episode0 じいや六十にして立つ
さかのぼる事平成も残すところあと僅か、2019年4月29日、ここは八幡原(ハチマンバラ)じいやの家、じいやの還暦の祝いに甥っ子2人と姪っ子1人の3人兄妹が集まってくれた。食卓には海鮮太巻き、刺身、山菜のてんぷら、ワシが好きな〆張鶴、君の井、越の誉などの銘柄の日本酒がずらりとならんでいる。
料理は甥っ子と姪っ子達が作ってくれた。
8年前まさか60歳まで生きられるとはじいやは思っても見なかった。
じいやは今日あることを3人に伝えようと決めていた。
じいや「実はみんなにお願いというか、聞いてほしいことがある。」
ずみ美「なに、じいや改まって?」
じゃる太「金とかは貸さないよ」
じいや「ばっ、ばかなことを言うな。ちょっと真剣な話じゃ」
ずれお「はい、まずは黙って聞きます。どうぞどうぞ」
じいや「・・・・・・」
じいや「・・・わしがこうしていられるのも、お前たち3人のおかげじゃ本当に感謝している。」
ずみ美「ちょっ、ちょっと、じいや泣かないでよ。」
じゃる太「呑み過ぎだな」
じいや「す、すまん。8年前・・・。ハルちゃん(妻)を無くしてから生きる意味を見失ったあの時。ワシをずみ美が救ってくれた。」
ずみ美「うん、赤レンガ倉庫の帰りに根岸の家に寄ったらゴミ屋敷になってて驚いた件ね」
じいや「そうじゃ、あの後電話くれたじゃろう。じいや新潟に戻っておいでよって。」
じいや「それからずれおとずみ美の2人でわしの家にきてくれた。そしてゴミを処分してくれた。」
ずれ男「GWの3連休使って。」
ずみ美「そうね。」
じいや「わしとハルちゃんには子供ができなかった。だからお前たちを我が子のように思っていた。わしのためにここまでしてくれたことがなにより嬉しかった。・・・・・」
ずみ美「うん、まず泣かないでね」
じいや「年取ると涙腺がゆるくなるんじゃ」
じいや「それで根岸の家を処分して、新潟に戻ってきて本当に良かった。」
ずみ美「うん、私達もホッとした。落ち込んだじいやを見ていられなかったから」
じいや「それから寂しいワシを気遣って3人がよく遊びにきてた。そして、この部屋でお前たちの話を聞いてる中で徐々に元気を取り戻してきたんじゃ」
ずれお「まぁ僕らも暇だったし、実家だと話しづらい。」
ずみ美「ずれにい、余計よっ。私達、ハルちゃんとじいやが大好きだったし、この部屋も居心地いいし、たまり場にしちゃってごめんね。」
じいや「いやむしろ助かったんじゃ、こうして還暦を迎えられたのは、いろんな人の支えもあったが、日々頑張るお前たちを見ていて前を向こうという気持ちになれたからじゃ」
じいや「本当に感謝している。」
ずみ美「うん、それでお願いってのは何?」
じいや「実はこの部屋で語ってくれたことやこれからお前たちの成長を記事にして発信したいと思っておる。」
じいや「そうくると思ったよ。もちろん、個人名は伏せてアダ名で紹介する、以前のワシのように、立ち止まって動けなくなっている人、これからの自分を変えていきたいと思っている人に向けて、お前たちの話を通して、みんなも頑張っていることが伝わることで救われる人もいると思ってな」
ずみ美「その話どれだけの人が読むかわからないけど、匿名ならいいわ。なによりじいやがそれが生きがいになるなら」
じいや「ずみ美ありがとう」
ずみ美「ちなみに、やすべえコーチも登場する?」
じいや「もちろんじゃ、お前たちの成長に欠かせないからな、話をしたら承知してくれた。お前たちのお父さんやお母さんも承知してくれた。」
ずれお「僕もかまわないよ。じいやがやりたいことやるべきだ。」
じいや「ありがとう」
じゃる太「俺は持ち帰らせてほしい、家族もいるし、あーちゃん(妻)にはせめて確認してから返事させてくれ。」
じいや「もちろんじゃ、無理強いはできないからな。」
その後、じゃる太も了解してくれ、
こうして新元号からのワシの新たな活動がはじまった。
20190516