vol.6 デザインだけを変えても意味がない。【警固神社】
経営者とブランディングデザイナー西澤明洋が対談し、ブランドの成長ストーリーを振り返りお届けするシリーズ「BRAND STORY」。
執筆・編集 加藤孝司
撮影 トヤマタクロウ
安土桃山時代から江戸時代にかけての武将、福岡藩初代藩主黒田長政とその父如水父子が福岡城を築城するにあたり、1608年に現在の地に社殿を移築してから412年の歴史をもつ警固神社。福岡県髄一の繁華街である天神の中心にあり、幅広い年齢の人たちが手を合わせる身近な神社として親しまれている警固神社がリブランディングしたのが2016年。全国的にも珍しい神社のブランディングとして大きな注目を集めた。
このたびのリブランディングでは神社にとってシンボルである造営当時から使用されてきた社紋も刷新。なぜ400年以上の歴史ある神社がブランディングだったのか。その背景について大いに語ってもらった。
なぜ神社がブランディングだったのか?
ーー神社のリブランディングとは、あまり聞いたことがないのですが、その経緯を教えてください。
前田:6年ほど前に博多の経営者の集まりである「博多21の会」で、ブランドコンサルティングをされている永島ブランディングファームの永島さんという方にお会いしました。ですが、一神職からしてみれば、デザインもブランディングもぴんとこないわけです。それで永島さんに話を聞いておもしろそうだなと思ったのがきっかけでした。
ーー日本各地にはその土地に根付いた神社があって、その場所ならではの地域性や風土、祀っている神様の謂れや違いなど、言いかえればそれがその神社のブランディングともいえるもので、それにより自然と差異化がなされてきているのかなと思うのですがいかがですか?
前田:そうですね。それと現代では全国的に有名な神社さんには代理店などが入り、お祭りの仕込み等をされているということもあるそうです。
西澤:こういうと不謹慎かもしれませんが、信仰自体「信じる」という行為そのものがブランドの究極系ともいえるかもしれません。僕らは前田宮司からお話をいただいたときに「やりたい〜」とすごくドキドキしました。
前田:それで永島さんにご紹介をしていただいたたエイトブランディングデザインさんのサイトを拝見しました。大きな企業とお仕事をされているのをみて、私どもは街の小さな神社ですから、分不相応と恐縮してしまいました。
西澤:いえいえとんでもないです。僕たちとしてもやったことがないことにトライしたいという思いがいつもあるのと、宮司はさきほどデザインはわからないとおっしゃっていましたが、たぶん分かってらっしゃる。デザインお好きなんだなとお会いしてすぐに思いました。言い方は違うかもしれませんが、日々のお勤めや、お詣りされる方をどう迎えるかなど、宮司の日々のお仕事がデザインの行為そのものに近いんじゃないかと思いました。
前田:具体的に形や状態をつくることで、何か目指すところがあるというのはそうかもしれませんね。
西澤:たとえば場を清めることや、お作法もデザインだと思います。それと宮司はアルトサックスという音楽のご趣味もお持ちですよね。
ーーそうでしたか。でも、前田宮司はそもそもなぜブランディングデザインをされようと思ったのでしょうか?
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執筆・編集
Photo:Takuroh Toyama
加藤孝司 Takashi Kato
デザインジャーナリスト/ フォトグラファー
1965年東京生まれ。デザイン、ライフスタイル、アートなどを横断的に探求、執筆。2005年よりはじめたweblog『FORM_story of design』では、デザイン、建築、映画や哲学など、独自の視点から幅広く論考。休日は愛猫ジャスパー(ブリティッシュショートヘアの男の子)とともにすごすことを楽しみにしている。http://form-design.jugem.jp
撮影
トヤマタクロウ
1988年生まれ。写真集や個展での作品発表を中心に、クライアントワークにおいても幅広く活動。http://takurohtoyama.tumblr.com
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