vol.5 顧客体験重視の発想から生み出す本質的なブランド力【SOU】
経営者とブランディングデザイナー西澤明洋が対談し、ブランドの成長ストーリーを振り返りお届けするシリーズ「BRAND STORY」。
執筆・編集 加藤孝司
撮影 トヤマタクロウ
リユース業界で独自のCtoBtoBビジネスモデルを確立し業績を伸ばしているSOU。代表取締役社長の嵜本晋輔さんは、17年前までサッカーに情熱を燃やすJリーガーだった。だが21歳という若さで戦力外通告。人生最大の大きな挫折を経て立ち上げたのがSOUだった。
常識にとらわれない発想で、次々と新しい事業を立ち上げ、リユース業界で唯一無二の地位を築いてきた。それを支えてきたのは、人の思いに寄り添った接客重視の買取りだった。
そんな嵜本さんはどのような経緯でリブランディングに取り組んだのだろうか。ブランド品リユースに特化した背景、そしてデザインに何を求めたのかなど、エイトブランディングデザイン代表の西澤明洋とたっぷり語り合ってもらった。
共創することで世の中にない価値を生み出す
ーー今日はよろしくお願いします。嵜本さんはリブランディングについてどのような印象をお持ちでしたか?
嵜本:この仕事を始めたある時期から、いつかは自分たちのブランドというものをつくり上げていかなければならないとは思っていました。ですが当時は私自身が買取りの現場にでていたり、がむしゃらにやっていましたので、しっかり向き合うことができていませんでした。そんな中、改めて経営について考え始めたときに、対外的にも社内にも、これまでつくり上げてきたものを、きちんとみせていくべきだと思うようになりました。そのためにもブランドというものをしっかりつくり上げていかなければならないと考え、情報収集していたときに手にとってしまったのが、西澤さんの「ブランドのはじめかた」という本だったんです。
西澤:ありがとうございます(笑)
嵜本:私自身、正直ブランドのブの字も分からないような状態でしたので、西澤さんの本を読ませていただき、自分なりにブランドってこういう考えで、こうやってつくっていくんだと勉強させていただきました。それで、西澤さんに相談しようと思ってメールを書いたのですが、メールを送る前にビビってしまって実はその時には送らなかったんですね。
西澤:あら、そうだったんですね。それはなぜですか?
嵜本:当時は「NANBOYA(現:なんぼや)」という買取専門店が事業のメインでしたが、その時はまだ西澤さんにお見せできる段階ではないと思っていて、その質を上げてからあらためてと考えていました。その後、設計事務所「KAMITOPEN」さんに店舗のデザインを手がけていただくことになり、こういう悩みを抱えているとご相談したところ、偶然にも西澤さんのお話になりました。そこで以前手にとった本と繋がり、ぜひご紹介してくださいとお願いして西澤さんのオフィスにお伺いすることになったんです。
ーーそれは最初に本を手にしてからどのくらい時間が経っていたのですか?
嵜本:1年ほどです。あと、あのとき西澤さんにメールを送らなかった理由がもうひとつあって、ちょっと敷居が高かったんですよ。
西澤:そうでしたか!全然高くないのに。
ーーそれはWEBのデザインに関してですか?
嵜本:それもそうですし、ブランドというものに関する見せ方でした。拝見していて、西澤さんの「重鎮感」が出ていたんですね。
西澤:駆け出しやのに(笑)
嵜本:いえいえ。それで、そのときは自分自身もう少し自信をつけてから行こうと思い仕切り直しをして、そのタイミングが来たと思ってご相談に行きました。
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執筆・編集
Photo:Takuroh Toyama
加藤孝司 Takashi Kato
デザインジャーナリスト/ フォトグラファー
1965年東京生まれ。デザイン、ライフスタイル、アートなどを横断的に探求、執筆。2005年よりはじめたweblog『FORM_story of design』では、デザイン、建築、映画や哲学など、独自の視点から幅広く論考。休日は愛猫ジャスパー(ブリティッシュショートヘアの男の子)とともにすごすことを楽しみにしている。http://form-design.jugem.jp
撮影
トヤマタクロウ
1988年生まれ。写真集や個展での作品発表を中心に、クライアントワークにおいても幅広く活動。http://takurohtoyama.tumblr.com