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リテール金融(キャッシュレス・ネット銀行・ネット証券)の競争環境と経済圏
みなさんこんにちは。バンドルカードというVisaプリペイドカードサービスを提供している、㈱カンムの@8makiです。今までマニアックなFinTech話を展開してきましたが、もっと裾野の広いことを書いていきますシリーズ。と言いつつ、FinTech/金融機関の人からの反響しかないため、裾野広げはあきらめつつあります。
#1 生活を変えてきたFinTechサービスとその系譜
#2 日本のキャッシュレス決済の歴史
#3 なぜデビットカードが日本で普及しないのか?
#4 FinTech事業はBSの勝負
#5 FinTechとは何なのか?
#6 リテール金融(キャッシュレス・ネット銀行・ネット証券)の競争環境と経済圏
これまでは金融・FinTechの一般論と言うか、歴史といった抽象的な話が中心でしたが、今回は具体的な各社の戦略、事業の動きを分析します。
2/6に行ったイベントの資料を公開し、ポイントを解説します。データが少々古いのですが、後日Updateしていこうと思っています。
各リテール金融ビジネスのビジネス構造をおさらいして、どういう競争環境なのか、経済圏の話も交えて紐解いていきます。 下記のような領域について、各業界の代表企業の売上/利益の事業ごとの比率、戦略、競争軸を整理して、各社の経済圏構想の中でどういう役割を担えるか?等を考察したいと思います。
キャッシュレス
まずクレジットカード会社の収益モデルについて比較しています。基本的にカード会社の収益(特にイシュア中心)は大きく変わりません。30-40%が加盟店手数料で、30-40%が分割・リボ払い・キャッシングの金利収益となります。これらが売上の2/3以上を占めます。あとは年会費や提携カードからの収益あたりでしょうか。
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ここでは競争軸を4つに分けて各トピックをまとめています。
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特に家賃保証は各社力を入れていて、馬鹿にならない規模になっています。エポスでは新規会員の35%が家賃保証経由の会員となっていると計算しています(本当か?)。なお、10年ほど前からクレジットカードと家賃保証の相性の良さは証明されています。借主が賃貸物件を申し込む際、今ではほぼほぼ家賃保証に加入しますが、その時保証会社のクレジットカードを発行し(個人与信という点で一緒)、そのカードで家賃を払えるというもの。
借主は家賃をカード払いできてポイントが貯まる(家賃保証会社のカードに絞られるが)
貸主は家賃保証という形で借主に手数料を転嫁してカード払いに対応(オンアス取引なので原価はかなり低い)
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また、先日三井住友カードからVポイントが正式にリリースされましたが、マーケティング支援支援・データ事業にも注力されています。docomoもマーケティングソリューション事業として既に460億円/半期の売上を達成していました。三井住友カードはアクワイアリングも強く、加盟店の売上データを持っている。docomoは消費者の位置情報やdポイントのデータがユニーク。さらに、各社アンケート調査会社との提携や買収も積極的に行っています。
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ネット銀行
ここでは各社の数値を比較しています。ネット銀行は、カード会社と違って全くビジネスモデルが違っており、その違いが数値にも現れています。
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例えば住信SBIネット銀行は住宅ローンが収益の柱です。かたや楽天銀行は楽天カードの買入金銭債権の収益が大きい。これはイオン銀行も同様でした。グループ内のクレジットカードが強いとこの傾向があります。またセブン銀行はATM手数料が主な収益源となります。
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ネット証券はCOOの清野が詳しいマンなので、ここでは割愛。(詳しすぎて勝手に書けない)
経済圏
最後に、各経済圏について整理しています。各社の提携や資本関係も図示しています。
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また別視点として、経済圏の出口=マネタイズポイントを金融と置いた場合、金融事業の規模感の比較も行っています。
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この結果がどうもたらされたか?について、相性の良いクロスセルの導線を長い時間かけて育ててきた楽天、という結論を清野と会話して結論付けています。
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要は太いクロスセルを作るため、ただリンク貼ったりポイントで釣ったりといったことではなく、本質的にユーザーニーズに合致した動線として作り込めるか?その点で、まだまだ大手経済圏の中でも試行錯誤中なのだと感じます。現状見えているのは、ECといった商圏からカード/キャッシュレスへつなげる導線は太いということで、ここの競争が一定一段落したのが今で、他にどういう導線が生きるのか?がこれからのテーマになりそうです。
なお、昔違う切り口で経済圏について分析したものもあるので、こちらも参考にしてみてください。
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