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青猫太郎物語外伝 魔王ヘイヨー②

青猫太郎物語外伝、前回はこちらから



ヘイ「さて、とりあえずはこちらにも仲間が欲しいですね。コジクサ、いい具合に道を踏み外していそうな人物の噂などありませんか?」

コジ「イマオカレテイルカンキョウニ、アラガウモノナラバイル。ソノナハのあ。」

ヘイ「ノア?男ですか、女ですか?」

コジ「ジショウぱつキンノオジサントイッテイルガ、オンナダ。」

ヘイ「とりあえず会いに行ってみますか。場所はどこに?」

コジ「シラベナクテモネンジレバイドウデキル。アイタイトツヨクオモエバカノウ。」

ヘイ「!?コジクサ、いったい何を…。ああ、そういうことですか。」

神か、まったく余計なことを。まあ貰える能力は貰っておくか。少年は目を閉じ、強く念じてみた。

そして目を開くと、そこは見知らぬ家の中であった。

ノア「…ちょっとアンタ、いったいどこから入ってきたの!?いきなり人の家に…。というか、急に現れなかった!?」

ヘイ「ん~、君がノアちゃんですか?もっとダミ声かと思っていたのに、想像と違いますね。」

ノア「いきなり失礼ね!っていうか、アンタ何者なのよ。」

ヘイ「僕はヘイヨー。この世界を破壊したいと願う者です。君も同じようなことを考えていると聞いてきたんですが。」

ノア「世界を壊す!?本気で言ってるの?わたしがそんな事考えている訳ないじゃない。」

ヘイ「…いや、それは嘘ですね。少なくとも現況で君は叶えたいのに叶わぬことが何点かあるようですが。自らを縛るもの…、遠き想い人…、膨らまぬ生地。ん、膨らまぬ生地?何ですかこれは。」

ノア「ちょ、アンタ一体何なのよ!なんでそんなに心を見透かしてくるのよ!?」

ヘイ「僕は、神に選ばれし魔王ですからね。このぐらいは朝飯前ですよ。この出会いも必然なのだとしたら…うん、君も何か身に付けてますね?」

ノア「…っ!さて、何のことかしら?」

ヘイ「しらばっくれても無意味ですよ。…おや、誰か来ますね。」

モナ「ノア姉さん、今帰ってきたわよ。あれ、お客さんですか?」

ノア「…望んでない客人だけどね。」

モナ「…!あなたノア姉さんをどうするつもり?とっとと帰んなさいよ!?」

ノア「下がってなさいモナ子。こいつの相手はわたしがするから。」

ヘイ「ふ~、穏やかではないですね。いいでしょう、受けてたちましょう。で、何をするんです?」

ノア「スポンジケーキの高さ勝負よ!」

ヘイ「…は?一体何を言って…うっ!」

モナ「やった、かかった!」

ノア「わたしに突っ込んだ者は例外なく、わたしの虜になるのよ!」

ヘイ「魅了攻撃ですか…。甘く見ていましたね。」

ノア「さあ、早くお帰りなさい!

ヘイ(コジクサ、コジクサ。解除は可能ですか?)

コジ(マモナクカイセキガオワル。カイジョ、キュウシュウカノウ。ドウスル?)

ヘイ(どちらもやっちゃって下さい!)

ノア「それじゃあモナ子。そいつ追い出しといてね。」

モナ「合点承知!ほら、さっさと出ていきなさいよ…、ってあれ?何か様子がおかしい…。」

ヘイ「折角の申し出です。やろうじゃありませんか、スポンジケーキの高さ勝負を。」

ノア「…!なんでこいつ効いてないの!?…というかやるわけないでしょ!」

ヘイ「突っ込みましたね?

ノア「…何?自由が利かない。まさかアンタわたしの能力を…。」

ヘイ「さあ、折角の申し出です。やろうじゃありませんか、スポンジケーキの高さ勝負を。

ノア「完敗だわ。あれやこれや膨らませられるのに、どうしてスポンジケーキだけ膨らまないの!?」

ヘイ「さて、僕の勝ちですね。(コジクサの指示通りにやっただけですが)では、仲間になって頂けますか?」

ノア「アンタに付いていけば望みが叶うっていうの?」

ヘイ「叶うんではなく、望みの世界を作るんですよ。その方が楽しそうでしょう?」

ノア「言ってくれるわね…。わかった、付いて行ってあげる。モナ子はどうする?好きにしていいわよ。」

モナ「姉さんのいるところにわたし在り。勿論付いて行きますよ。」

ヘイ「では、行きましょうか。既存の世界を壊すために。」



~来週に続く~


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闇の中、光を求め愛を叫ぶじゅにー
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