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【エッセイ】荷物運ぶだけで高収入!?③

#有料記事書いてみた #昔ばなしのエッセイ#独り立ち編

気がつけば地獄の2丁目前

先輩との同乗期間を無事終え、私は独り立ちを果たした。
それからは毎日があっという間に過ぎ、必死になって集配業務を覚えた。

集配とは荷物を集める「集荷」と荷物を配る「配達」のことである。
どちらも重要だがセールスドライバーの名の通り、営業して新規集荷を獲得することが重要なミッションのひとつだ。

その為、基本的には個人宅の配達は赤帽のような宅配専門の事業者に委託し、私たちプロパーのドライバーがトラックで商業貨物を配達する。

配達は集荷のありそうな企業や事業者との良きビジネス関係を築く為、優先的に配達順を早めるなどの工夫をする。

その裁量は担当ドライバーにあり、集荷を増やす事がそれぞれの売上と評価につながり、ひいては企業全体の収益に結び付く。

ところが、新人のうちは全く余裕がなく新規営業などできない。
新規集荷先が出来ると業務が増え自分の首を絞めることになる。
まずは焦らず既存の集配業務を完全にこなすことからだ。

既存の集荷先にも定期と電話の2種類がある。
毎日必ず立ち寄る取引先が定期集荷先で、集荷がある時だけ電話連絡をくれる取引先が電話集荷先だ。

毎日担当コースの集荷をすべて終えるのが大体、夜8時過ぎだ。
会社に戻り、荷下ろし場に自分のトラックを着車させ、全ての集荷荷物を自分でベルコンに乗せて発送業務を完了させると夜9時を回る。

その後、配達伝票や集荷した荷物の運賃請求伝票の提出をする。
さらに代引きや集金業務があった日は現金バッグの清算業務と入金伝票の提出もある。 

毎日朝6時に出社し、夜10時の退社まで働きに働いてヘトヘトだった。
休みは泥のように眠るだけなのだが疲れが取れず体のあちこちが痛んだ。

休日明けの出勤はかなり憂鬱だった。
もう辞めたいと思わない朝は無かった。

だが運命は容赦なく私を地獄の2丁目に引きずりこもうことしていた。

サッカー小僧の不徳が招いた報い

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