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ビタミン・カスケードの話
カスケードというのは、たまに聞く単語ですけど、意味は「段々滝」だそうです。
段々畑…じゃなく、滝。
一番上に注がれた水が、滝の一番下の段に、すべてたどり着くかというと、そういうわけではありません。
1.アミノ酸は20種類
わたしたちの体の中でタンパク質を作る、原料になるアミノ酸。
たった20種類ぽっちしかありません。
それで作られるタンパク質の種類は、なぜか10万種類もあるそうです。
桁がおかしくね?
と思うのですが、タンパク質には、アミノ酸を100個も連ねて作られるものもあるので、そういうことになるそうで。
2.個人差の栄養学
私の身体と、あなたの身体。
同じアミノ酸を投げ込んでみたところ、優先的に作るタンパク質は異なります。
きっと大食いの私の場合、消化酵素を優先的に…つまり段々滝の上の方で作るでしょうし、
あなたの場合は、免疫細胞を優先的に作っているかもしれない。
どれを優先的に作るか、人それぞれらしいです。
まったく同じ環境にもいないし、DNAも違うんで、それは当然そうなるんでしょう。
しかし、一つ共通点がある。
それは、段々滝が、3000段もあるということです。
3.3000段の段々滝
10万種のタンパク質が、身体の中で合成されているわけですが、その合成の過程…化学反応が3000種類以上あるそうです。
3000とか気が狂いそうですね。
3000段の段々滝…を全部クリアしないと出来上がらない、やっかいなタンパク質もあるってことです。
1段階で合成できるタンパク質もあるかもしれませんが、2段階、3段階を経てやっと合成できるタンパク質、3000段全部行かなきゃ合成できない、複雑なタンパク質もある…
100個のアミノ酸が組み合わさってできるタンパク質とか、そんな感じかもしれません。
4.めったに作られないタンパク質がある
流れ落ちる水量が少ないと、上の方の水車は良く回るかもしれないけど、下の方の水車は動かない。
つまり、滅多に作られないタンパク質ができてしまう…
腎臓とか、すい臓とか、再生しにくいようですが、そういった臓器の素材になるのは、そんな作られにくいタンパク質かもしれませんね。
逆に考えたら、そういったタンパク質も、ひょいひょい合成するためには、そもそもの水量を増やしたらええんやない?
5.ビタミンカスケード理論
ビタミンカスケード理論というのを言い出したのは、分子栄養学の三石巌先生(故人)
かつて私の妻は、とても風邪をひきやすい体質だった。一方、私は六十歳のときに白内障を患っている。何十年も同じような食事をし、同じようにビタミンを摂取しているのに、私は滅多に風邪をひかないし、妻は白内障にならなかった。
つまり、私は風邪を予防する水車が上のほうにあり、妻は白内障を予防する水車が上のほうにあったわけで、そう考えればつじつまが合う。
ミリグラム、マイクログラム単位でしか必要がないと、誤解されているビタミン。
でも、そのビタミンの量で、1000段水車の一番下まで十分回転させられるような水量にはならない。
下のほうにある水車は、いつも水不足。いつまでも弱点のまま。
加齢が進めば、いつか病気として芽吹いてしまう。
"大量に摂って、身体に必要な量を超えたら無駄になる"
無駄を嫌う人は、そう考えるかもしれない。
でも、ピンポイントで、10万種類のタンパク質の「どれ」が不足しているのか。そのタンパク質を作るために、「どの」ビタミンをえらんで摂ればいいのかが分からない。
それとも、ゲノムが解読し終わった今なら、分かるのだろうか。
もし、それが分かるなら、もっと多くの病気が、理論的には予防可能になっていそうなものだが、そんな素敵な話はついぞ聞かない。
あまり期待せず、ビタミンは、サプリでガッツリとったほうが良さそうだ。