一番好きな料理は?という質問
「パパが作る料理で、一番好きなものはなあに?」
子どもと一緒にいるときに、他の子の親御さんと話していて実は料理をするんだよという話題になると、結構な頻度でこの質問に出会すことになります。そしていつもわたしは冷や汗をかくんです。
料理をするといっても本当は時々しかしていなくて……というわけでも、得意料理がインスタントラーメンだ!……というわけでもありません。
我が家での食はほぼわたしに委ねられている、というぐらいには料理をしています。
そんな父親を尻目に、息子はいつも意気揚々とこう答えるんですよ。
「カツオ節醤油ご飯!」と。
そして質問者、概ね主婦である方々は「そうなんだ~!?」と息子に声を掛けながら、横目でわたしに何かを訴えかけてくるんです。
そう、眼で「口ほどにもないわね。」とか「子どもは正直よね。」といった感じで。
息子が小さいときならいざ知らず、小学校に上がってからも毎度これでは流石にわたしのプライドも傷付くというもの。
そこで今回は「何故その答えが導き出されたのか?」ということに対して解説という名の盛大な「言い訳」をしてみようと思います。是非皆様の好きな料理を思い浮かべながらお読み下さいませ。
さて、そもそもの大前提になりますが、「カツオ節醤油ご飯」は決して美味しくない訳ではないですよね。
カツオ節と醤油。こんなに日本人に馴染む味はないでしょう。うちの子は決して変なことを言っている訳ではないのです。
では何故わたしのプライドが傷付き、他の方からは軽く見られてしまうのか。
それはひとえに大人の料理に対する価値基準が美味しさだけではないからなのでしょう。
素材の稀少度・価格、調理の手間・技術、そういったところへの評価が大きいのだと思われます。舌で味わうのではなく脳で味わっている感じですね。
この点において「カツオ節醤油ご飯」はどの項目も低評価になってしまう事になります。
しかし、例えば「幻のカツオ節使用!」といった文言が付与されると、不思議と評価が上がったりしますよね。
子どもはそういった後付けの知識がない分、純粋に味を評価しているのだと思います。
それにしたってオムライスだとかカレーだとか、せめてまだ「料理と呼べそうなもの」を挙げて欲しいと願う親御さんもいるでしょう。例に漏れずわたしもその1人です。
そこでまた大人との料理に対する価値観の違いに触れていくのですが、大人は如何に美味しいものでも同じ料理が頻繁に続くことを好まない傾向にあると思います。
子どもはそんな事はありません。美味しいと感じるものはいつでも希望してきます。
「カレーが食べたい!」
「ええ?でもこの間食べたじゃない。」
なんていう会話を経験してきたお母様方はきっと沢山いらっしゃると思います。
子どもにとっては頻繁に食べられることも大事なのでしょう。そういった積み重なる記憶も高評価の要因であると考えます。
よって、子どもにとっての御馳走とは、食材に拘り手間暇掛けて調理をしたものではなく、単純に美味しくて頻繁に食卓に上るものだと推察できます。
我が家ではお弁当のご飯部分はほぼカツオ節醤油ご飯であり、休日のお昼ご飯も高頻度でそうなるので、うちの息子の好きな料理がカツオ節醤油ご飯になってしまうことは必然ですね。
納得です。見事なまでに腑に落ちました。
余談ですが、つい先程息子にこの質問をしてみたところ、首位には今日の晩御飯に食べたチャーハンが輝きました。カツオ節醤油ご飯は次点だそうです。
好物が競っている場合、より最新の方が記憶に残っていて選ばれるのだと思います。
ということで、もしこの質問がぶつけられることが予測されたときは、直近で答えて欲しい料理を振る舞っておくと望みの回答が得られるかもしれませんよ。
氣になる親御さんは是非お試し下さい。