【エッセイ】荷物運ぶだけで高収入!?②
#有料記事書いてみた #昔ばなしのエッセイ#研修後の配属偏
闇バイトじゃないのに超ブラックだった
「オラー新人、早く荷物引け!声出しごっこの研修に行ったくらいでいい気になってんじゃねえぞ」
運送会社での厳しい現場業務が始まった。
研修を終えた新人は担当コース配属前にまずホーム作業から覚える。
運送会社は基本的に荷物をトラックからトラックへと積み替えるターミナル機能がある。
このターミナルの作業場が通称『ホーム』だ。
荷下ろし場と呼ばれる荷捌き所に到着した大型トラックの荷台からベルコン上に荷物がどんどん乗せられていく。
ベルトコンベア、略して『ベルコン』である。
ベルコンの下流にはそれぞれの担当者が担当エリアの荷物を引いてローラーに乗せて仕分けるのである。
例えるなら魚の背骨がベルコンで枝骨が各ローラーとなる。
神経を集中させ流れてくるベルコン上の荷物の荷札住所を見極めて自分のローラー上に引かなくてはならない。
見落としたり連続で荷物が流れてきた時に素早く引くことができないと
詰まったり見送り荷物が増えたりするのでベルコンを緊急停止させてしまう事になる。
すると冒頭のように怒鳴られる。
何しろ全員が屈強な男たちで迫力があって怖い。
怒鳴り声ばかりの職場だ。
「どうせ新人なんかすぐやめちまうんだろ。金欲しいだけの勘違いした奴増えたよなー」
「借金もねぇ若い奴なんかが続くわけねーだろ。なめんなよ」
これまで新人が入っては辞めて、を何度も繰り返したのだろう。
誰も新人なんかに期待する様子はない。
―ちくしょう、自分たちだって新人だったくせに。絶対一人前になってやる。
だが先輩方に認められるまでは時間がかかるのだ。
この仕事は覚えることも多く、体力と頭の回転と要領の良さに加え鋼のメンタルが必要で一筋縄ではないことが段々わかってくる。
新人研修を終えて支店に戻ってもすぐ辞めてしまう燃え尽き症候群も珍しくなかった。
いよいよ地獄の1丁目
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