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架空の「ガバメントクラウド認定試験」 #18-#23(長期継続割引編)
久々のガバクラ認定試験です。今回もAWSに特化した内容となっております。
現在ガバメントクラウドにおいて長期継続割引が注目されている状況ですが、正しく使えばコストダウンできる一方で、十分な周知期間などが確保されないまま次年度を迎える状況になってしまいました。コスト削減のために長期継続割引の仕組みを使いたいという現場の声を拾っていただいた点は嬉しいことなのですが、ご案内いただくのがかなり遅かった点は残念です。
状況を危惧してか高橋さんが解説記事を書いてくださっており、必要な論点が整理されています(ありがたい)のでぜひ未読の方は参照してください。
私もXで補足コメントを出させていただきました。
名人とSavings Plans部分の見解が少しだけ異なりますので補足(ほぼほぼ同じです!)。
— はちみつ(20) (@honeycomb_bnbn) February 5, 2025
・EC2の場合、Savings Plansが推奨されます。RIは旨みがさほどありませんので避けましょう(値引き追随の良さはある)。Savings Plansには二つのプランがあります。
・Compute Savings… https://t.co/rGew33BOQX pic.twitter.com/accYdgHC7Z
RI(リザーブドインスタンス)にしろSP(セービングプラン)にしろ、適用すればOK!という単純なものではなく、詳細は高橋さんのnoteを読めば良いのですが、せっかくなのでいくつかのポイントを踏まえた問題を作成しました。
Xで2025/2/7の13時頃に出題済ですが、正答率が低いものも多く、より理解を深める必要がありそうです。
改めて本noteでまとめますので、まだ解いてない方はぜひ挑戦してみてください。
「ガバメントクラウド認定試験」マガジン
はじめに
本記事の内容について、以下の点を予めご了承ください。
この「ガバメントクラウド認定試験」は架空のものであり、筆者が個人的に作成したジョークコンテンツです。
ガバメントクラウドや自治体システムの標準化に関する知識を、楽しみながら確認することを目的としています。
公式な認定や資格、国の機関とは一切関係がありません。
対象読者は以下を想定しています。
ガバメントクラウドや自治体システムの標準化に興味がある方
すでにガバメントクラウドの検討に着手されている方(一部の専門用語の説明を省略しています)
注意事項:
本コンテンツは投稿日時点の公開情報に基づいています。非公開の内容については言及しませんので、適宜、非公開資料を併読してください。
標準仕様書やガバメントクラウド関連文書は随時更新されています。なるべく版数や改版日を明記するようにしています。
最新の正確な情報については、必ず公式の資料をご確認ください。
この架空の「認定試験」を通じて、ガバメントクラウドや自治体システムの標準化についての理解を深める一助となれば幸いです。
問題
それでは、「ガバメントクラウド認定試験」の問題に挑戦してみましょう。今回は全6問です。
第18問
ガバクラで選択可能なもののうち、もっとも割引率が高いものはどれか。
A) 1年 全額前払い スタンダードRI(リージョナル)
B) 3年 一部前払い スタンダードRI(ゾーン)
C) 1年 前払いなし EC2 Instance Savings Plans
D) 1年 前払いなし Compute Savings Plans
※RI = Reserved Instances
第19問
以下のうちAWSの長期継続割引について予約購入ができないものはどれか。
A) EC2 Instance Savings Plans
B) Compute Savings Plans
C) EC2スタンダードRI
D) RDS
第20問
AWSでEC2の長期継続割引を申し込む際にインスタンスタイプを指定する必要がないものはどれか。
A) スタンダードRI
B) Compute Savings Plans
C) EC2 Instance Savings Plans
D) コンバーティブルRI
第21問
長期継続割引のうち、キャパシティが確保できるものはどれか。
A) リージョナルRI
B) ゾーンRI
C) Compute Savings Plans
D) EC2 Instance Savings Plans
第22問
Savings Plansを申し込む際にコミットする内容は何か。
A) 1ヶ月あたりの利用料
B) 1時間あたりの利用料
C) インスタンスタイプとインスタンス台数
D) 1ヶ月あたりのインスタンス起動時間
第23問
次のうちEC2 Instance Savings Plansで長期継続割引の期間中に実施しても引き続きディスカウントが期待できるものはどれか。
A) r6i.2xlarge → r6i.4xlarge
B) r6i.2xlarge → c6i.2xlarge
C) r6i.2xlarge → r7i.2xlarge
D) r6i.2xlarge → r6a.2xlarge
回答・解説
それでは回答編です。
なお、回答や解説は筆者本人の見解に基づいて記載されており、国の公式の回答ではありません。事業者・担当者によっても解釈が分かれる可能性がありますので、内容の取扱いには注意してください。
第18問
第18問です。問題文を再掲します。
ガバクラで選択可能なもののうち、もっとも割引率が高いものはどれか。
A) 1年 全額前払い スタンダードRI(リージョナル)
B) 3年 一部前払い スタンダードRI(ゾーン)
C) 1年 前払いなし EC2 Instance Savings Plans
D) 1年 前払いなし Compute Savings Plans
※RI = Reserved Instances
こちらの正解は「C) 1年 前払いなし EC2 Instance Savings Plans」です。
詳細は一般公開されていないため、解説は割愛しますが、ガバメントクラウドではA・Bはそもそも選択ができません。
CとDでの選択となりますが、「EC2 Instance Savings Plans」と「Compute Savings Plans」のうちより割引率が高いのは「EC2 Instance Savings Plans」です。コストが安いですが、その代わりに、インスタンスファミリーやリージョン選択の柔軟性がありません。
【参考資料】
第19問
続いて第19問。一般的なAWS知識を問う問題です。
以下のうちAWSの長期継続割引について予約購入ができないものはどれか
A) EC2 Instance SavingsPlans
B) Compute Savings Plans
C) EC2スタンダードRI
D) RDS
こちらの正解は「D) RDS」です。RDSは購入が認められた特定期間内に購入しましょう。マネジメントコンソールのほか、AWS CLIなども利用できます。自動化する場合も、きちんと購入がおこなわれているかどうかチェックをおこないましょう。ただし、購入誤りなどのリスクがありえるため、事業者は嫌がるかもしれません(ガバメントクラウドの場合です)。
その他の選択肢は予約購入が可能です。こちらも、マネジメントコンソールから予約もできます(解禁日を要確認)し、AWS CLIなどで自動化が可能です。予約購入すべきアカウントが大量にある場合は、自動化すると良いでしょう。
RIの場合はカートに入れてから注文日を指定することで予約可能です。UTC 0:00が指定されます(日本では午前9時)。CLIやAPIの場合は時間帯も変更可能です。
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第20問
AWSでEC2の長期継続割引を申し込む際にインスタンスタイプを指定する必要がないものはどれか。
A) スタンダードRI
B) Compute Savings Plans
C) EC2 Instance SavingsPlans
D) コンバーティブルRI
こちらは正解は「B) Compute Savings Plans」です。インスタンスファミリーやリージョンなどの指定が不要なため、非常に柔軟性が高いところが利点です。
実際の購入画面です。インスタンスやリージョンの情報は不要です。
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第21問
長期継続割引のうち、キャパシティが確保できるものはどれか。
A) リージョナルRI
B) ゾーンRI
C) Compute Savings Plans
D) EC2 Instance Savings Plans
こちらは正解はBの「ゾーンRI」です。
Savings PlansやリージョナルRIではキャパシティ予約(ODCR)相当の効果はありませんので別途申し込みが必要です(がガバクラの場合は…。
【参考マニュアル】
ユーザガイドの中で「ゾーンの リザーブドインスタンス では指定されたアベイラビリティーゾーンでキャパシティーが予約されます。」と説明されています。
第22問
Savings Plansを申し込む際にコミットする内容は何か。
A) 1ヶ月あたりの利用料
B) 1時間あたりの利用料
C) インスタンスタイプとインスタンス台数
D) 1ヶ月あたりのインスタンス起動時間
こちらは「B) 1時間あたりの利用料」が正解です。
実際の購入画面です。「時間単位のコミットメント」が必要です。ドルベースで、Savings Plans適用時の時間あたりの利用料をコミットします(オンデマンドインスタンスの価格とは違います!)。
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コミットメント額は、具体的な算出根拠をしっかりと確認しましょう。なお、値引きのシミュレーションはPricing Calculatorで確認できますし、運用実績の期間があればAWSのRecommendも確認できます(購入アナライザー / Purchase Analyzer)。
コミットメント額の算出は工数がかかりますので、注意が必要です。ペイしない可能性や削減効果が薄くなる可能性もあります。
「インスタンスタイプとインスタンス台数」をコミットするのはリザーブドインスタンスです。RI・SPの違いを再度確認しましょう。
また、Savings Plansのコミット単位は勘違いしやすいので気をつけましょう(途方もないコミットをしてしまい、むしろコストが増大する危険性があります)。
第23問
次のうちEC2 Instance Savings Plansで長期継続割引の期間中に実施しても引き続きディスカウントが期待できるものはどれか。
A) r6i.2xlarge → r6i.4xlarge
B) r6i.2xlarge → c6i.2xlarge
C) r6i.2xlarge → r7i.2xlarge
D) r6i.2xlarge → r6a.2xlarge
こちらの正解は「A) r6i.2xlarge → r6i.4xlarge」です。
r6iを題材にしていますが、どのインスタンスでも同様です。c6i(ファミリー変更)、r7i(世代変更)、i→a(intelからamdへの変更)はコミットメントを満たせません。ほかにr6iシリーズを使っていない場合などで、重複課金になる可能性があります。
おわりに
第5弾では、長期継続割引に関する設問を6問出題しました。
ガバクラ認定試験はあくまでも架空の試験問題ですが、今後の自治体システムの標準化・ガバメントクラウド移行に対する理解が深まり、実際の業務で何か役に立つことを願っています。
なお、冒頭・途中にも記載した通り、実際の業務で活用される場合は、必ず最新の公式資料をご確認いただきますようお願いいたします。標準仕様書やガバメントクラウド関連文書群は随時更新されています。また、回答や解説は筆者本人の見解に基づいて記載されており、国の公式の回答ではありません。事業者・担当者によっても解釈が分かれる可能性がありますので、内容の取扱いには注意してください。