。着物や帯の絵柄まで見えたけど、その上が無い!
慌てて、当時入院中だった母の病室まで自転車を飛ばして行ったのは覚えている。
それから二度と出ることはなかった(小学生から見たら)ババァ幽霊は現れることは無かった。
あの時は驚きと不可解なことが小学生の私には、ひたすら怖かった。今なら…凄い事情聴取したいぐらいな出方をしたおばちゃを幽霊二人が、私の記憶にある幽霊らしい、幽霊だった。
心霊体験などは特になく…
この後、特に霊体験らしいものがあったと言えば…あった。
無かったと言えば、無かったような…とすくすく成長したのは言うまでもないのだけど。そのまま三十路前の年となる頃、私は専門学校の学生をしつつ働いていた頃の話になる。
その頃のバイトでは、在宅医療の補助として各自のご自宅に行くことが何度かあった。
何件か回っている内に、だんだんと個別に呼ばれる患者さんができるようになる。まだその時は学生なので、常に医療重視者の誰かがついて来てくれる。どうやら、私のする(鍼灸などの)施術はその人たちにとっては、心地よかったのかもしれない。中にはただ会話をするだけの人もいたが…。
そんな中に中国人の奥様がいて、特に私を可愛がってくれ…自宅で小さなパーティなどを開くことがあり、時々招いてくださったことや食事などにも誘ってくれたり。そんな感じで、その当時のバイト先の看護師さんや先生なども時々招かれているので、私はあんまり気にもせず…学校やバイトがなければ行っていたし、たまたま私だけ部外者じゃない?みたいな知らない人ばっかりの時もあったけど。
そうこうしている時、実は奥様のSさんと二人でランチを2回ほど行ったことがあった。別に特別なことはないのだけど、ただただ話を聞いていたのは覚えている。もしかしたら、誰かに話を聞いて欲しかったのかもしれない。
その2回目。
「先生!お願いがあるんです!!」
と言い出した。いやいや、まだ学生ですから先生ではないですよと言いつつ話を聞くと、どうやらSさんの親友も来日しているらしい。
その親友のYさんには高校生ぐらいのお嬢様がおられ、母親の言うことを聞かない、学校に行かないなど色々とある様子。まぁ、思春期ですから…と濁していると、どうやらそのお嬢様が様子がおかしいらしく、自殺したいなどと突然言い出しているという。
心の中では、それは学校や専門家のカウンセリングを受けた方が解決するのでは?と思いつつ話を聞くと、結構切羽詰まった状況。その親友のYさんは母子家庭で、食事をしている場所から車で1時間ぐらいの場所に住んでいると言う。
Sさんは私なら祓える!という妙な自信というか確信を持っており、とにかく行ってやって欲しいという。
専門学生なんですけど…
とこ1時間ぐらいの押し問答。そんな修行も訓練も何もしてないことや色々と説明したけど、「いいや、先生は出来る!隠している!」と言って聞かない。どうやら中国というかその方々が信頼している占い師のような方がいて、その人が私のことを何も知らない筈なのに、何事かを言ったことが後々で分かるのだが…この時は本当に参った。
当時亡くなって間もなかった母親から、いわく付きの物や場所には近づかない、触れない、関わらないを幼い頃からずぅ〜っと言われていたので、本当にそういうこと本当に関わりたくないのである。亡くなった母は戦争も経験しているので、色々ときっと見聞きしたのだろう…とにかく、縁起でもないものにはこの三無い運動(近づかない、触れない、関わらない)を徹底していた。
参ったなぁー…
と心の声がグワングワンと心の中で響きながら、じゃぁ、行くだけ行きますけど、本当に何もできないことは先方にも伝えてくださいねと念を押して、結局、そのまま行くことになったのは言うまでもない。
『初めての祓(中編)』に続く
八山さん家の怪談
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(注意)
この作品は鉢山家の怪談…八山法龍が個人的に体験したことや聞いたお話になります。登場人物などは特定されないよう、偽名・イニシャルなどを使用しています。また場所や地域・ご神仏などを特定されないためにしておりますので、これを読んで勝手な憶測で他人様のご迷惑などないようによろしくお願いいたします。
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