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【実話怪談ですよ05】柱時計と幽霊と…(2)

 要領の得ない会話は退屈だし、何よりクソ忙しい繁忙期に時間を奪われるのは…嫌い。私から見たら、その辺の怪談話程度の内容なので…余計に今、忙しいんだよねと心の声が漏れそうな(笑)。
 挙句に普段は特に仲良くもない間柄の人間の話は…ロクな物ではないとほぼ確定している。


終電の1本前の電車に乗りたい

 ともう一度、伝えた上で。
 で、どうしたいのさ?
 ってことを早く知りたい。それから1ヶ月余り、何もないなら…もう、いいのではないかと思ってしまう(笑)。案外、他人のことに興味がないのかもしれません。

 しどろもどろなまま…N田君はなんとか会話を途絶えさせないように、色々と説明する。うん、うんとは聞くものの、だからさ…と言いたい。とっても「だからさ虫」がムズムズ動き出している。

詰まるところ…

 再発防止。また同じことがあったら、怖い。だからと言って、引っ越す余裕もないらしい。
 そんな概要を話したところで、Wが口を挟む。

 だから頼むよ…ホラ、同期だったS本と連絡とってさ。

 あれ?WとS本は仲良かったっけか?と思いつつ、適当にうん、うん頷いていたままで…うん……うん?となった。S本君も私たちと同期で、たまたま私が育った故郷が同郷。しかも我が家から、案外近いところに住んでいたこともあり、私とウマが合うこともあり、今でも付き合いはある。

 なぜココでS本が出たかというと…そこそこ古い神社の御曹司。でも次男坊♪
 彼の実家である神社には、毎月参拝して、毎月お酒などをコッソリと奉納している。今は親父さんは引退して、S本兄が宮司をしている。弟であるS本も神主職を持っているので、実家やその周囲の神社などにお手伝いに行きつつ…結婚しちゃったので、家族を養うために派遣で私たちのいる会社に来たのだ。

 じゃぁ、Wが連絡すれば…と言うと、連絡先を単純に交換していなかったらしい。
 もうさ、今電話して伝えていいか確認して、OKもらったら二人で電話なりメールなり何でもして欲しい。

思ったが吉日

 ビール片手に電話する…若奥様登場。なぜかよく私に懐いている若奥様…次会った時に話を聞くことを約束して、S本と交代。どうやら何かしていたらしく、若奥様が彼の携帯に出たということなのだが…S本にはもったいないぐらいにパワフルで素直な若奥様。
 S本も笑いながら、やっぱり八山さんかぁと呑気に話す。私もいつもと違って、今日はお願いあるのよと同期のWを覚えているか、私らの後輩にN田というのがいて…とあらまし説明。私は最終電車の1本前の電車で帰りたいし、後日でいいから電話でもLINEでも教え合って…とにかくN田君のことを何とかしてやって欲しいと伝える。
 いやぁ、八山さんの頼みなら仕方ないかぁ。と笑って了承してくれたw

じゃっ…

 サクサク、ポンポンお互いにお互いのLINEのIDを私から送信して…そろそろ帰るわぁ。と帰った。終電より2時間前に(笑)。

 ここまでの話は、今から2年前。2022年の話です。
 結末が分かったのは、実は去年(2023年)の夏のことでした。
 S本の実家(神社)に毎度のごとく、パンパン!と勢いよくご挨拶の月参りと奉納酒して…また来月も来ます!無事に来れるように、見ててくださいね。と心の中でお伝えする。
 別に宮司や巫女さんとかと話すこともなく、ご機嫌さんでぐる〜っと回って、その他の神様にもパンパン!とお参りとちょっと小サイズな奉納酒。作法は…何となく。気持ちは精一杯。奉納酒は…酒屋さんやお土産物屋などで見つけた(ちょっとイケてると思った)お酒。

 前宮司、S本パパさんが奥にあるお稲荷さんと所を掃除していたので、「コンニチハー!」と挨拶。
 あぁ、八山さん…初老で清潔感のあるパパさんは、ニコニコ笑って世間話。相変わらず元気そうで…という話とそうそう、去年ね2番目と会社の人が来たのだけど。

何故、私に結末を…

 S本パパさん、時間があるなら本殿入ります?と招かれた。もちろんお稲荷さんにご挨拶したけど。
 八山さんみたいに元のパワーとか芯がシッカリしていたらいいのだけど…と、缶コーヒーを出してくれた。あれ?これお供えじゃないんですか?...毎月1日はお供えを下げて、入れ替えるからいいらしい。
 そうなの?と心で思いながら、缶コーヒーを神様に乾杯の動作して、いただきますねー。次はコーヒーも持って来ますねー。と声をかけると、S本パパは笑う。

 もうそうやって気軽に神様にご挨拶する人は貴重ですよと笑う。いや、人であってもお礼とか言うじゃないですか…とか何とか話して、結末を聞いた。

 問題のN田君。某地方都市へ出張した時にどうやら連れて来てしまった。しかも美人だったらしい。美人の彼女はN田君が優しそうだったから、ついて来たと言う。
 問題はもう1人の玄関の女性。コチラは生き霊だったらしい。
 お亡くなりになって、100年弱の美人さんは無事に御霊となり上がっていただけ…生き霊の方はもう家に入れないよう、N田君に近づけないよう御守りなどを渡したらしく…定期的にメンテナンスが必要なこと。その生き霊を出している張本人は今すぐにではないけど、そのうち「返り」があると思いますよ。を笑っていた。

S本パパを知る

 この話を書くに当たって、S本パパのことを少し調べると…知る人ぞ知る宮司さんらしい。あー…だから、なんか聞いたことある神社だったんだ。と腑に落ちた。今は好々爺のような感じで、神社を時々掃除している人。

 Sパパはコーヒーが好きな人で、私は兎角…よく会う。でも他の人に聞くと、滅多に会えないという。
 参拝でも会うし、神社に電話したら出るよ?...えー、社務所も息子さんの代になってからは、いないじゃなーい。とご近所さん。こうしている今でも時々、修行で山に行くらしい。これ書くために先週電話したら…いたんだけど、昨日山から降りて来たとか言っていたな…。



八山さん家の怪談
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(注意)
この作品は鉢山家の怪談…八山法龍が個人的に体験したことや聞いたお話になります。登場人物などは特定されないよう、偽名・イニシャルなどを使用しています。また場所や地域・ご神仏などを特定されないためにしておりますので、これを読んで勝手な憶測で他人様のご迷惑などないようによろしくお願いいたします。

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