【実話怪談ですよ04】柱時計と幽霊と…(1)
私が子どもの頃、柱時計がとても不思議でした。
動かなくなると、母が鍵のようなものでゼンマイを巻く。柱に戻して、下の振り子を揺らし始めると…また動く。
ただ我が家の柱時計は時を告げるボーンという音は鳴らず、ただカチカチと音が響くだけ。
と、まぁ…
ノスタルジックな思い出に浸りつつ書いておりますが、今回は我が家では鳴らずのボーンという音にまつわるお話でございます。
メッセージが来たら
だいたいは頼みごと。お誘いなどは決して来ないのが八山家の特徴です。今回もたまたまメッセージが来ていたので、見てみたら私と電話で話したいとのこと。相手は後輩のN田君。
珍しい…。
このN田君は、前の部署で一緒だった。何故か私と話すと緊張するらしく、あんまり話したことがない。飲み会か部署BBQだったかで、お互いに買出し係となり…連絡先交換した以来のメッセージ。
そんなに仲良かったかな?とか、冷たいことは考えずに読む。
内容は他の人には相談し難いことなので、私に相談したい。共通の社内知り合いのWさんから私に話してみては…と言われたことが書いてあった。
Wもそんなに仲良かったかな(笑)。
ひとまず…
N田君に返信。2〜3回やり取りをして、電話で話すのも何だし…会うことにした。たまたま現在N田君のいる支社に私が行く用事があったので、その日の終わりに待ち合わせ。
Wも一緒に来てた…会ってからWから同期入社だったと言われ、思い出す。すまん、すまん…と忘れていたことに謝りつつ、個室のある焼き鳥屋へ。オッさん3人…毎度あり〜♪
とりあえずビール
奢りというので遠慮なくビールをお茶代わりに飲み干す。相変わらず、凄いピッチと二人とも驚いていたが…まぁ、外以外は飲まないし、いいや(笑)。
適当に注文した品が来て、ボチボチと食べる二人。私はガツガツ・ゴクゴク。帰宅時間も考えて、店員が消えたな…と感じた瞬間、切り出した。
最終までに間に合うよう話して
Wは笑うが、N田君はハッとした顔になり…ポツリ、ポツリと話し出した。とりあえず新人研修の時に担当した時、イメージが厳しいということらしいので、緊張してる。
要約すると、今の支社配属になり引越し。3Kの古い団地が当たったらしく、早4年経過。生真面目に仏壇があり、そこには早くに亡くした父。毎日朝晩と2回、線香を立てて報告したり、返事は無くとも相談したり…話しかけるらしい。意外に古風な習慣を継続しているのは、感心した。
そんなある晩、仏間と化した和室にある押入れからボーンと音が聞こえた。その日は残業していつもよりやや遅めの線香。
ん?と左横にある押入れを見る。気になり、開ける。何も変わったことはない。
気のせいかと、また仏壇に向かって拝む。
ボーン、ボーン…。
これは気のせいと思い込んで、拝むと…
ボーン、ボーン、ボーン…。
明らかな柱時計の音にハッとなり、これは気付いていると分からぬようにしなければと本能で感じたらしく、いつも通りに拝む。
ボーン…
今度は柱時計の音と共に誰かの話し声。
何を話しているのか分からないけれども、人が話している声まで聞こえたそう。
ところで…
それだけか?と私は話し終えたN田君に切り出す。へ?と間の抜けた顔になったけど、だから、それだけか?と改めて確認する。
しどろもどろになって、はぁ、それだけで…その後、2回ぐらい玄関に知らない女の人が立っていたぐらいでと答えていた。それが1ヶ月ぐらい前の話らしい。
ふーんとグビグビとビールを飲みながら聞いていた。Wもやや慌てている様子だったけど、目に入っていないフリをして、
で、どうなの?どうしたいの?
イマイチ、私のセンサーが反応しない。いや、だから…と今度は二人ともしどろもどろ。そんなこと聞かされても、緊迫感はないわ、その後は2回ぐらい知らない女性が玄関にいて、消えただの…もうそれからは何もないとか。
たまにはそんなことも人生長けりゃ、あるんじゃない?と私は唐揚げをつまみながら答えた。
(「柱時計と幽霊と…(2)」へ続く)
八山さん家の怪談
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(注意)
この作品は鉢山家の怪談…八山法龍が個人的に体験したことや聞いたお話になります。登場人物などは特定されないよう、偽名・イニシャルなどを使用しています。また場所や地域・ご神仏などを特定されないためにしておりますので、これを読んで勝手な憶測で他人様のご迷惑などないようによろしくお願いいたします。
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