ガラスのハート
道にガラスの破片が散らばっていた。
元は瓶なのかコップなのか
跡形もなく
それらはただ新たな傷口を求める罠のように
散らばって通行人を待ち構えていた。
私はそれをうっかり踏まないように通り過ぎた。
めちゃくちゃ迷惑だなと思った。
その時だ。
その割れたガラスの破片が
私の心みたいに思えたのだ。
割れた私の心は
周りの人を傷付けているのではないか。
めちゃくちゃ迷惑だなと破片を避けて歩いた私と
落ち込む私に関わらないようにする周りの人は
同じなんじゃないかと。
私は傷付いて割れて自分一人で苦しんで修復して日常に戻るけれど
初めて
その周りの人がどんな気持ちか
わかった気がした。
今まで私は
傷付いている破片に構って一緒に傷だらけになるか
本人より重症を負う生き方をしてきたから
みんなが当たり前にしてる
こんな風に避けるという技を
知らなかったのだ。
まあ
一番悪いのは
私の心とか
ガラスの器を
割った奴なんだけどね。
そいつは何処ででも何度でも割り続けるだろうからね。
ガラスのハートを真綿に包んで生きてる私。
部屋から出ないのが一番安全。
だから私の引きこもりは防御なのだ!
しかしこんなささやかな日常に
生きるヒントがあるとはなあ。