彼女のネイルケアを怠るとこうなります
それに気付いたのは、先日お空に昇った「あかさん」の葬儀の準備をしている時だった。
あかさんの姉妹である「きいろさん」が、左前足を浮かして、歩き難そうにしているのだ。
準備の手を止めて、きいろさんの左前足を触ってみると、なんと、逆側の足の倍ほどに膨れあがっているではないか…
葬儀の準備の中、僕は重なって起こった「不幸」に、軽く目眩を覚えた。
そう言えば、その二日前ほどから、何となく歩き難そうにしていたかも知れない。しかし、当時の僕は「あかさん」の看病に必死で、きいろさんまで気が回らなかったのだ。
この腫れ、歩き難そうにしている感じ…
あかさんの看病の時、彼女にはまず沢山栄養を摂らせて、血糖値を上げる事が優先的な課題であったから、毎晩毎晩、抱っこしてはシロップを注射器で口に注いでやったり、ちゅーるを舐めさせてやったりしていた。
その様子を観ながら、きいろさんは、相当に羨ましい様子で、二階建ての大きなケージの中を、バッタンバッタン激しく音を発てながら上階下階と行き来していたのだ。
そのケージの上下運動の時に、手首を痛めたか折ったかしたのかも知れなかった。
結局その日は、葬儀の後、僕は職場に直行だったので、きいろさんの病院は、翌日の事となった。
急いで帰宅して、ペット用のキャリーバッグに収まったきいろさんを連れて家を出たのが夜の7時前。病院が閉まる45分前だった。
平日の夜なので、患者は少なく、思いのほか早く診て貰えた。
先生が軽くきいろさんの手を曲げると、人間で言うところの掌に当たる中央の大きな肉球の一部に小さな穴が開いて、そこから大量の膿が出て来た。きいろさんの人間で言うところの二の腕に当たる部分から、前足に向けて、歯磨き粉のチューブを絞るような感じで、先生がきいろさんの腕を押して行くと、後から後から膿が出て来た。
「多分、ケージのどこかに尖った部分があってそこで傷が付いたか、自分の爪で引っ掛けたか、じゃないかなあ」と、先生。
確かに古いケージだから、どこかが脆くなって尖った部分が出来てたのかも知れない。
きいろの膿を出し切ると、先生と看護士さんが手早く薬を塗ってガーゼを貼り、その上からテーピングしてくれた。続けて、四本の足全ての爪を、パチンパチンと素早く切ってくれる。
情けない話だけれど、4匹の同居人のうち、僕に大人しく爪を切らせてくれるのは、三つ子の末っ子担当「あおさん」だけなのだ。
彼女は、同居人の中で一番大人しく、滅多に引っ掻いたりしない。
しかし、他の子たちは、激しく引っ掻くか噛み付いて来るので、僕はなかなか手が出せないのである。
特に、今回傷が膿んでしまったきいろさんには、彼女がまだ小さかった頃に両手をズタズタにされた事があり、切ってあげたい気持ちはやまやまなのだが、トラウマが邪魔してなかなか踏み切れない。
踏み切れなかった結果、左前足を膿ませてしまったのだから、情けない事である。
その後、
きいろさんの傷は、三日目の夜にテーピングとガーゼを外した時にはまだ膿んでいたが、五日経った頃には傷も乾いて、彼女は以前のように両の前足を地面に着いて歩けている。
勿論、まだ一週間くらいは、注意深く経過を観るツモリだけれど。
先生も言っていたが、骨折だったらなかなか治るのに時間も掛かったし、変な話、傷の化膿で助かったとも言える。勿論、抗生剤が効いて化膿しなくなったからこそ言える話だけれど。
ちなみに、ケージを調べたけれど、劣化して尖った部分などはなかった。
やはり、自分の爪か、他の子達の爪で傷ついたかだと思う。
季節柄、激しくなって来た彼女らの盛りの声を聴きながら、どうやって爪切りを攻略しようかと僕は今、頭を悩ませている。
タイトル画像:https://pixabay.com/
画像製作者:Daga_Roszkowska
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