罪悪感を抱かないウソツキほど恐ろしいものはない。
※海外ドラマ『Killing Eve』のネタバレ含みます。
上記のイラストは、海外ドラマ『Killing Eve(キリング・イヴ) 』をテーマに描いてみたもの。
たまたまWOWOW系列の無料放送でファーストシーズンからセカンドシーズンの第1話まで観て、思わずハマってしまったドラマなのですが。
上記のイラストで言うと顔をアップで大きく描いている黒髪の女性が主人公の『イブ』。
小さく描いているブロンドの若い女性は『ヴィラネル』。
イブを愛しながらも殺したい(?)感じの、サイコパス的暗殺者。
で、このヴィラネルが、酷い。
自分に微笑まなかった小さな女の子のアイスをわざと倒して店を出るわ、元恋人でも邪魔だと思ったら関係をやり直せる振りをしておいて車で遠慮なく轢き殺そうとするわ、14、5歳くらいの割と親切にしてくれた男の子でも、「死にたい」(事故で両親を亡くして、自分も顔に怪我を負っていたため)と言ったら、恐ろしくあっさりと殺してくれる(?)とか、なんかもう、いくら過去に酷い目にあって、暗殺稼業で生きてきたとしても、そこはさあ! と突っ込みたくなるくらい酷い。
なのに、キャラとしては彼女の事はむしろ好きなのだ。
あまりにあっさりしているせいか、嫌いになれない。
恐らくそれは、彼女が自分に嘘をついていないからだと思う。
他人にはいくらでも嘘をつきまくるのだが、『嘘をつく』こと自体に罪悪感を覚えていないせいか、騙されている方も『嘘』のサインに気がつけないのだ。
何かおかしいな、と思った頃には殺されているか、何かを盗られて手の届かないほど遠くに逃げているかのどちらかなので、もしドラマ中で彼女に出会うとしたら、いっさい興味を持たれないように、「自分はこの世界で最も無価値な人間です」と脇役中の脇役を装って、そっと距離を置くぐらいしか身を守る術がないように思う。
そんな訳で、ドラマとして観ている分にはそういうキャラも魅力的ではあるのだけれど、現実にもそういう人間が存在するのが恐ろしいところ。
恐らく自分が嘘つきであるという事や、詐欺師という自覚もないまま、普通の人々を騙し続けている人たちが、今年のニュースでもたくさんいましたね。
ドラマでは黙って観ていても何の害もないけれど、現実の場合は放っておいたら真面目に生きている人ほど損をします。
現実世界では、罪はガッチリ償って貰わなきゃね。
好感度も、もちろん現実では激しくマイナスで、恨まれますから。
悪役がカッコ良く、素敵に見えるのはフィクションの世界でだけです。
ちなみに主人公のイヴは、イラスト以上に髪のボリュームがあって、化粧っ気のない、どちらかと言うとアジア系の『どこにでもいそうな普通のオバちゃん』という外見なのですが。
彼女の知性や度胸、怖い時にはカッコつけずに怖がる素直な反応を見ていると、ヴィラネルが惚れるのも納得できるくらい魅力的な女性だと、ドラマが進むほどに感じて来るんですね。
シリアスなんですが、2人が絡むとどこかコメディーのようなユーモアもあって、上手な作りのドラマだと思います。