ラクダの宴
真っ赤な太陽が、地の向こう側に沈むと、
袈裟を着たラクダが一頭、地の下から現れる。
ラクダの登場を待っていたかのように、
山男たちが、ぞろぞろと樹々の裏からでてきて、宴が始まる。
日が沈み、風薫る季節。
山男たちは、めいめい食って飲む。
ラクダは、太陽の沈んだ方向を見ている。
ある山男が、ラクダに言う。
「ラクダよ、昔の出来事を話してくれ」
ラクダは、頭をかしげ、しばらくしてから、話し始めた。
「あれは、まだワシのコブが一つだったときの出来事だ。。。。」
++
ワシのいたラクダの集団が、北を目指して、進んでいた。
あるとき、一本の大きな木が現れた。
その木は、ワシラを見るなり、こう叫ぶんだ。
「はやく、太陽を目指すんだ!」
その木の、異様な形相から、
理由を尋ねることはできず、
ワシラは、太陽の方向に向かって、走っていった。
太陽まで、あと数歩というとき、
後ろから、大きなうめき声が迫ってきた。
ワシは、精一杯走り、太陽を追い越した。
気がつくと、大勢いたラクダはいなくなり、ワシだけになった。
++
あてもなく、さまよい、
数日間あるき続けた。
あるとき、微笑みのカニが現れた。
そのカニは、こう言った。
「歩くのを止めて、立ち止まりなさい。
そうすれば、仲間が現れる」
そして、別れ際、袈裟をかけてくれた。