例えるなら懐深くで甘やかしてくれる大波のようで細やかな一面もある愛しい場所
飛行機のタラップを降りて、思いっきり息を吸い込む。
Googleカレンダーによると4年ぶりの九州。
初めての熊本。
吸い込んだ空気はやっぱり私の身体に馴染むのだ。
佐賀出身の友人がいて、就職してから2〜3年に一度
彼女の実家(温泉旅館)へ遊びに来ていた。
空港にチェックインしたSNSの投稿では
私「今から帰るよー!」
友人「待ってたよ!おかえり」
というやりとりをしていた。
それを見た人から「九州出身だっけ?」と聞かれた。
私の知る範囲では、九州に縁もゆかりもないのだけど。
なんでか「帰って来た」という気分にしてくれる
すべてを受け入れてくれる懐の深い場所。
それが九州な気がしている。
本当に楽しくリフレッシュした3泊4日だった。
熊本に1泊、あとは大分の湯布院に移動した。
食べ物が美味しかった。
お肉もいいけど野菜と魚が最高。最強。
宿の夕飯は苦しくなる量だけど、胃にもたれない箸が進むお料理だった。
出汁がきいている。薄味。優しくて温まる。
生野菜に入れられた飾り模様や、煮物が丁寧に面取りされている細やかさが嬉しかった。
魚は淡白な白身と思わせて脂が乗っているし歯ごたえがすごい。
1番好きだったのはきゅうりとわかめの酢の物。
しらすがちょこんと乗っている。
食べて驚いたのは、超薄切りのほんのりピンクの生姜が入っていた。
これは私のための料理かしらって思って(冷え性)、
内心泣きながら食べてた。
ウマー!!
土砂降りの朝はロビーで本を読んで小降りになるのを待った。
クラシックな家具で、文豪気取りでお茶をいただいた。
美術館に行ったりお蕎麦を食べたりお土産の陶器を選んだり。
ゆっくりと焦ることなく次は何しようってその都度自分に聞いてみた。
その都度行きたいところでやりたいことをやった。
次に来た時はここに泊まりたいという旅館に出会った。
またすぐ来たい。
今ここにいるのに次のことを考えていた。
車で30分も移動すれば、海にも山にもたどり着く。
九州を周遊すれば飽きることなく心踊る景色に出会えて
それでいて緊張することなく素直にしたいことが浮かんでくる。
帰りの空港では、判決を待つ冤罪人みたいな顔面だったと思う。
帰りたくねえ〜〜!!
東京の天気は悪く昼間なのに全体的に灰色で、一層気持ちが沈む。
電車内ではIターンについて調べる程度には気持ちが九州に捕らわれていた。
九州がどう魅力的かっていう話はどうでもいいんだよな。
私にぴたっとハマって、ここにいたいなあって気持ちになったんだよ。
あれから1ヶ月ほどたった今でも、思い出しては恋い焦がれている。
目がくらむ青い空とモリモリの白い塊の雲。
たくさん咲いていた彼岸花。
名前も知らない小川。
すっぱい果物。
天草で歓迎してくれたスナメリと、
クルーザーを追いかけて来てくれたミナミバンドウイルカ。
先日友達に旅行先で初めての動物に出会うのは、歓迎されている意味だと教えてもらった。
まあそんときは富良野で目の前にエゾシカみたいのが現れて
私は殺されるのかとビビりまくったんだけど。
また後日。
今週は天気が悪くて息の詰まる日々だったので
意識を九州へ飛ばしてみました。