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Photo by
matsuda2772
バスの中
いろんな年代の人たちと
同じ大きな乗り物にのって
行き先はそれぞれ違うけれど
今この時同じ空間にいる事は
実際起こっていることで
奇跡に近いのかもしれないと思う晴れた真昼
晴れていても今は冬で
空気は私の喉を傷つけようと
必死に体に入り込む
バスは私を冬の外の空気から守り
その代わり色々な言葉や音や匂いや目線を
私に渡した
窓の外を眺めると
ベビーカーを押したお母さんの優しい表情や
ひとり乗りのマクドナルドの車や
家族連れに
歳を重ねたご老人
たくさんのお店に銀行に中華料理のお店
始発駅から乗ったら出発までの時間は
退屈な時間なのかもしれない
ゆっくり出来ると感じる人もいるかもしれない
その場にたまたま集まった人の数だけ
考えや感じ方があるのだから
まだ出発しないのかとそわそわしているあなた
もう思春期でゆったりイスに腰掛けるあなた
あなた達と家族になってから
こういう時間を
『しあわせ』とも考え感じるのだと
そう呼べるのだと
これは遅い事なのかな
初めて知った
そんな私はバスから降りて
また冬の空気と戦いながら
あなたたちと我が家へ向かう