【エッセイ】羊文学と2周目の私。
羊文学というバンドをご存知だろうか?
私と同年代の人は知らない人が多いだろう。
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私はどのようにしてこのバンドを知ったのだろう?
YouTubeがオススメとして推薦してきたのだと記憶している。
私の過去に観たYouTube(特に音楽系のYouTube)を分析した上で、「羊文学」勧めてきたYouTubeのアルゴリズムは、いい感じでピントを外していて、その外し具合には感心せざるを得ない。
ピントが合いすぎていると、広がらない。
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このバンド「羊文学」という名前で、ひ弱な文系を装っているが、その実はガチのロック・バンドだ。
ギターの音色はどちらかと言うと「グランジ」。
3ピースバンドでありながら、曲ごとの表情は様々に変化する。
特にギターは何ひとつ難しいことはしていないが、音色、弾き方、リフのパターン、リズムなどで、曲ごとの表情をガラッと変えている。
そんな「サウンド」の上に「文学」が乗っかる。
その順番で、逆ではない。
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「砂漠のきみへ」 という曲がある。
題名にすでに世界観がある。
歌詞の一部を引用させていただく。
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そんな羊文学と私が出会ったのは、半年ほど前、私が今いるベトナムでこの地2度目の駐在を開始したタイミングと一致する。
私は駐在族でこれまでの人生の半分を、仕事人生のほぼ全てを海外で過ごして来た。
3年ほど前に2度目の上海駐在になり、ふりだしに戻って、駐在双六の上がりかと思っていたら、まさかの2周目が始まったのだ。
え、2周目?という気持ちはあった。
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そんなおっさんが18年ぶりに灼熱のホーチミンに降り立ち、灼熱の街を歩く時に、出会ったのが羊文学なのだ。
羊文学の音楽が、この私に、2周目を始めさせたと言っても過言ではない。
「ホレ、ホレ、ホレ!」と背中を押された。
真っ黒なTシャツ・短パンにHOKAの真っ白なスニーカー、JINSとスノーピークとのコラボ・サングラスをかけて、頭を揺らしながら、ホーチミンの街を歩いてるおっさんがいれば、それはこの曲を聴きながら歩き回っている「2周目の私」です😎