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雑談王の読んだ『メディアの支配者』
『メディアの支配者』
中川一徳 著
講談社 (2005/7/1)
フジテレビは「社史を作れない」という歴史を持つ、なんか大きく矛盾しているけど世の中矛盾でいいのだ
2005年の出版
まさか20年前に顕在化させたテレビ業界の凋落が、なんら顧みられることなく、いま突然決着を見せようとしている
“見るもの、作るもの、双方の欲望の全面肯定化”を成し遂げたテレビが終焉するのか
「まさか、この命あるうちに最終決戦に立ち会おうとは、、、」鱗滝左近次のような気分にいる昨今
この文庫版のあとがき、“第三幕”を迎え、結果的にホリエモンは社会的生命を絶たれた、とある部分だけが時の移ろいを唯一感じた箇所
戦中・戦後とまさにノールールで妖怪・怪人が跋扈するさま
あまりにもたくさんの登場人物がそれぞれの巣窟でうごめいていて恐ろしい
彼らが寿命を迎えて彼らの創造物も消滅もしくは駆逐され
そんな社会の統制造りをして現代日本を築き上げたのが
今、80代から70代後半の怪人たちってことになるのだろうか
興行の世界に長く身を置いていたけれども
その年代以下には怪人といえるような人にはあったことがない
なんとなくプロレスに例えると力道山が創造し、その建造物を破壊したうえで独自のルールを構築したジャイアント馬場・アントニオ猪木の流れがわかりやすい
鹿内三代から日枝氏、世襲は是なのか否なのかというテーマも横たわっていた
最近、プロレス業界もやはり世襲で行くべきだったのではないかなと個人的つぶやき
フジテレビ黎明期、テレビは6チャンネルしかなく、フジテレビを見るためには物理的にテレビ受像機の改造が必要だったという話
それもすごい、我々世代では衛星アンテナをつけるのと同じ感覚か
その改造注文を殺到させたのが、パスカル・ペレスvs米倉建志のボクシング世界戦と、ここでもやはりプロ格闘技
キラーコンテンツの面目躍如
終戦後、創業の鹿内信隆は「特殊慰安施設協会」将校クラブで大いに名を馳せたらしい
いわゆる優秀なアテンダー
今、問題になっているアテンダー問題、2005年の本書は千里眼のようだ
さて、時代の空気感を吸っていて結構似たようなことがそっちこっちで起きているんだなと思った次第
鹿内宏明を追放する役員会の演技がかった場面などは全日本プロレスでも、まったく似たようなことがあった
役員会から帰ってきた元子さんは「すごかったんだから、テレビドラマみたいで」と面白おかしく何度も語ってくれた
我ながら雑談の聞き役としては適任だったのだろうな、と思う
雑談王である
当時の空気感を率直に言うと、『主となる人たち』は元子さんは脱税で逮捕されるんだと吹聴し決起集会(渋谷東武ホテル事件www)みたいなものを催していたから「社内の常識」化して、だから会社は潰れると信じていた
馬場さんの相続税が8億円でした、という記事が載って事務手続きが完了したとき
まことしやかに噂されていた事柄は雲散霧消し『付き従った人たち』は「聞いてた話と違うのでは」と今更ながら思っただろうな
本書の中で、超久しぶりに思い出したことがあったので記しておこう
天才占い師として一世を風靡した藤田少女姫(ふじた こととめ)さんである
ホノルルの高層マンション、1994年2月23日、謎の藤田親子殺害事件で落命
当時は大ニュースでいまだに真相は不明
今から31年前か、、、
アドレス帳をひっくり返さないと正確なことは言えないが、確か
この高層マンションが馬場さんのいわゆるハワイの別荘と同じだったはずなのだが
違ったけなぁ
この事件のことを元子さんから詳細に聞いた記憶だけは確かだ